©︎2025「おーい、応為」製作委員会

江戸時代、破天荒な天才絵師・葛飾北斎の娘として生まれながら、現存する資料は極端に少なく、その実像はいまだベールに包まれている葛飾応為。背が高く長身で、家事は大の苦手。それでも筆を取れば誰よりも緻密で大胆な線を描き、美人画では父を凌ぐと評された。型破りで常識にとらわれないその姿は、時代を超えて<ミステリアスな存在>として語り継がれている。

このたび、長澤まさみが演じる葛飾応為のキャラクターPVが解禁となった。
映像では、火事を「格好が良くて、綺麗でしょ」と見つめ、その体験から応為の代表作「吉原格子先之図」が生まれる瞬間を捉えている。一度、夫と離縁して北斎の元に戻るが、北斎の門弟で売れっ子絵師・初五郎/魚屋北渓(大谷亮平)から「俺は好きだな、お栄ちゃんの美人画」と告げられ、淡い恋心に揺れながら生き方を模索する姿も描かれている。兄弟のような存在の善次郎(髙橋海人)から「寂しくなったりしないのかい」と問われるシーン、さらに母・こと(寺島しのぶ)に「女は赤いものをつけると優しくなれるものだよ」と諭されるシーンなど、絵師としての才気と、一人の女性としての孤独や恋心が交錯する応為の姿が映し出されている。

©︎2025「おーい、応為」製作委員会

応為の現存作には「吉原格子先之図」や「夜桜美人図」のように、光と影のコントラストが際立つものが多い。浮世絵監修の向井大祐、松原亜実は「光と影のコントラストや色彩感覚は北斎とは異なる独自性を感じる」「大量に複製される版画とは異なり、肉筆画が多く残されているのも応為の特徴。依頼や注文がなければ描かれない肉筆画を多く手がけていたこと自体が、彼女の確かな技量を物語っている」と分析。そのうえで「女性だからではなく、一人の絵師として確立した存在。現代的なバイタリティを持っていた」と評価している。大森立嗣監督も「才能があるのに、さらに上をいく天才である北斎のそばで生きることを選んだ。その姿が描きたかった応為なんだと思う」と語り、長澤まさみは「知れば知るほど、味わい深い人物で、実際に彼女に会ってみたいと思った。絵や北斎に対しては、まるで人生そのものをかけているようで、勇ましく神々しい。その全てに憧れを抱きながら演じていた」と振り返る。
豪胆で自由な絵師でありながらも、恋に迷い、傷つきながら自分の信念を貫き、男社会を駆け抜けた応為。その先駆的な存在を、長澤まさみが初の時代劇映画主演で体現する。