――0歳からモデルとしてお仕事をされていたということですが、一番古い記憶はどんなことですか?
3歳くらいの時だったと思うんですが、スタジオでスチール写真を女のコと一緒に撮影をしていて、その女のコが、何枚か撮り忘れて帰ってしまったんですよ。僕が代わりにそのコの服を着せられて、撮影したんですけど1、2枚撮られて泣いたのを憶えてます(笑)。相当、イヤだったんでしょうね。
――小学校に入り、学校とお仕事の両立が大変だったと思うのですが、辞めたいと思ったことはありませんか?
それは、全くないです。友達と遊べないとか、時間がないと思ったことがないんですよね。どちらかというと、学校の合間に仕事をしていたという感覚だったので。
――自然と芸能界に入っていたという感じでしょうか。
そうですね。当時は、続けていこうとか、辞めようという意識が無かったし、この道で一生やっていくとも思っていなかったですから。卒業アルバムにも、体操選手になりたいと書いてました(笑)。考えてみると、特別なことをやっているという感じではなく、学校に行くのと同じでしたね。

――2004年度NHK大河ドラマ『新選組!』に、土方歳三役としてご出演されましたが、そのご感想は?
自分の役がどうだったかというよりも、大河ドラマのレギュラーとして声を掛けてくださった三谷さんへの感謝の気持ちが強いです。
――土方歳三のイメージが定着したと思うのですが、ご自分ではどう感じますか?
『新選組!』を見ていた方は、そういったイメージがあるのかもしれませんが、自分では特に意識してないですよ。もちろん、土方歳三のことについて少しは勉強しましたけど、特別頑張って“土方”を作り上げたという意識はないですね。
――役作りはどのようにされたのですか?
役作り・・・。僕、役作りの意味がよく分からないんですよ(笑)。役作りをしてしまうと、演技の幅を狭めることになると思うんです。役によっては、どんな人なのかを決めるほうが良い時もあるとは思うんですが、僕の場合は、その時に“こうした方が良い”と思ったことを試してみるタイプなので、あまり“役作り”というものに囚われないで演じています。
――昨年の12月に放送が終了した後も人気を博している『新選組!』ですが、来年の1月に続編が放送されるそうですね。
絶対に続編が観たいと思われるような、うまい終わり方をしてます(笑)。だって、“新選組”の話しを最後までやってないですからね。あのままだと“新選組”の話しではなくて“近藤勇”の話しですから(笑)。
――その続編では、土方歳三がメインでお話しが進むようですが、意気込みは?
香取君をはじめ、色々な仲間と1年振りに『新選組!』を作るので、前回と同じような想いをもう一度現場に蘇らせて、撮影が出来ればいいなと思います。ただ、前回の『新選組!』では、土方は死んでいないので、自分の中では消化不良というか、まだ“終わっていない”という気持ちがありました。それが今回で終わってしまうので、ちょっと寂しいですね。
――また、近藤勇(香取慎吾)と土方歳三のツーショットは見られるんでしょうか?
あると思いますよ。どんな風になるかは分からないですけど(笑)。
――他にも、沢山の方が出演されていましたよね?
男だらけです(笑)。でもすごく仲が良いんですよ。
――エランドール賞を受賞された時に、三谷さんから「早く、飲み会のセッティングをしてください。」とお願いされていましたが。
やりました。忘年会と新年会をやったんですけど、25人くらい集まりました。
――共演された、香取慎吾さんとも飲みに行かれたりするんですか?
たまに行きますよ。もう、“仲が良いよ”という軽い感じではなくて、地元の友達のような・・・、深い感じになってしまいました(笑)。イヤらしい意味じゃないですよ(笑)!“友達”というと、たまに連絡して遊んだりするくらいだと思うんですけど、そうではなくて、酔ったりすると会いたくなって、切なくなるんです(笑)。それくらい、近藤と土方の絆が深いということですよ。
――(笑)!では、撮影も充実していたということですよね?
本当に中身の詰まった1年間でしたね。また再会して、仕事ができるというのは嬉しいです。

――現在公開中のCXドラマ『恋におちたら』の、魚屋を営んでいる安藤龍太役では、土方役とは全く違ったキャラクターを演じられていますが、これに関しても、あまり役作りはしていないのですか?
衣装などの見た目に関しては、最初の段階で衣装さんや監督さんに、“下駄を履く”とか、自分なりのイメージを伝えました。あとは、それを着た時に、それがどんな人物なのか模索して料理しましたけど、それくらいですね。
――龍太の着ているTシャツが凝ってますよね。
それも僕の提案なんです(笑)。魚に因んだTシャツを毎回変えているんですよ。
――龍太という存在は、草なぎ剛さん演じる島男や視聴者を含めて、ホッとする瞬間を与えてくれる人物だと思うのですが、演じてみていかがですか?
ドラマの内容からすると、ITとか、フロンティア(ドラマの舞台となっている会社名)とは、全く関係ないんですよね(笑)。だからこそ、なんでも出来る。劇中の人物が、泣いたり、怒ったり、人間的な部分をクローズアップすることによって、観ている人も感動すると思うんです。その“ドラマ”に一番重要な、観ている人の気持ちを動かすという部分に出演させて頂いていると思っています。
――龍太とまり子(木村佳乃)の二人の関係もどうなるか、見どころの一つですよね。
そうですか!?見どころなんでしょうか(笑)。
――(笑)見どころですよ。二人がどうなるのか気になります。
龍太はまり子のことが好きですからね。どうなるのか・・・分からないですけど(含笑)。
――6月23日が最終回ということで、目が離せませんね。
もう終わりですか!?大河ドラマをやったからか、3ヶ月ワンクールのドラマはあっという間に終わってしまいますね。
――大河ドラマに比べると4分の1の期間ですよね?
実は、大河ドラマは14ヶ月かかってるんですよ。その所為か、大河をやってから僕の時間のサイクルが変わった気がします。他の俳優さんと打ち解けるのに、3ヶ月間の撮影期間だと時間が足りないんですよ(笑)。「昔はどうしてたのかな?」と、ちょっと思いました(笑)。撮影中も、島男(草なぎ)とまり子(木村)が主で、他の俳優さんとは絡まないですから。もちろん、撮影は楽しいんですけど、あっという間に終わってしまうんですよね(笑)。

――7月9日からミュージカル『ラスト・ファイヴ・イヤーズ』が始まりますが、どんなストーリーなのですか?
僕が演じるシナリオライターのジェイミーと、Naoさん演じる女優志望のキャサリンの出会い・結婚・別れ、までを歌で綴る切ない物語です。役どころと言っても、重い病気を持っている訳でもなく、大事故が起きる訳でもないく、役柄や人柄を伝える物語でもないので、それだけをお話ししても、面白さが伝わらないんですよ。この舞台の面白いところは、キャサリンは別れから出会いを歌い、ジェイミーは出会いから別れを歌うというところですね。お互いの時間が交差する時に、一度だけ同じ“時間”を歌うんですが、あとは時間軸が違うんです。それだけで、普通のお芝居ではなく、面白いトリックが施されている舞台だなと思いました。
――歌がメインとなりますが、ボイストレーニングはされているんですか?
あの・・・先生に付いてボイストレーニングをしたことがないんですよ(笑)。まず、その先生がどのくらい凄い人なのかを知りたいですね(笑)。テクニックとして、色々なことを勉強しなくてはいけないと思うんですが、自分で研究してやってみると、ある程度は出来るようになります!一番重要なのは、歌を好きになることと、“心を込めて”ではなくて、“気持ち”で歌うことですね。
――それは、飾らないで歌うということですか?
そうですね。僕は“山本耕史”という歌手ではないですし、アルバムを何枚も売らなくてはいけない訳ではないので、雰囲気を作って歌う必要も、取り繕う必要もないんですよ。だから、舞台上でも僕自身の感情のままで歌って、その自分自身を客観的に見ても納得がいくようなものにしたいと常に思っています。
――ミュージカルは、ドラマや映画とは表現の仕方が全く違うと思うのですが、取り組み方も変わるのでしょうか?
僕の中で、台詞も歌もあまり変わりません。普段、友達や親や知り合いとコミュニケーションをとりますよね。ドラマや舞台の中でも、いつものようにコミュニケーションをとっていますが、それは台詞を憶えて本当のことのように演じ、観ている人に伝わるように演じているんです。その伝える手段が、台詞か歌かということだけで、気持ちの持ち方は変わらないです。台詞の方が歌より伝わったり、歌の方が台詞より伝わったりしますからね。
――ミュージカルの方が、伝える手段として難しいのでは?
ある人が、歌や音楽は短い時間でも感動させることができると仰っていて、なるほどと思ったんです。歌は、約5分間でストーリーが分かり、細かい心の動きまで表現できる。だから、表現方法として歌を用いる方が、伝わりやすいこともあると思うんです。『ラスト・ファイヴ・イヤーズ』は、気持ちの中の一つを歌で表現しているんですが、14曲集まることによってストーリーや登場人物の心情もより深く分かると思います。
――ドラマの撮影や、ミュージカルなど予定が沢山あり忙しいとは思いますが、今後やりたいことはありますか?
一人でバイクに乗って、温泉に行きたいですね。最近、全くバイクに乗ってないので、来年あたり行きたいです。
――最後にファンの方へメッセージをお願いします。
本当に心を込めたものが文字として伝わるのなら“応援してくれてありがとう”なんですけど・・・。本などで“いつも応援してくれてありがとう”というメッセージを見ても、なんか・・・あまり伝わってこないんですよね(笑)。でも、本当に“有難う、頑張ります!”という気持ちです。応援したいと思ってくださる間は応援してください!