19世紀ウィーンで巻き起こる音楽史上最大のスキャンダルの真相に迫った、歴史ノンフィクションの傑作『ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく』(かげはら史帆著/河出文庫刊)を基にした実写映画が、まさかの日本で製作決定。バカリズム脚本×関和亮監督の最強タッグと、ベートーヴェンへの愛が重すぎる忠実なる秘書・シンドラー役の山田裕貴、シンドラーから熱烈に敬愛されるベートーヴェン役の古田新太の豪華共演で贈る。
偉大なる天才音楽家、ベートーヴェン。誰もが知るそのイメージは、秘書による”でっちあげ”だった!耳が聞こえないという難病に打ち克ち、歴史に刻まれる数多くの名曲を遺した聖なる孤高の天才ベートーヴェン。しかし、実際の彼は――下品で小汚いおじさんだった…!?世の中に伝わる崇高なイメージを“捏造”したのは、彼の忠実なる秘書・シンドラー。憧れのベートーヴェンを絶対に守るという使命感から、彼の死後、見事“下品で小汚いおじさん(真実)”から“聖なる天才音楽家(嘘)”に仕立て上げる。シンドラーはどうやって真実を嘘で塗り替えたのか?果たしてその嘘はバレるのかバレないのか―?

公開に先駆けて、特別イベント・プレミアムナイトが開催され、大盛り上がりとなったレッドカーペットセレモニーの後は、丸の内ピカデリーに会場を移して舞台挨拶が行われた。劇中衣装で登場したキャスト陣。身につけている衣装は当時に近いものが用意されたそうで、山田は「僕のは1920年代くらいのものなんですよね。嬉しいですね、そういうのを身に纏いながら役をやれるのは」としながらも「動きづらいです」と素直な感想。

ベートーヴェン役の古田は「クソ暑いんだよこれ。皆は普通の生地なのに俺だけベッチンなんだよ。メッシュとかでやってくれねえかな」とぼやき。「服を着ると役に入るのでは?」と司会者からの問いかけに「役に入ったことがないから分かんねぇ」と答え、会場からは笑いが。
そんなベートーヴェンに扮した古田の姿を山田は「僕はベートーヴェンにしか見えなくて、立ってるだけで笑えてくるというか、面白かったです」と込み上げる笑いを隠すことなく感想を述べた。
ベートーヴェンについて、古田は「音楽家としてはすごい才能だと思う。静かな音楽と物凄いロックな音楽と、両方作ってる人だからそれはすごいけど」と尊敬しながら、「今日はベートーヴェンじゃん。ドイツ人じゃん。明日、俺、大阪城の役やるんだよ。もう人でも無くなったよ」と自身の演じる役の振り幅をぼやくと、山田から「まだ人間でよかったですね」と言葉をかけられていた。

衣装やメイクをリアルなものに近づけていった本作だが、撮影自体はバーチャルプロダクションという最先端の技術が使われ、ヨーロッパに行かず都内で撮影。すると、山田から「いや、ウィーンで5ヶ月……」と訂正が入るも、小澤が即座に「はい、捏造!」とツッコミが。
今回の撮影方法について神尾は「すごい新鮮でした。リアルだけど映像になった時に違和感があるんじゃないかと疑っていた部分はあったんですけど、完成したのを見たら全く違和感が無く、海外に行っているかのように見えたので」と話すと、山田が「海外に行ったもんね。ホテルの部屋で皆で飲みましたもんね」と冗談を言い合う一幕も。

登場人物の中で唯一のアメリカ人を演じた染谷は、バカリズムの脚本について「会話に無理がなく、言葉をぶつけていく立場なんですけど、とても説明的な台詞なんですけど、全然説明にならずに喋れて、それが楽しかったです」とコメント。

また、ベートーヴェンの家族を演じた前田と小澤。撮影時のことを、前田は「控え室で待っている時とかは和気あいあいと喋っているんですけど、いざシーンになると絶妙な緊張感というか、ベートーヴェン家ってこういう感じやったんやろうなという雰囲気や空気感がすごく出ていて、ちょっとピリッとしながら本番を演じていたのは印象的でした」と話す。

小澤は「本当にベートーヴェンにしか見えないんですよ。古田さんが現場でそうやっていらしてくださったので、僕はそのベートーヴェンを微笑ましく見つめていたと。そこに何か空気感が生まれたら良いなと思ってやらせていただきました」とそれぞれ振り返った。

そして、本作の目玉シーンの一つである『第九』の初演シーンに登場する小手と野間口。
クランクインの3週前からバイオリンの練習を始めていたという小手は「どの現場に行く時もでバイオリンケースを抱えて、すごい練習しました。撮影の合間も動画を見ながら楽屋でかき鳴らしたり。別室を用意してもらって、撮影の合間に移動して、先生と弾き方のおさらいをして、一生懸命練習しました」と練習の日々を懇々と語るも、「言っちゃいますけど、全然映ってないです。びっくり。すっごい練習したのに!」と告白し、会場からはざわつきが。「引きのコンサートシーンの、この辺に僕、います」と自身が映っている辺りを指差す小手だった。

続く野間口も「僕も腕取れるんじゃないかってぐらい練習していったんですけど、本編を見たら、瞬きのタイミングが悪ければずっと映ってないぐらいの出しろしかなくて。なので、瞬きしないでください」と切実に訴えていた。

舞台挨拶では、作品にちなみ「捏造したい過去の失敗エピソード」を披露する場面も。

最後に山田が「すごくポップなイメージを持って、劇場に足を運んでくださったのかなと思うんですけど、見終わった後、皆さんがどんなことを感じているのかがものすごく楽しみな作品になっていますので、僕は今日の皆さんが見終わった後の顔を想像しながら、ニタニタ過ごしたいなと思っています。楽しんでいってください」とメッセージを送った。