――舞台『莫逆の犬』に出演が決まった時の気持ちを教えてください
台本を読ませてもらって面白い作品だなと思ったので、素直に嬉しかったです。共演者の方には、名前を知っている方や共演したことのある方もいたので楽しみでした。
――台本からどのような印象を受けましたか?
僕自身結構2.5次元の舞台をやらせてもらったりもしていて、そういう作品も好きなんですけど、日常会話の中から見えてくるものとかも好きなので、最初に読んだ時は普段の会話の中で繰り広げられていくので暗い話だっていう印象はありませんでした。でも、今は結構しんどいなって思ってます。
――それは稽古を重ねていく中で変化していったんですか?
稽古をやっていくにつれて、最初はあまり思わなかった、このセリフはこういうことを示しているっていうのが分かるとしんどいと思っちゃいます。主人公の一郎(荒井敦史さん)と恋人の美月(傳谷英里香さん)の二人の話なんですけど、僕は美月の弟役で、どちらかというとポジティブな場面が多いというか、皆でわーっとなったり、ちょっと面白おかしい場面が多いのに、しんどいのは何でだろうな?って思ってます、最近は。
――自分が出演していない場面の空気感を感じ取っているんですかね?
結構もらっちゃってるのと、僕が例えばこの一郎役をやったら結構きつかっただろうな、って考えながら見てます。

――百瀬さんが演じるのは美月の弟・照実。役とご自身で似ているところはありますか?
役としてはお喋りだったり人付き合いが上手いタイプで、僕自身は元々人見知りだったんですけど、最近その人見知りが治って、結構喋れるな、自分から行けるなと思ったので……人付き合いが良いかどうかは分からないですけど、コミュニケーションを取ったりとかが好きなのは似ているかなと思いました。
――役をどのように演じるか、こだわりや気をつけている点は?
演出の寺十(吾)さんが、一郎に皆で影響を与えていって、一郎の気持ちが動いていく話だとおっしゃっていたので、影響を上手く与えられるように出来ればと思っています。一郎とは一番最初に仲良くなったり、一郎が関係しているある事件があるんですけど、それを告白する重要なシーンに絡んできたり、気持ちを動かす上ですごく大事な役だと思っているので、自分がどうこうよりも、一郎や美月に上手く影響を与えられたら良いなって思いながら演じています。
――演出を務める寺十さんはどんな方ですか?
今回初めてなんですけど、細かく芝居をつけてくれるという印象です。でもそういうやり取りとかは僕はすごく大事だと思っていて、こういう気持ちで行こうとか、こうなんじゃないかって演出してくださって、稽古をしていく中ですごく信頼出来ています。カンパニー全体からも、寺十さんをすごく信頼している感じが伝わります。
――主演を務める荒井敦史さんとは、2012年に上演された舞台『ハイスクール歌劇団☆男組』以来の共演となります
正直あまり覚えてなくて(笑)。2012年だから9年前とかですよね。お互い20歳にもなってなかったなって話をしていたんですよ。でも敦史くんの方が1つ年上なんですけど、その割にすごい大人っぽくて、当時はある程度喋ってはいましたけどすごく関わりがあったわけじゃないので、今回お久しぶりですっていう気持ちです。オーディションで会ったりして一緒の組で受けたりしていたんですけど、久しぶりにお仕事を一緒に出来るのは嬉しいです。
――稽古中、荒井さんとは何かお話されましたか?
作品的に難しいので、稽古場では稽古中心ってことであまり喋る機会もないんですけど、駅までの帰り道は毎日のように一緒に帰っていて、5分くらいの道でめちゃくちゃ喋るんですよ、敦史くんが。作品に対して色々な想いがあって、基本的にはお芝居の話をしています。
――帰り道の短い間でもコミュニケーションを取って作品への理解を深めていっているんですね
役割でやってるつもりはないですけど、敦史くんとそういう話をするのも、自分の役的には良いんじゃないかなと思っているので、そこは貴重な時間になってます。

――物語の中で部屋から出られないという設定ですが、もし百瀬さんが部屋から出られなくなったらどのように過ごしますか?
元々、休みの日も基本的に家に居たいタイプで、今は海外ドラマを見るかゲームをしてるかなので、それで過ごすと思います。
――海外ドラマは何を見てるんですか?
海外ドラマはめっちゃ好きなので見てるんですけど、一回りして今は『プリズン・ブレイク』です。
――海外ドラマといえば、な作品ですね
それこそ『プリズン・ブレイク』とか『24』とかにハマった最初の時が、小学生とかだったから海外ドラマを見る年齢じゃなかったんですよね。今色々見ていって、改めて『プリズン・ブレイク』一回見てみようと思って見たらハマって、毎日見てます。
――舞台のタイトルでもありますが、百瀬さんにとって『莫逆』な人はいますか?
家族も仲が良いんですけど、仕事の人だと、『血界戦線』という舞台を3作やらせていただいて、そこで一緒だったザップ役の猪野広樹さんがいらっしゃるんですけど、猪野さんも『血界戦線』に3作出演していて、その前の『弱虫ペダル』の舞台でも2作一緒で。
――ご縁がある方なんですね
そうなんですよね。『弱虫ペダル』の時も『血界戦線』の時も、結構2人で絡むことが多い役だったので、すごく仲良くなりました。最初の1作品目とかはそこまで仲良くはなかったんですけど(笑)、でも共演する機会が増えていったらすごく波長も合うし、だからプライベートでも仲が良いです。
――百瀬さんから見た舞台の見どころを教えてください
すごく良いものが出来ているんじゃないかなっていう実感があるんですけど、それはすごく魅力的な役者さんが集まっているっていうのと、寺十さんの演出の導き方がすごく良いなっていうのを感じていて。
作品の見方も色々あって、僕が最初に台本を読んだ時にそんな暗い印象を受けなかったって言いましたけど、見に来てくださる方もそう見えるんじゃないかなと思うんですよね。暗い結末になろうが、暗くは見えないかもしれないし、僕もこれから解釈がきっと変わっていくんだろうなと思っています。一つ一つの細かいセリフのやり取りも毎日違ったものになるので、見どころになるかと思います。