
劇団☆新感線45周年と銘打つ本公演は、10年ぶりに<チャンピオンまつり>を掲げ、江戸時代を舞台に、歌舞伎の大名作『忠臣蔵』を上演するために愚かしいほどに芝居作りに情熱を傾け奔走する演劇人を描く。座付作家・中島かずき書下ろしによる、歌舞伎の名シーンをリスペクトした劇中劇の数々と、これまで新感線が上演してきた45年分の作品をごった煮したセルフパロディ・セルフオマージュの要素が、主宰・いのうえひでのりによる演出で華々しく立ち上がる。
出演は、劇団の看板俳優・古田新太、高田聖子、粟根まこと等に加え、6年ぶりの出演となる橋本じゅん、8年ぶりの出演となる羽野晶紀、そして5年ぶりに出演の橋本さとし。今や舞台だけでなく映像作品でも第一線で活躍する面々が舞台で一堂に会するのは、演出のいのうえが俳優として最後に出演した作品でもある、1994年の劇団公演『古田新太之丞東海道五十三次地獄旅~ハヤシもあるでョ!』以来、実に31年ぶりで、まさに“まつり”。
そして、この“まつり”の神輿を共に担ぐ!と名乗りを上げたのは、小池栄子、早乙女太一、向井理と、もはや準劇団員との呼び声も高い新感線を熟知した豪華ゲスト陣。
これぞ<チャンピオンまつり>にふさわしい、笑い満載、歌も踊りも立ち回りも存分に、目まぐるしく展開する極上のエンターテインメントを届ける。
この度、行われた製作発表会見に、キャスト、スタッフが顔を揃えた。
まず、作家の中島は「45周年なので今までやってきたことも含めて、劇中劇で色んなことを詰め込んで書いたら、今までで1番長くなって、これは4時間コースだと思って、自分で反省して20分ぐらい切りました」と話し、演出のいのうえは「親戚の寄り合いのように、先ほど集合写真を撮ったんですけど、法事に集まったような、でもこれだけ集まるのも珍しいので、だったらお祭り公演にしようと」と語る。
その2人の言葉を受け、主演を務める古田は「劇中劇が多すぎて、一体今は誰が喋ってるのか、役目が変わったりするので未だに役を掴みかねているんです」とぼやきながら、「今回は松本から演舞場まで3ヶ月ぐらい、その間になんとか30分短くしようと思っています」と冗談を交えながらコメント。公開されたポスタービジュアルでは月代姿を披露しているが「そんな立派な月代をつけるのは新感線では珍しい。もっとキラキラする予定です」と期待を寄せた。
久しぶりの新感線作品出演となる橋本じゅんは「久しぶりで緊張していましたが、稽古場に入ったら夢から覚めたような、一昨日ぐらいもきてなかったっけ?みたいな」とすぐに感覚を取り戻したようだが「全身が痛くなっています。それだけ年が経っていたんだなというのを痛感しながら、でもまだいけるぞって手応えもあります」と意気込む。
劇団員である高田は「こんな素晴らしい客演の皆さんと一緒にできるのは、本当に良い未来があったなと思って、頑張りたいと思います」、粟根は「今回の登場人物は破天荒な人ばかりで、私も含め劇団員たちはそのままやっているので、そのままで舞台上に出られれば良いなと思っています」とそれぞれ話し、今回夫婦役を演じる2人の髪型など、風貌が似ていることについて「お揃いにしたんです」と微笑む高田だった。
8年ぶりとなる羽野は、「この機会を待ちに待っておりました。とても楽しみに、この場に来ております。先輩たちとご一緒するのは久しぶりなので、会うとびゅーんと昔に戻って、1人ニコニコしているんですけど。稽古が始まり、素敵なゲストの方々が来てくださって、一等席でお稽古を見ているので毎日稽古が楽しいです!」と笑顔。
羽野と夫婦役を演じる古田が「始まる前に中島さんに呼び出されて、『羽野さんと高田さん、どっちと夫婦が良い?』って。俺は、どっちでもいいわ!って」と裏話を暴露する一幕もあった。
そして、橋本さとしは「劇団を離れている間、気づけばミュージカルで大活躍していて。でも離れている間も劇団☆新感線魂は常にもくもくと燃えていました。だから久しぶりに戻っても違和感なく、新感線のチンピラ俳優のまま戻らせていただいています。ただ、気持ちは20代の気持ちなんですけど、脳みそと体は年相応で、前より漢字が読めなくなってて、人の名前も全然覚えられない。でもそのままの自分で良い環境なんだなと。本番では新感線魂を爆烈させたいなと思っております!」と、自身の衰えを感じながらも力強く意気込む。
さらに、小池は「毎日稽古が楽しくて楽しくてしょうがないです!新感線の大ファンですし、かずきさんが書いてくださった本がとにかく楽しくて魅力的で、いのうえさんがニコニコしながら演出をつけてくださって。私は今年45歳になるので、私が生まれた時に皆さんが劇団を立ち上げたと思うと、お父さんお母さんと一緒にやっているような気分すらするぐらいで」と尊敬の眼差しで、「皆さんのお芝居が楽しくて、毎日稽古でレジェンドたちの芝居を目の前で見れて、じゅんさんとは親子なので、じゅんさんの何かを盗みたいなと表情を色々教えていただいたり……。私にとってはご褒美のような稽古時間です。絶対に見てよかったと思ってもらえるような作品になれるよう一生懸命頑張りたいと思いますので、楽しみにしてください!」と呼びかける。
新感線作品にたびたび出演している早乙女は「こういったメンバーの中に入れることが本当に嬉しくて。45年劇団が続いているのは奇跡のようなことだと思うし、このハードな新感線が初日を明けるということは奇跡みたいなことだと思うんです。僕の中では千秋楽まで終わるのかな?ってぐらい、稽古初日からすごいエネルギーで、その奇跡を見に来ていただきたいです」とコメント。今回は女形という役どころであり、「役者を演じるのは初めてで、恥ずかしいですね。あとは初めて人殺しじゃないんですよね。すごくソワソワしています。殺さなくて良いんですか?」と伺う場面もあった。
向井は、出演が決まった際の心境を「単純に、呼んでもらえて嬉しいなという思いと、実は4年ごとに(新感線の舞台を)やっているので、オリンピックみたいな感覚で参加させてもらっていて。でも毎回1役じゃないんですよね。今回は特に、座付き作家と台詞でも出てくるんですけど、かずきさんの気持ちも入っているんだろうなという独り言のだったり、座付き作家の大変さやプライドも入っているので、これはかずきさんとしてやった方が良いのかな?と思いながら台本を読ませていただいたので。今回、お祭りのような作品になると思います」と語った。
45周年を迎えることについて古田は「入った当初、こんなロック魂の劇団になるとは思わなかったので、それで辞めにくくなって41年いるって感じですね」と再びぼやきながら、懐かしの面々との稽古の日々に「さとしくんとか見るといじめたくなりますね」とニヤリ。その言葉に橋本さとしは「本読みから『おもろいこと言えよ』って先輩命令があり、駄々すべりしました」と肩を落とす場面も。
最後に古田が「皆の稽古を見ているとすごく楽しい作品になりそうですけど、千秋楽までは持たないかもしれません。なので皆さん早めのチケットを持って。何人かはいなくなっているかもしれません。ぜひとも見に来てください」と、ユーモアたっぷりで呼びかけた。
2025年劇団☆新感線45周年興行・秋冬公演 チャンピオンまつり いのうえ歌舞伎『爆烈忠臣蔵~桜吹雪 THUNDERSTRUCK』は、9月19日(金)~23日(火祝)まで長野・まつもと市民芸術館、10月9日(木)~23日(木)まで大阪・フェスティバルホール、11月9日(日)~12月26日(金)まで東京・新橋演舞場にて上演される。