――デビューのきっかけは?
小学校6年生の時に、初めて原宿に買物へ出掛けた時に、スカウトをされました。私は正直者なので(笑)、スカウトの方に電話番号を教えてしまったんです・・・。数日後に事務所の方から電話があり、家に来て、母と一緒に話しを聞いたのですが、とにかく「やりたくない!」と首を横に振っていましたね。それからも、何度か事務所の方が家へ訪ねて来るうちに、母が納得して(笑)。それから、母の後押しもあり、部活のような気持ちで取り組んでいこうかなと思い、活動を始めました。
――スカウトをされて芸能界に入られた訳ですが、芸能界への憧れというのはありましたか?
その頃、山口智子さんが出演されていた『ダブルキッチン』というドラマを観ていて、なんてハツラツとした演技をする方なんだろうと思い、こんな女性になりたいと子供心に思っていました。それに、ドラマはどうやって作られるのかという事にはとても興味がありました。
――芸能界に入られてから今まで沢山のお仕事をされていますが、特に印象に残っていることはありますか?
『聖者の行進』や『ガラスの仮面』という作品は、もちろん印象深いのですが、そういったお仕事の内容よりも、出会った方達の印象の方が強いかもしれません。高校3年間はお休みして復帰した時に、以前お仕事をした方々とまたご一緒する機会が何度かあったんです。その方達の顔を見た瞬間に、「あの方とは、あのお仕事でご一緒して、あんなお話しをしたな。」と、昨日のことのように思い出が蘇ってきて、自分でも驚きました。
――とても記憶力が良いんですね。それは、台詞を憶えるのにも発揮できるのでは?
そうですね。復帰したての時はなかなか勘が取り戻せなかったのですが、演技をしているうちに少しずつ戻ってきました。高校生の時は、「台詞憶えが良かったのか、テストの点数も良いわね。」と、先生から言われることもあり、こんなところで生かせるんだなと思いました(笑)。

――女優さんの顔を持ちながらも、去年の9月に『セラフィータの子守唄』で歌手デビューもされましたね。
去年、『FIGHTING GIRLS』と『HEART of GOLD』というミュージカルに出演し、その合間にレコーディングをしていたんです。初めてのことだったので、難しかったですね。ボイストレーニングは以前からやっていたので、“此処で力を発揮しなければ、いつ発揮するんだ!”という勢いで、全エネルギーを注ぎました(笑)。
――この曲は、後ほどお話を伺う『東京フレンズ』の監督・永山耕三さんが作詞されていますね。
永山耕三さんは、松たか子さんの曲も作詞されていたり、ドラマ『ロングバケーション』の監督をされたりと、私の大好きな作品を手掛けていらっしゃる方だったので、お会いした時の衝撃は凄かったです。永山さんが作詞をしている場にご一緒させて頂くこともあり、私のイメージも汲み取りながら作って頂けました。作曲して頂いたSinさんも、『ロングバケーション』の楽曲を手掛けた素敵な方で、私はとても恵まれているなと思いました。
――もともと歌はお好きだったのですか?
歌は大好きです。幼稚園の時は、歌手になりたいと思っていたんですよ。小さな頃から、表現することが好きだったのかもしれません。
――昔から表現することが好きだったということですが、ご自分で作詞をしてリリースということは?
作詞も興味があるので、いつかやってみたいですね。私が20歳の時に、母が若い頃に書き溜めた詞をプレゼントしてくれたんです。もし、詞を書く機会があったら、母の詞と私の詞をコラボレーションして作詞できたら良いなと思っています。

――女優、歌手、そして雑誌『Ray』のモデルとしてもご活躍されていますが、いかがですか?
そうですね。色々なことに挑戦できるのは嬉しいことだと思います。最近では、中国版『Ray』にあたる『瑞麗』という雑誌の表紙を北京で撮影することができました。今、中国では、私が写っている『Ray』の写真付きバスが走っているそうなんですよ。これをきっかけに、もっと活躍していけたらと思い、まずは中国語の勉強を始めました。話しが通じないとお話しにならないので、皆さんの前で公言して自分を追い込んでいきます(笑)。
――以前からファッションに関心をもっていたのですか?
小学生の頃はデザイナーになりたくて、友達に「こんな服が似合うんじゃない?」とデッサンをしたり、お母さんのクローゼットを開けて、どんなものがあるのか見てみたり、刺繍をしてみたりと昔からファッションやコーディネイトをするのが好きでした。好きだった事を活かせる場も頂き、Samantha Vegaのバッグをデザインをすることができました。
――色々な才能を発揮できる場がありますね。
段々と思い描いていたことが実現できるようになって、嬉しいですね。これからもどんどん出来ることを広げていって、今後はジュエリーのデザインもやりたいなと思っています。
――女優業のお話に戻りますが、4月に公開された『富江 BEGINNING』が5月27日にDVDとなって発売されますね。
富江シリーズのDVDは、売れ行きが好調というお話を聞いているので、『富江 BEGINNING』も期待しています(笑)。富江は、歴代に菅野美穂さんや山口紗弥加さんが演じられていて、少しプレッシャーを感じていたのですが、監督が求めていたのは、“富江”本来の姿を再現したいということで、今までの作品は敢て観ずに、監督と一緒にオリジナルを作り出しました。
――撮影中、大変だったことはありましたか?
富江を演じる時、目の下にあるホクロの位置と大きさが気になるんですよ(笑)。撮影の度に描いてもらうのですが、メイクさんと、「どれくらいの大きさでした?」とか、「そんなに大きくなかったはず・・・。」という会話から始まるんです。難しくて奥が深いんですよ、富江のホクロは(笑)。
――富江は、クラスメイトが狂ってしまうほどの美貌の持ち主という役柄でしたが、役作りはどのようにされていたのですか?
まず、台本を読んだ第一印象で、その役のイメージや色が思い浮かぶんです。この富江の場合は、濁った紫色が思い浮かび、そういった直感を活かして演じていますね。以前演じた『エースをねらえ!』の“お蝶夫人”はイメージがほとんど固定されていると思うのですが、今回は、松本莉緒が演じる富江が求められていたので、自由にやらせて頂きました。自分がイメージしたままの富江が出ていると思います。映像面でいうと、皆が狂っいるところは、ちょっと笑いながら観られるのではないかなと思います(笑)。
――ホラー映画なのに、面白い部分があるんですか(笑)?
富江が食べた葡萄の皮を放り投げ、それを男性陣が群がり奪い合う場面があるんですが・・・。収録後にその様子をチェックしながら皆で笑ってしまいました(笑)。ホラーなんですが、楽しい現場でしたよ。
――逆に恐い思いはされませんでしたか?
廃墟になった学校で撮影をしていたんですが、撮影中にすごく頭が痛くなりました。頭が重くて、段々と傾いてしまうんです。それが1、2日程続いたのですが、学校の撮影が終わったらなくなりました。私は全く霊感は無いので、話しても信じてもらえないかもしれませんが、学校には何かいましたね(笑)。

――そして『富江 BEGINNING』に引き続き、6月8日にドラマDVD『東京フレンズ』が発売になりますが、簡単にストーリーと役柄について教えていただけますか?
舞台は東京の居酒屋なんですが、そこで出会った、それぞれ夢をもっている4人の女の子達が恋愛や仲間との友情を通して成長していく姿を描いています。日本版『SEX and the CITY』のような感じでしょうか。私は、女優を目指す、とてもまっすぐで明るい女の子、羽山ひろの役を演じています。皆さんがイメージしている松本莉緒というよりは、私の身近な人達が感じる松本莉緒の方が、ひろのに近いかもしれませんね。ひろのは、佐藤隆太さん演じる里美健一(先輩)が好きで、先輩に劇団に誘われると二つ返事で入ってしまう素直な子なんです。その劇団というのが、先輩と白タイツを履いて、馬の被り物をし、「ロミオとジュリエット」を演じるという、不思議な劇団で(笑)。監督にも白タイツだけは嫌ですと言っていたんですが、頑張って演じました(笑)。
――今回、主演が歌手の大塚愛さんですが、松本さんから見て大塚さんはどんな方でしたか?
大塚愛ちゃんは目標がはっきり見えている人ですね。演技に関しても、昔は女優さんを目指していたことがあるのではと思う程、台詞まわしや、感情をこめるのが上手で、凄い感性の持ち主だなと思いました。
――何かアドバイスをされたりしましたか?
アドバイスというよりは、励まし合いながら一緒にやっていました。愛ちゃんは体も細くて小さかったので、忙しい時は愛ちゃんの体が心配で(笑)。収録の合間に渋谷の109でお揃いの帽子を買って、「頑張って!」とプレゼントをあげたりしました。
――もうすでに、コミックの『東京フレンズ』が、発売になりましたね。
絵がすごく可愛いですよね。(漫画を読みながら)玲ちゃん、鼻血が出てる(笑)。DVDの方でも、愛ちゃん演じる玲が鼻血を出すんですよ。
――でも、コミックとDVDで違うところもあるそうなので、読み比べるのも良いですね。
そうですね。それに、漫画の登場人物とDVDの登場人物を照らし合わせるのも楽しいかもしれません。
――コミック特典DVDにメイキングが収められいて、とても楽しそうな印象を持ったのですが、いかがでしたか?
メイキングを収録するのも楽しくて、皆で笑いながら撮っていて、まるでお仕事ではないように、和気あいあいとして雰囲気でした。撮影時も、楽しい現場で、『東京フレンズ』という友達をテーマにしている作品なだけに、現場の空気も大切にしていきたいという思いがありましたね。
――『東京フレンズ』の見どころを教えてください。
全部です(笑)。去年の6月に1,2話、今年の2〜3月に3,4,5話を撮ったので、普通のドラマと違いスパンが長かった分、みんなの成長ぶりも伺えますし、色々なジャンルの人が集まり一つの作品を作るというのは、珍しいと思うので、楽しみにして頂きたいと思います。
――これから、どのような活動をしていこうと考えていますか?
常に、大人のファッション雑誌の表紙を飾れるような、素敵な女性になることが目標の一つです。そして枠にとらわれずに、いろいろな事に挑戦して経験を積んでいきたいですね、例えば中国語を勉強しているので、中国映画に挑戦したり(笑)。
――最後に、ファンの方へメッセージをお願いします。
松本莉緒を観ると元気が出るというような存在になれるよう、頑張ります。あと、莉緒のファンクラブは絶賛申込み受付中です(笑)!