唯一無二の奇想天外な物語で、日本のファンタジー小説の原点と称えられる「南総里見八犬伝」。1842年に完結してから200年近くの時を超え、今なおマンガ、アニメ、映画、舞台、歌舞伎と多彩なジャンルで二次創作が行われるなど、現代のエンターテインメントに多大な影響を与え続けている。里見家の呪いを解くため、八つの珠に引き寄せられた八人の剣士たちの運命をアクションとVFXで描いた「八犬伝」=【虚】の世界と、物語を生み出した馬琴の感動の実話【実】の2つのパートが交錯する、山田風太郎の小説『八犬伝 上・下』(角川文庫刊)を実写映画化した。
ついに公開初日を翌日に控え、ファンの熱い期待が高まる中、その声にいち早く応えるため、映画『八犬伝』公開前日SPトークイベント付き先行上映会が開催。イベントには本作で親子役を演じた役所広司と磯村勇斗が登場した。

本作で磯村と初共演だったと話す役所は「磯村くんの映画もたくさん見てますし、本当に素晴らしい俳優さんだと思っていましたので、共演できて、 ますます魅力を感じることができました」と回顧。磯村は「台本を開いて、役所さんが自分の父親の役で、共演できることを非常に楽しみにしていて、憧れもあったので、現場では緊張して臨んでおりました。本当に贅沢で貴重な時間を過ごさせていただきました」と恐縮した様子で感謝を述べた。
磯村は役作りのために減量していたそうで、その姿を見ていた役所は「本当に水も飲んでないような状態で、最終日は本当にこのままあの世に行ってしまうんじゃないかと心配してました」と明かすも「(磯村くんは)肩幅が広いので、肩幅だけはさすがに狭くならなかった」とぶっちゃけ。それを聞いた磯村は「肩削っとけばよかったな、ちょっと後悔してます」と笑顔をみせた。

会場では『八犬伝』にちなんで、磯村と公式で募集をした一般の方から役所に向けた八つの質問コーナーが行われた。
Q:馬琴さんは28年間の歳月をかけ八犬伝を完成させましたが、役所さんが今何か達成したいことはありますか?
役所:僕は子供の頃からなんか1つのことをやり遂げたことがなくて、この俳優という仕事はなんとなくやり続けていて、これにもそのうち限りはあるんでしょうけど、もう28年以上になりますけど、最後まで、本当にセリフが覚えられなくなるまでは、今頑張ってみようかなと思ってます。

Q:長く役者を続けていくために何を大切にしてきましたか?
役所:俳優も社会人なんで、社会人としてまず挨拶ができること、遅刻しないこと、人間関係を大事にしていくことは1番大事なことのような気がしますけどね。やっぱそういう人間関係が1番、正しいものを生み出すような気がします。

Q:役所さんがこれだけは諦めないってことはありますか?
役所:この俳優という仕事をやっていて、完璧にできたっていうことは本当にないですね。時々気持ちが折れることもあるんですけど、ここの何年間か、今回はできなかったけど、次やるとうまくいくかもしれないなっていう気持ちがあるんですね。それが何十年間も続けて来られた原因だと思うんですけど、だから途中です。もうやめたって諦めちゃったら、今の自分はいないんですけど、これからも何度も挫折すると思うんだけども、いつかうまくいくんじゃないかと気持ちは忘れずに諦めないでやりたいですね。

Q:役所さんは犬派ですか、猫派ですか?
基本僕は犬派。犬を飼ってました。猫も嫌いではないんですけど、野良猫がうちの庭に入ってきて用を足すんですね。それで猫はちょっと敬遠してました。

Q:実在する人物を演じる時とオリジナルの人物を演じる時では、アプローチの方法は違いますか?
役所:実在の人物に関してはいろんな資料がありますからね。スタッフが用意してくれるんで、それに目を通すことは大事なことだと思いますけど、でも、基本的にはやっぱりオリジナルでも実在の人物の物語でも、脚本には全て書かれてると思いますよね。だから、それを足して何か調べていくとかっていうのは実在の人物の方が多くなりますよね。

Q:怒ることや怒鳴ることはありますか?
仕事場ではもうほとんどないですね。若い頃、ちょっとカッとして怒ったことありますけど、いいことは1つもなかった。マイナスなんで。もうこれはダメだなと思いましたね。だから、今は怒ることはないですね。

質問コーナーが終了すると、会場には応援ゲストとして柔道家の阿部一二三が登場。すでに作品を鑑賞したという阿部の「諦めない心っていうのは奇跡を本当に呼び込むんだなっていうのに、本当に勇気と感動もらいました!」と興奮冷めやらぬ様子に役所は「柔道家の心にも響くとは思ってませんでした」と感激した様子をみせていた。

映画『八犬伝』は10月25日(金)より全国ロードショー!