11月14日に公開となる映画『君の顔では泣けない』は、君嶋彼方のデビュー小説を坂下雄一郎監督が実写化。数々の名作を世に送り出してきた“入れ替わりもの”に15年も入れ替わったままという独自の設定を加え新たな物語が完成。入れ替わったまま大人になっていくふたりの時間が切なく、そして瑞々しく描かれる。入れ替わってしまうふたり、坂平陸を芳根京子、水村まなみを髙橋海人が演じている。

公開が4日後に迫る中、芸能にご利益があるとして有名な赤城神社にて、大ヒット祈願!公開直前トークイベントが開催。
劇中の陸(芳根)とまなみ(髙橋)が必ず待ち合わせる場所であり、お互いの救いの場でもあった喫茶店「異邦人」をイメージしたセットが用意され、劇中と同様アイスコーヒーとコーラが運ばれてくると、乾杯する一幕が。

公開へ向け、プロモーション期間として行動することが多かった二人。芳根は「この1ヶ月、たくさん取材を受けさせてもらったり、バラエティ番組にお邪魔させてもらった中で、髙橋くんがいる日がすごく安心なんですよ。一人だと全部頑張らなきゃって思うのが、二人だとちょっと力抜いていこっか、みたいな。その温度感がありがたくて」と話すと、高橋は「そんな嬉しいお言葉!自分がそういうバイブスが出過ぎているんでしょうね。のんびり感というか」と嬉しそうにしていた。
続けて芳根は「それがすごくありがたくて、撮影の時もそうだったんですけど、この1ヶ月、またさらにたくさん助けてもらったなという印象です」と高橋の頼もしさを明かすと、対する高橋も「僕の方こそですよ!芳根ちゃんがいるとすごい元気になれるし、楽しい方じゃないですか。結構前の日とかワクワクします。『明日、芳根ちゃんデーだ』って、楽しい感じで」と、お互いの存在に助けられているようだった。

15年もの間、心と体が入れ替わるという難役を初共演で挑んだ芳根と高橋。“共闘関係”のような間柄となる役を演じるのに何か話し合いをしていたのかを聞かれると、芳根は「前提として、陸もまなみも全力で生きていることがベースにあって、陸の場合はそこにさらに不器用でまっすぐでがむしゃらでというのが、まなみと対になると良いなと。でもお互いが全力で生きているから衝突が起きて、その全力で生きるのは高橋くんと私自身も日々そうやって生きているのかなって。だから陸とまなみの“あなたしか理解者がいない”みたいな二人の関係が、ここでも“苦しい”の一言で伝わって、だから、烏滸がましいけど、生き方が似ているのかもなって思う瞬間が何度かありました。二人にしか分からない悩みや葛藤があって、状況がすごいリンクしていたなと思います」」と、撮影を通して二人が役と重なる部分を感じていた様子。
高橋も「現場でもリハのタイミングでも、そこまで多くを語ることはあまりなくて。でもずっと同じ気持ちを持てているんだろうなと感じれたのかなと思います。抱えているジレンマみたいなものが一緒だったから、同じ方向をずっと向きやすかったというか、話しやすかったし、同じ“難しい”を持てていたというのはあるかもしれないです」と共感していた。

また、「お互い正義があって、それぞれの価値観があって、正解もなくて。どちらの感情もあっていて、だからすごい苦しかったし、何度もごめんって思った。『本当ごめん〜!そんな顔させたくないのよ〜!』って思いながら」と葛藤があったことを明かす芳根。「どっちも言っていることが分かって、でも当事者になっちゃうと自分が思ったことを貫きたいって思うのも分かって、一歩引いて見ちゃうと自分がブレちゃうから……っていう難しさもありました」と苦悩していたそう。

高橋は「まなみと陸を逆にしてやってみようってリハの時にやったのが面白かった」と話し、「自分だったら陸はこうやるのか、それを芳根ちゃんはこうやるんだね、とか。そういう表情するんだ、俺だったらちょっと違うかも、みたいな」ともう一人の自分がいるような感覚を感じていたようだが、撮影が終えた後にもその感覚が残っていたようで、芳根から「今年の頭にスタジオで別の作品を撮影している時にばったり廊下でお会いした時に、その時も別の作品で大変なシーンの撮影日だったっぽくて、私を見て『あ!もう一人の俺〜!』って近づいてきたんですけど、もう違うよ、違う人生だよ、頑張ってねって(笑)」と声をかけていたことが明かされる。髙橋は「遠くから笑い声が聞こえて、絶対芳根ちゃんだ!って分かって」と話していたが、さらに芳根から「しかも私は医療ものをやっていたんですけど、全身ピンクのスクラブみたいなすごく目立つんです。そこに現れたから『あ〜!』って。でも、縋られても今の状況はわからないから頑張って!みたいなのはありました。応援しかできないと思いました(笑)」と、撮影が終わった後にも交流は続いていたようだった。