1960年9月20日に開業した映画館「丸の内 TOEI」が、東映株式会社本社の入る東映会館の再開発に伴い、2025年7月27日(日)に閉館となる。約65年という長い歴史のグランドフィナーレを彩る「さよなら 丸の内TOEI」プロジェクトとして、5月9日(金)から7月27日(日)まで傑作特集上映が行われている。

6月21日(土)には、劇場版第一作~第三作まで上映が行われ、第一作『あぶない刑事』終了後の舞台挨拶に、主人公のタカ&ユージを演じた舘ひろし柴田恭兵の登壇した。
二人が丸の内 TOEIの壇上へカムバックするのは 2024年6月5日に実施された『帰ってきた あぶない刑事』大ヒット御礼舞台挨拶以来1年ぶりとなる。『帰ってきた~』のプロモーションとしては“最後”と謳われていたこともあり、東映会館前に多くのファンが詰めかけたことは記憶に新しい。

拍手喝采の中、ステージに現れた舘ひろしと柴田恭兵。
舘は「私は50年前、東映の『暴力教室』という映画で俳優デビューして、丸の内TOEIは私の中で思い出がいっぱいある映画館です。そして『あぶない刑事』に出会えたこと、柴田恭兵くん、長谷部監督に出会えたことで、私の映画人生がとても華やかなものになりました」と挨拶。続く柴田は「こんな狭かったかな、と思っています」と会場を見渡し、「会いに来てくれて本当にありがとう。僕たちも会いたかったです」とコメントした。

『あぶない刑事』映画化の話を聞いた当時の心境を、舘は「僕はテレビシリーズをずっと続けるつもりだったので、早く終わっちゃったなと思ったら、映画を撮るんだと。めんどくさいな、なんて」と率直に明かしながら、「最初の『あぶない刑事』が公開になった年に、石原(裕次郎)さんがその夏に亡くなったんですね。チケットを持ってお宅にお邪魔して、パンフレットとチケットを置いて、『今日公開でした。お客さんがいっぱい入りましたよ』と報告したのを覚えています」と思いを馳せる。

一方の柴田は「果たしてテレビのギャグが映画になった時にちゃんと伝わるのかなっていう不安があったんです」と吐露。しかし、「ある時、舞台挨拶が終わってこっそりお客さんのリアクションを気づかれないように見たことがあって、そうしたら本当に情けないギャグでも拾ってくれてウケていて嬉しかったし、次映画をやることがあったらなんでもやってやろう、と感じたのを覚えています」と観客の反応に安心したそう。

さらに、撮影で思い出に残っていることを聞かれると、舘から「バイクからトラックに飛び乗るのは僕が提案したんですよね」と話し、「ご覧になった方はわかると思うんですが、あのシーンはあってもなくてもいいんです。結局捕まえられないんですから」と続けると会場からは笑いが。「監督に『ひょっとしたら、オートバイからトラックに飛び乗れるかもしれない』と言って、一度もやったことがないんですけど、できる気がしたんです。あのシーンは撮影の一番最後の日に撮ったんです。僕がどうなっても良いように。できる気がしてやったら、上手く行きました」と印象的なシーンの裏側を語った。
『あぶない刑事』シリーズで定番のハーレーシーンも撮影の最終日の撮影されていたそうで、柴田は「舘さんがハーレーに乗るシーンは、正直いつも僕は祈っていました。本気で、絶対に怪我しないでくれ、と」と明かした。

撮影で思い出に残っていることを柴田は、「ユージは涙脆いんですけど、泣いたのはこの映画だけで」としながら、「『帰ってきたあぶない刑事』で最後に土屋太鳳さんがハーレーで去っていくところで取り残されるんですけど、久しぶりにあの時うるうるっとして、サングラスの影で泣いていました。ふと、映画で泣いたのは2回目だな、と」とサングラスに隠された秘話を語る。

キャラクター設定にはそれぞれのアイデアも反映されていたようだが、舘は「『あぶない刑事』というのは、恭さま(柴田恭兵)だと思っていて。僕の役割はしっかりした土台作りで、その上に素敵な建物を恭さまが作ってくれたら、と思っています」と話し、「最初の頃は恭さまが面白いギャグをやるので、僕もちょっとやりたくて、そうしたら監督が『舘さんはやめた方がいい』と。僕には面白いギャグを言う才能がなかったのかもしれないです」と残念そうだった。
「舘さんとはテイストが全然違うんです。女性の好みも。僕と舘さんと、浅野(温子)さん、(仲村)トオルくん、ベンガルさんと、すごい素敵な出会いで、ずっと楽しかったですね」と話す柴田は、過去に出演していた豪華なゲストへ向けても「僕たちがゲストの方に無茶振りをするんですけど、皆さん本当に快く受けてくれて。皆さんの力を借りて、僕たちを生かしてくれて、とても嬉しかったです」と感謝を伝えた。

最後の挨拶では、舘が「僕にとっては思い出の詰まった映画館で、寂しい想いもあります。東映の映画をずっと応援してください」と呼びかけ、柴田は「丸の内TOEIは、7月27日をもって閉館となりますが、我が『あぶない刑事』は永久に不滅です!」と力強く宣言した。

フォトセッションでは息ぴったりで様々なポーズを披露し、カメラマンからのリクエストでサングラスを外す場面もあった。