©2025 Chiaroscuro / NHK / NHKエンタープライズ

原作は、2000年に刊行され、25年経った今も世界中で愛読されている村上春樹の傑作短編連作『神の子どもたちはみな踊る』(新潮文庫刊)。同著に収録されている4編をベースに一部時代設定を変更、1995年から2025年の30年にわたる物語として新たに生まれ変わった。誰もが抱く孤独をマジックリアリズムを交え描き出し、別々の時代・場所に生きる4人の物語が時空を超えて未来へ繋がってゆく。先の見えない現代を生きる私たちが、今見るべき希望の物語が誕生した。

2025年のある日、片桐(佐藤浩市)がゴミ捨て場で出会った奇妙な存在・かえるくん(声:のん)。「再びぼくを助けてください」と頼むかえるくんだが、片桐には過去の記憶がまるでない。
今回解禁された映像では、そんな片桐が暮らす漫画喫茶の一室に招かれたかえるくんが、片桐に重要な話をする様子が映し出されている。
「30年前、神戸で大きな地震があったのは覚えていますか」──そう語りかけるかえるくんは、地下深くで東京に大地震を起こそうとした巨大な“ミミズ”との戦いを片桐に語り出す。
そしてかえるくんの前で、珈琲カップがふわりと宙に浮かび、白い箱へと姿を変える。片桐の目に映るのは、現実とも幻想ともつかない光景だ。その傍らで、かえるくんは「世界はどんな風にも変えることができます。その箱の中も、あなたの想像力次第で何にでも変えることができるということです」と語りかける。そして言葉は、観る者を物語の深層へと誘っていく。

かえるくんの声を演じたのんは、ユーモラスでチャーミングな存在感に独自の温かみを吹き込み、映像に新たな生命を宿した。完成した作品を観たのんは「不思議な世界観を掌握する絶妙な余白に、ぐいぐい涙腺が刺激されました。素敵すぎて」と、佐藤浩市との“声”を通じた共演に感動。「分かりやすい映画だけでなくていい。見た人が感覚的に、肌で感じ取る映画が生み出されたことに心から感動しています」と、想いがつまったコメントが到着した。情報過多で、“分かりやすさ”が過剰に求められがちな現代だからこそ、観る人の数だけ違った余白が生まれる本作を肌で感じてほしい。

<のん コメント>
ファンタジックなムードの中に、抗えない脅威に対する人の動き社会の動きを潜ませていて、これは一筋縄ではいかない作品だととてつもない緊張を感じました。
ですが言葉のつながりが心地よくて、観ていくうちにもっともっとこの作品の意味を知りたくなる。
片桐を演じていらっしゃる佐藤浩市さんの表現する切なさに、不思議な世界観を掌握する絶妙な余白に、ぐいぐい涙腺が刺激されました。素敵すぎて。
分かりやすい映画だけでなくていい。見た人が感覚的に、肌で感じ取る映画が生み出されたことに心から感動しています。

©2025 Chiaroscuro / NHK / NHKエンタープライズ