
原作は外務省医務官を経て、現在も在宅訪問医として活躍する久坂部羊の小説デビュー作「廃用身」(幻冬舎文庫)。出版当時、そのあまりに強烈な設定から、「映像化、絶対不可能!」と世間で話題を呼んだ。
監督と脚本を務めるのは吉田光希。東京造形大学在学中より諏訪敦彦に師事し、塚本晋也作品での現場経験を経て、『家族X』(10)、『三つの光』(17)でベルリン国際映画祭をはじめとした多数の国際映画祭での評価を通じ、世界で注目を集めてきた。本作は、そんな𠮷田が学生時代に原作と出会って衝撃を受けて以来、20年にわたり温め続けてきた、渾身企画の映画化となる。
主演は、幅広い役柄をこなす変幻自在な演技力で、圧倒的な存在感を放つ実力派俳優・染谷将太。医療の限界を超えたいと力強く訴え、理想を追い求めるあまり、合理性と狂気の危うい狭間へと踏み込んでいく主人公、医師・漆原糾(うるしはら・ただす)を怪演。

共演には、老齢期医療に革命を起こす可能性を感じ取り、漆原に本の出版を持ちかける編集者・矢倉俊太郎を、主演映画『逆火』(25)や主演ドラマ「小さい頃は、神様がいて」(25/CX)、連続テレビ小説「おむすび」(25/NHK)など話題作への出演がつづく北村有起哉。両脚と左腕の麻痺に苦しめられ、漆原の〈画期的な治療〉で人生を取り戻した岩上武一に、映画『首』(23)や大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(25/NHK)の出演など、名バイプレイヤーとして活躍する個性派俳優の六平直政。漆原を支える妻の漆原菊子に、『由宇子の天秤』(21)で注目され、『敵』(25)『宝島』(25)『国宝』(25)など幅広く活躍する瀧内公美。その他、廣末哲万、中村映里子、中井友望、吉岡睦雄らが脇を固める。
この度解禁されたキャラクターカットには、静まり返った空気の奥に潜む異様な気配が漂う。デイケア施設「異人坂クリニック」の院長・漆原糾(染谷将太)は、どこか底知れぬ影を宿した佇まいを見せる。さらに、〈画期的な治療〉の噂を追い施設を訪れた編集者・矢倉俊太郎(北村有起哉)の姿も切り取られ、確信にも似た熱を帯びた眼差しを向ける。患者でありの自由を奪われた岩上武一(六平直政)が浮かべる真意の読み取れない表情は、見る者の胸に重く沈む不安を呼び起こす。そして、漆原の妻・漆原菊子(瀧内公美)は複雑な感情を内に秘めた眼差しを向け、同じ施設で働く看護師・内野(中井友望)は、その治療の残酷さを見つめるような張り詰めた表情を湛えている。

彼らの視線の先にあるものは、救済の約束された楽園なのか、それとも取り返しのつかない喪失の地なのか――あるいは、その境界すら曖昧な場所なのか。息が詰まるような静謐さと不穏さが同居する、重苦しい余韻を残すキャラクターカットとなっている。









