
挑発的、熱狂的でありながらも、美しい詩的なセリフが印象的な数多くの伝説的戯曲を生み出した劇作家・清水邦夫が、新しい世代の作家としての地位を確立した戯曲「狂人なおもて往生をとぐ~昔、僕達は愛した~」を、今最も注目を集める演出家・稲葉賀恵演出で上演。
娼家の女主人のヒモで、逃れたくてもその優しさから逃れられずにいる主人公・出を演じるのは、ドラマ、ミュージカル、ストレートプレイと様々な分野で活躍する木村達成。娼家に集まる登場人物たちが始める家族ゲームの中では長男を演じることになる青年をどう演じるのか、期待が高まる。
共演に、ドラマや映画、CM、舞台と多岐にわたり活動し、24年には第37回高崎映画祭で最優秀主演俳優賞を受賞、近年は舞台での評価も高い岡本玲、『王様戦隊キングオージャー』の主演で一躍脚光を浴び、本作がストレートプレイ初出演となる酒井大成、舞台を中心に活躍し、18年には自身が企画・プロデュース・出演するソロユニット「カリンカ」を旗揚げし精力的に活動する橘花梨、「大人計画」に所属し劇団公演のみならず、外部の舞台や映画・ドラマと数々の作品で幅広い役柄を演じてきた伊勢志摩、長年にわたり活躍し続け、近年はNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』や舞台『千と千尋の神隠し』など話題作への出演が続く堀部圭亮と、確かな実力を持つ俳優陣が集結した。
若者が熱をもって物事に向き合うことが難しい時代と言われる現代に、狂気の中にも不思議と人を引き付ける力強い魅力を持つこの戯曲を現代の演出家が手掛けることにより、人は本来何を求めているのか、この戯曲の熱の正体は何なのか問いかける。
そしてこの度、家族の日常を切り取ったかのような写真が印象的な公演ビジュアルが完成。娼家の女主人とその客、女主人から逃れたいヒモの青年、 若い娼婦とその客の若い男が繰り広げる“家族ゲーム”。その先にあるのは……。今よみがえる、伝説的で熱量あふれる舞台に期待したい。
【あらすじ】
ピンクの照明が妖しげに光る娼家。大学教授と名乗る初老の男「善一郎」はここの女主人「はな」の客である。そして青年「出」は女主人のヒモで、ここから逃げようとしているが、彼女の優しさから逃れられない。この娼家には若い娼婦「愛子」もいて、彼女の客である若い男「敬二」もやって来る。
やがて彼ら5人はまるでここが一つの家族であるかのようなゲームを始める。初老の男が父親、女主人が
母親、ヒモの青年が長男、若い娼婦が長女、その若い客の男が次男。
ところがその家族ゲームとは……。