本作はフランス映画『パリタクシー』を原作に、昭和から平成、令和と、日本に生きる人々を長年描き続けてきた山田監督が、刻々と変化する大都市・東京を舞台に、人生の喜びを謳いあげる感動のヒューマンドラマ。終活に向かうマダムを倍賞千恵子、タクシー運転手を木村拓哉が演じている。
ついに公開初日を迎えた本作、鑑賞後の観客を前に撮影時の思い出を聞かれた木村は山田監督が作品を撮影し終わった後に言った言葉を振り返りつつ「『それぞれの今回の『TOKYOタクシー』という作品に携わった人の想いが結局は作品の艶になってると思うんだ。今回の作品は本当に艶に恵まれた作品になったことを僕は感謝します。ありがとう』って言葉を現場の自分たち含め全スタッフに言ってくれた時にすごく良い場所に自分は参加できたんだなって思いに溢れたのをすごく覚えてます」と山田監督の作品にかける想いに触れ感銘を受けたことを明かす。

さらに、宇佐美家3人での撮影シーンについても言及した木村。本作のクランクインが宇佐美家の生活空間だったそうで「山田監督の撮影手法で1番驚かされるところなんですけど、以前自分が参加させていただいた時代劇の時もそうだったんですけど、台本の1ページ目から撮影してる」と明かし、「だから台本の表紙を捲ってほんとにシーン1のト書きからの撮影が始まっていったので、家族3人でいる温度感が本当になんでもないけどギクシャクもしていてそのリアルな温度感を監督に調節していただいて僕だったり奥さんだったり娘だったりっていうこの3人であの空間でその温度をずっと探っていたなっていう感じはあります」と振り返った。
娘役を演じた中島は「撮影中も撮影外でもずっと2人がたくさん話してくださって家族の時間をどんどん作っていってるような気がして毎回撮影がすごい特別な思い出になってた」と2人に感謝しつつ「私がちょっと撮影中落ちてしまった時があってその時にほんと優しいお顔を見せてくださって、『お母さんとお父さんだ~』とか思ったのが1番印象に残ってます」と感慨深そうに話していた。

本作の奇跡の出会いを描く物語にちなんで、忘れられない出会いを聞かれた木村は「いっぱいあります。これって選ぶのが相当難しいなとは思うんですが…」と切り出し、「きっと今後も忘れることはないだろうって出会いは今回のこの作品自体であると思います」と回答。「すごく恵まれてることにスクリーンの前に登壇させていただくタイミングが今から作品をご覧になる皆さんではなくて見終わった後の皆さんにいつも僕ら会わせていただくんですけど、見てくださった皆さんの僕らを迎えてくださる表情、目がすごくあったかいのはものすごくやっぱり忘れられないですし、きっとこういう思いをまたしたくて自分は違う作品の現場に赴くことになれたらいいなって思います」とファンからの温かなエールに感謝を述べた。
フォトセッションではカメラマンから「タクシーを止めるように」と注文を受けた木村、手を高く挙げる仕草で会場を笑わせ盛り上げていた。