巨匠・黒澤明の助監督を務め、自身の監督デビュー作『雨あがる』(00)以来、一貫して人間の美しい在り方を描いてきた小泉堯史監督が、日本映画界のレジェンドと言っても過言ではない熟練スタッフ陣とともに、丹精込めて作り上げた本作。

東京国際映画祭で初めて上映されることに松阪は「丹精込めて作った作品がこうやって皆様の元に初めて届く日というのは本当に緊張しますし、それと同時にとても嬉しい日でもあります」と話し、「それがこの東京国際映画祭ということもあって、大変光栄でさらに嬉しさ倍増で本当に喜ばしいと思っております」と喜びを口にした。

本作では、実在した町医者である主人公・笠原良策を演じる松阪。実在の人物を演じることに緊張したそうで「本当にいろんな資料を読ませていただいて、自分なりにそれを時間をかけてゆっくりゆっくり体の中に入れて現場に入ることも必要ですし、また現場で監督の演出のもとこの良策を生きるっていうことは本当に僕の中では結構難しいでもあった」と吐露。続けて「本当にいろいろ人たちの手を借りてこの役を全うすることができました」と感謝を述べた。
また、小泉組の現場の雰囲気について「現場に入ったらすでにカメラが据えてあって、そして全編フィルムなんです。撮り直しが効かない緊張感と言いますか、そういったものが現場に入ると漂っているんです。その中でのお芝居というものは、今まで経験したことない緊張感というか高揚感もありますし、今まで味わったことない気持ちになりました」と振り返った。
最後に、本作の魅力を問われた松阪は「芳根さんがものすごく一段と輝くシーンがあるんです。もうほんとに疲労困憊の中、ものすごい集中力で成し遂げたシーンで、それをぜひ目に焼き付けいただきたい」アピールした。