南九州一の繁華街、鹿児島県の天文館を舞台にした本作は、困ってる人たちを見過ごせない人情に厚い探偵たちが、訳ありのシングルマザーに手を差し伸べたことをきっかけに、天文館の再開発問題に巻き込まれていく。無謀と知りながらも街を想い、人との絆を大切にしていく姿を描く探偵たちの物語。

主人公・宇佐美蓮役に映画初主演となる寺西拓人。ヒロイン・橋口凪には『劇場版 おいしい給食 Road to イカメシ』(24)の大原優乃。蓮の相棒・健斗に映画『青すぎる、青』(23)の新進俳優・肥後遼太郎が大抜擢。天文館の再開発を進める政治家・板倉雄馬を西岡德馬が務め脇を固める。メガホンを執るのは『うちのじいじは字が書けない』が「29th キネコ国際映画祭」グランプリを受賞した諸江亮が脚本と監督を務め、鹿児島を駆け巡る探偵たちの想いが胸に迫る、この冬一番温かい作品が完成した。

昨年5月、7月、10月と合計約1ケ月間に渡り撮影をし、約1年を経てロケ地である鹿児島県での先行公開がスタートし、好スタートを切った。いち早く見た観客の感想では、「見慣れた景色が沢山出てきて嬉しかった!」「古くからある街と人情が奏でる素敵なドラマだった」「もう映る場面全部分かるー!くらいの街に寺西さんがいるって感動。」「出てくるところ全部が地元すぎて毎日聖地巡礼できる。」など、地元だからこそ、日々見慣れている街並みが映画の中で描かれてることと合わせて、楽しみつつ、そこにキャスト陣が息づいていることに想いを馳せながら楽しむファンが続出。

そして、26日、主演の寺西拓人を始め、ヒロインを演じた大原優乃、地元・鹿児島出身の肥後遼太郎、寺西と共に舞台の本番真っ最中な中駆けつけた重鎮・西岡德馬、そして、肥後同様鹿児島出身キャストの新名真郎も急きょ登壇が決定。メインキャストが揃い、撮影で協力した鹿児島県の皆さんへのお礼と共に、公開を祝し、舞台挨拶を実施。また、今回、ヒロインを務る大原優乃が<鹿児島ファン拡大アンバサダー>を務めており、また本作への支援もしている鹿児島市より、鹿児島市観光交流局長・堀ノ内勇氏より公開を祝し、映画を代表し諸江亮監督へ花束の贈呈する一幕もあり、穏やかで温かなムードに包まれたイベントとなった。

【イベントレポート】
劇場には、多くの観客が詰めかけ、地元出身の大原は「この映画は、故郷でお芝居をするという私の主張を一つ叶えてくださった大事な作品」、肥後も「地元で舞台演出ができることが本当に幸せです。」とあいさつ。

改めて撮影中の印象的なエピソードを聞かれ、寺西は「鹿児島の皆さんは、なじみのある景色が皆さんあるんだな、と。その辺に行けば、僕が走ってた場所とかがあるので、聖地巡礼してみてください。中でも、街中を実際に走ったのがすごく楽しかったですね。」と明かすと、MCからご自身の足で走るシーンだけでなく、路面電車と一緒に走るシーンも緊迫感があったと感想を伝えると、路面電車と追走する聖地巡礼をイメージした寺西がすかざす「あれはやらないでください!はい。あれはダメですよ。」と注意を向け、笑いを誘う。

大原は「一番この現場で私がNG出してしまったのが、主人公の宇佐美さんと出会うシーンなんですけど、“二兎を追う者は一兎をも得ず、でも二兎とも捕まえちゃった”ていう冒頭のシーンなんですが、役としては、すごく危機感を覚えるシーンではあるんですけど、とてもシュールな状況で、何をやってるおいおいと思って(笑)。そこがすごい印象深かったです。」とNGを出したシーンを振り返る。

本作で、大原演じる凪の息子が誘拐され、助け出そうとする工場のシーンをあげた肥後は「工場で撮影してる時はずっと現場にいて見させていただいてたんですけど、カットがかかるたびに翔真君が自分からパイプ椅子に戻ってるのがすごい可愛くて。そうだなあと思って、自分で縛られに行ってて、すごい可愛かった」と語る。

また、西岡は撮影当時は初共演だった寺西と今は舞台で共演中のため、その役柄の違いにを馳せ「やっぱり寺のいいところ一番出てる。皆さんは、この人(寺西)の外見はよくわかるでしょうけども、内見、内面まではよく知らないでしょ。あの映画に出てくるあの男、そのまんまです。そういう優しい、素敵な男。それが僕が今、何ヶ月か一緒にいて、感じてる」と、主人公の宇佐美蓮が寺西の内面と似ていると伝えると共に、女性の観客が多い客席に向かい「何回目ご覧になってますか?この映画、5回目からがね、すごく面白くなるのお。3回目だとまだちょっとね、5回、6回見るとね、どんどんどんどん面白いのが出てくる」と、会場の笑いを誘い温かい雰囲気に。 西岡に主人公と似て素敵な男と言われた寺西は、「嬉しいですね、本当に。」照れながらも、寺西の撮影初日が西岡演じる政治家と対峙する緊迫感あるシーンで、「さすがに怖かったですね。今でこそでもこうして一緒させていただいて、すごくありがたいなと思います。」と西岡との縁を振り返る。

この日はご当地での舞台挨拶ということもあり、寺西と西岡に、鹿児島出身の大原と肥後から鹿児島の観光やグルメを紹介する企画が用意され、大原からは「ラーメンですかね、豚骨ラーメン!私、鹿児島に帰ってくると、2日間で3軒ぐらい回ったりするので、お店によって味がまた違ったりもするので、ぜひ楽しんでいただきたい。」とアピールしつつ、大原のラーメン好きであることも明かされる。そして、肥後からは「唐船峡(とうせんきょう)のそうめん流し」がおすすめされ、そうめん流し発祥の地で鹿児島以外の県では見かけないことから鹿児島らしいグルメをアピール。しかし、関東出身の寺西が知らなかったのを肥後が説明していると、西岡が説明をかぶせだし「“流しそうめん”はそうめんが流れてるんだけど、鹿児島のは自分が流れてるんです。それがそうめん流し。流れるプールのような感じでね。」とウソの説明を始め、寺西が「どういう状況ですか?」と戸惑いをあらわに。その姿を楽しんでる西岡にMCが「西岡さんは召し上がったことは?」と聞くと「私ですか?!いや~、まだ流れたことはないですね~」と冗談を続け観客を沸かせる場面も。

そして、本作の主人公の寺西が演じる蓮と肥後が演じる健斗は、ペットの亀を探したり、困ってる凪に託児所や仕事を紹介したりと本当に人情に厚いキャラクター。本作ではこうした困っている人を助け合える鹿児島県民の持つ「人情」がテーマになっていることにちなみに、この鹿児島で人情や温かさを感じたエピソードを聞かれると、バー兼託児所のオーナー・有村役を演じる新名は、鹿児島出身ということもあり県外から戻ってきた時に、鹿児島の人柄や雰囲気の温かさを感じると語り、西岡は撮影時に、宝くじを買ったが当たらなかったので、「おばさんに絶対当たるのくださいって言ったら、はい、これです。」て言って選んでくれました(笑)と茶目っ気がっぷり。肥後も、「撮影中にお姉様方が声をかけてくださって、「ああ、映画の撮影してるんですよ」って「あらーんとかわいい顔して、本当に」と言っていただけたのが人情でした。」という若さ全開のエピソードで会場の女性客の苦笑を買い、胸を張る。大原は「自分ごとになってしまうんですが、撮影期間ずっと実家から通わせていただいていたので、役として背負うものがとても大きかったんですが、毎日家族に癒しをもらって、日々スイッチの切り替えができていました。」と家族の温かさをあげる。寺西は「1年ぶりに鹿児島に来て、スタッフや街の人から『おかえり』って言ってくださるんですよね。それがなんかすごくあったかい街だな」としみじみ。「撮影で2週間位だったのに、それでも「おかえり」って言ってくれるんだと、すごく感動しました」と明かす。

最後にメッセージとして諸江監督から「皆さんの表情がすごくいいので、次に見るときには表情とか間の芝居とか、そういうところに注目してみていただけると嬉しいです。」と見所を語り、会場から大きなの拍手に包まれた。