
本作の主人公は、破天荒な絵師・葛飾北斎と彼の娘であり弟子でもあった葛飾応為。「父をも凌ぐ」と言われた画才を持ち、北斎の右腕として、そして数少ない女性の絵師として男社会を駆け抜けていく。
長澤まさみが『MOTHER マザー』(’20)以来となる大森監督との再タッグで初の時代劇に主演、ヒロイン・葛飾応為を熱演。応為の父・北斎を永瀬正敏、応為の友人で北斎の門下生・善次郎(渓斎英泉)をKing & Princeの髙橋海人、北斎の弟子の絵師・初五郎(魚屋北渓)を大谷亮平が演じている。
緊張した面持ちで登場した髙橋は「撮影自体が2年前ぐらいだったんです、久しぶりに東京でこうやってお会いするとなんかやっぱこの面々を目の当たりにすると身が引き締まりますね」と恐縮しつつも「本番前に監督からちゃんとボケてねって言われたんですけど、ちょっとボケれる空気作れるかっていう不安はありますけど英泉らしく楽しみたいなと思います」と挨拶。
本作で念願の時代劇に出演が決まった髙橋、オファーを受けたときの感想を聞かれると「現代じゃない作品に出させていただくことがあれば夢だなと思ってきてたんですけど、北斎っていう絵にゆかりのある方の作品に出ることができるってそれがすごく嬉しかった」と歓喜したそう。続けて「自分が作品に出させていただく上でお名前を見たら長澤さんがいて、永瀬さんがいて、大谷さんがいてもうすごく経験豊富な方々がたくさんいた」と共演者の名前に驚いたそうで「もう正直、その瞬間心が一気に折れるというか怖いなというか大丈夫かおれはって思ったんですけど。でも、せっかく出させていただくならお芝居は助け合いって言葉はよく皆さん言われますけど僕は戦いに出る気持ちで」と告白すると、長澤は「そんなこと思ってたんですか」と驚愕。髙橋は「そうですよ、気づかれないように。今まで経験した自分の少ない武器というか荷物を全部持って京都に向かおうって気持ちでやってました。でも一緒にずっとお芝居させていただいたのはお2人(長澤、永瀬)とだったんですけど、一挙手一投足というか発せられる言葉全てに色気があって力強さがあってすっげえなって思いましたね。その中で自分なりに楽しく戦うことはできたかなって思ってはいます」と満足げな表情を浮かべ、さらに応為を演じた長澤について「応為って人間の奥に長澤さんが持ってらっしゃる力強さだったり、人間としての色気みたいなのがすごくにじみ出てる」と話し、「お芝居は誰かを憑依というか演じるというか1回自分を捨ててその人を作りきるってものだと思ってたんですけど、その奥にその生きてきた役を演じてる本人の人生だったりっていうのが見えた時が1番素晴らしい瞬間なのかなみたいなポイントがこの映画にたくさんあって普通に観客として見てて楽しかったです」と大絶賛していた。
本作は絵師たちの物語であるが、髙橋は急遽絵を描くシーンが追加されたそう。監督が「上手いんでせっかくワンカットまで描いてもらっちゃおうかなって。急にやってもらってすいません」と謝ると、髙橋は「めちゃくちゃ嬉しかったです!」と身を乗り出し、「筆に触れるというか絵を描くって経験をするだけで英泉のことを分かったつもりで入れるというか役作りをしていく上での1つ1つがすごい大事だった」と回顧。だが絵を描きながらセリフを喋ることには苦戦したと明かし「僕、逆聖徳太子で1個のことしかできないんですよ。だからすごい練習して喋りながら描くことをやってましたね」と打ち明けると、長澤から「そんな大変な思いされてると気づきませんでした」と褒められ「練習の成果が出ましたね」と笑顔をみせていた。
この日のイベントには髙橋のほか、長澤まさみ、永瀬正敏、大谷亮平、監督の大森立嗣が出席した。