
2020年に週刊ヤングジャンプにて赤坂アカと横槍メンゴのタッグで連載をスタートした【推しの子】は、伝説的アイドルの子どもとして転生するファンタジックな設定と、“芸能界”という複雑な世界に躊躇なく切り込むサスペンス要素、他に類を見ない衝撃的で斬新なストーリーが幅広い世代に支持され話題を呼んだ。2024年11月14日発売の「週刊ヤングジャンプ」50号にて連載最終回を迎え、世界中のファンから惜しまれながら約4年半の歴史に幕を下ろした。東映が手掛けた【推しの子】実写映像化プロジェクトでは、同年11月28日よりAmazon Originalドラマ『【推しの子】』として全8話のドラマを世界独占配信し、同年12月20日にはその続きと物語の結末を描き切った映画『【推しの子】-The Final Act-』が全国公開され話題を呼んだ。
主演の櫻井海音ほか、齋藤飛鳥、齊藤なぎさ、原菜乃華、茅島みずき、あの、成田凌などトップシーンを突き進むキャストが集結し、さらには、吉田鋼太郎、倉科カナ、金子ノブアキ、要潤らベテラン勢が脇を固めた本作は、出演者ひとりひとりの表現力はもちろんのこと、クオリティの高い映像や感動的なライブシーンにも絶賛の声が集まり、また、アイ役を演じた齋藤飛鳥が第48回日本アカデミー賞新人賞を受賞するなど映画界からも高い評価を得た。
そんな『【推しの子】-The Final Act-』より、主演の櫻井海音をはじめ、齊藤なぎさ、原菜乃華、茅島みずきがロケ地にもなった丸の内TOEIへ凱旋。
改めて、アクアを演じたことを振り返る櫻井は「本当にプレッシャーで、ここまで大きな規模感で自分がアクアという役を演じるのもそうですし、自分の中では映画初主演だったのでそこに対する緊張感もありました」と吐露。さらに「今だから話せますけど、主演というのをマネージャーから告げられたのは、(撮影に)インする2日前だったんです」と明かすと、会場からはどよめきが上がり、「だから、現場での立ち振る舞いをどうしたらいいか、2日間で考えて作り上げていました」と語った。
ルビーを演じた齊藤は「大変だったんですけど、皆さんにすごい助けられていたというか、現場とかでもすごく話しかけてくれたり明るく接してくれたりしたので、私自身も引っ張られて元気になっていたし、シリアスな闇のシーンでは話しかけずにそっとしておいてくれるとか、3人ともそうですし、ここにいないキャストの方々も支えてくれてのルビーだったなと思います」と振り返り、アイドルグループ卒業後、再び役でアイドルを演じたことについては「楽しかったです!」と笑顔。「映画を見てくださったお友だちやファンの方から、またステージに立ってるのが見られて嬉しかったよって喜んでくださる声もすごく多かったので、幸せでした」とコメント。
有馬かな役の原は、「すごく楽しかったです。撮影しながらのレコーディングやダンスの振り入れは初めてのことだったので、大変だなって思いながらやってはいたんですけど、あんなに濃密で宝物みたいな時間はなかなかないだろうなと思うくらい、すごく素敵な時間を過ごさせてもらったというのは時間が経って振り返ってみて改めて強く思います」と振り返る。
さらに、B小町として音楽番組へも出演していたが、当時のことを「私、あの日の記憶無いんです」と告白。「始まるカウントが聞こえたところから真っ白で、終わって3人でステージ裏の一角にぎゅっと集まって『どうしよう、緊張したね』って興奮や高揚感を分かち合う時間の記憶しかなくて。あの景色は走馬灯に絶対出てくるなと思います」と自身にとってかなり印象的な出来事となったそう。
そして、黒川あかね役の茅島は「黒川あかねってすごく可愛らしくて内気で、そういう役を演じるのも初めてだったので、どうやって作り上げていったらいいんだろうという難しさはもちろんあって。そんな不安を抱えたまま現場に入ったんですけど、現場に入ると皆がキャラクターにピッタリで、刺激をもらって引っ張ってもらって、無事演じ切ることが出来ました」と述べた。
B小町としての思い出を聞かれると、齊藤は「楽しかったね。朝の5時から3人で振り合わせをして、その後夜まで撮影、みたいな感じで。朝3人とも集合した時も寝てて、ダンス始めるよってなったら頑張って起きて、ダンスして、また寝る、みたいな。その時はずっと大変だったけど、それも青春だったなと思います」と懐かしむ。
原も「本当にあの時期はその日の撮影が終わった夜から振り入れとかしていたので、あのちゃんとなーたんにすごい引っ張ってもらったのをとても覚えています。1人でやっているよりも、2人が隣にいてくれるのがだいぶ心強くて、わからないこともお互い聞き合えたし、すごく楽しかったです」
B小町続けてやればいいのに、の声に「やる?」「やろうか?」「やりたいよね」と顔を見合わせる2人。原が「最初で最後のライブとかね」と話し、「来てね?」と齊藤が櫻井の方を見る一幕もあった。
1960年9月20日に開業した映画館「丸の内 TOEI」が、東映株式会社本社の入る東映会館の再開発に伴い、2025年7月27日(日)に閉館となる。約65年という長い歴史のグランドフィナーレを彩る「さよなら 丸の内TOEI」プロジェクトとして、5月9日(金)から7月27日(日)まで傑作特集上映が行われている。