
ドラマ初主演の柿澤勇人が演じるのは、元刑事で余命わずかの破天荒な葬儀屋・嗣江宗助(しえ・そうすけ)。ジャージに銀髪、ヘビースモーカーという風貌から一見危険でアウトローに見えるが、その裏には愛情深さや誠実さが確かにある、弔いのプロフェッショナルだ。
本作に臨むにあたり、柿澤は納棺など葬儀の知識について専門書を読み、専門家の指導も受け、役柄に合わせて髪も染めて準備は万全だ。
柿澤は高校一年生のときに観た劇団四季のミュージカル「ライオンキング」に衝撃を受け、“シンバ”を演じたいと俳優を志し、2007年に同劇団で初舞台を踏む。
退団後も舞台やドラマなどで幅広く活躍しており、第31回読売演劇大賞 優秀男優賞、第49回菊田一夫演劇賞といった日本を代表する演劇賞を受賞しているほか、金曜ドラマ『ライオンの隠れ家』(2024年10月期)では物語のカギを握る事件を追う刑事役を好演し話題となった。来年もミュージカル「ジキル&ハイド」、ミュージカル「ディア・エヴァン・ハンセン」で主演を務めることが決定しており、いま最も注目される実力派俳優の一人だ。

原作は清水俊の同名漫画『終のひと』。一見粗野なベテラン葬儀屋・嗣江宗助と、仕事に忙殺され自分を見失ったエリート会社員・梵孝太郎(そよぎ・こうたろう)が、梵の母の急逝をきっかけに出会うところから物語は始まる。嗣江と梵という正反対の師弟が様々な死や遺族と真摯に向き合う過程で、現代社会の家族、孤独、老い、喪失、そして再生を描いたヒューマンドラマが多くの読者を魅了した。
本作は、誰でも一度は経験し共感できる「身近な人の死」を描いた普遍的なヒューマンドラマであると同時に、令和という時代を切り取った一話完結の痛快エンターテインメントでもある。型破りな葬儀屋である嗣江が扱うのは、風変わりな案件もしばしば。ときにダーティーでハードボイルドな嗣江の活躍に、是非期待して欲しい。
<コメント>
■主演・柿澤勇人
この度『終のひと』にて嗣江宗助役を演じます柿澤勇人です。
この作品のオファーをいただいた時期、僕は11年前に旅立った高校の同級生が眠るお寺で手を合わせていました。
毎年彼女の命日には担任の先生やクラスメイトが集まり、彼女との想い出や昔話に花を咲かせます。しかし、僕も皆も口を揃えて言うのが、未だどこか彼女の死を受け入れられない、信じることができないということ。ご遺族のことを思うと一層胸が締め付けられます。
人はいつか絶対に死ぬというのに、僕は今を生きることに精一杯で、自身の死後について、葬儀やお墓、ましてやエンディングノートについても考えられていません。
しかし、清水俊さんの原作を拝読し、徐々に自分の死生観が変わりつつあります。一つとして同じ葬儀は無いこと、そして葬儀は遺された者たちのためでもあること・・・。
このドラマを通して皆様の心のどこかに生きることと死ぬことについて少しでも何かを残すことができれば本望です。その一方でしんみり、悲哀に満ちたドラマにするつもりもありません。
素敵なキャスト・スタッフと共に軽妙な芝居を作り、時にクスッと、時にうるっとくる作品を目指したいと思います!
■原作者・清水俊
この『終のひと』は私の初連載作品であり、思い出深いと共に大事な作品です。それが今回映像化のお話をいただいた事は非常に光栄に思っています。
「死」をテーマにした作品ですが、単純な涙を誘う話にならないように気をつけました。ドラマ版『終のひと』もそこを丁寧に作ってもらえていると思うので、いち視聴者として楽しみにしています。
■プロデューサー・佐井大紀
余命わずかの破天荒な葬儀屋は、様々な「死」にどう向き合っていくのか?
清水先生の原作に思わず胸が熱くなり、映像化の企画書を出したその数日後、親しかった同級生が突然の事故で亡くなりました。ほんの数カ月前に同窓会で会い、家を買ったことや生まれたばかりの子供の話をしていた彼は、まだ30歳でした。
現実を飲み込めぬまま葬儀に参列した私は、涙をこらえスピーチする喪主のお父様や、ときに笑顔まで見せきびきび運営するお兄様、泣き止まぬ赤ちゃんを背負い参列者一人一人にお辞儀するお母様と奥様の姿を見て、葬儀とは故人のためだけでなく残された人々のためにもあるのだと感じ入りました。
ご遺族の気持ちは、そう簡単に推し量れません。しかし一方で私は、お別れの儀式を支える「葬儀屋」の方々の丁寧で機敏な仕事ぶりの節々に、プロとしての覚悟と哲学を見ました。
このドラマは、破天荒な葬儀屋・嗣江とその弟分・梵のしょうもないやり取りに笑いながら、葬儀に関わる人々とその事情、人情、愛情、倒錯、不条理、リアルに胸が締め付けられる、可笑しくて切ないヒューマン・エンターテインメントです。
主演の柿澤勇人さんはじめスタッフ・キャスト一丸となり、心を込めて取り組んでいます。大切な人を失った悲しみを受け入れ、未来を生きようとする全ての方に、この物語を捧げます。







