「シラノ・ド・ベルジュラック」は17世紀フランスに実在した詩人にして、剣豪で、勇気のあるシラノを主人公にした、エドモン・ロスタン作の戯曲。壮麗で高潔無比で自由な精神を持つシラノの永遠の愛の物語は、1897年の初演以来、世界中でたくさんの人を魅了してきた。

2019年秋~2020年までロンドンのプレイハウス・シアターでジェイミー・ロイドの演出によって上演された際に、マーティン・クリンプによって現代的な脚色がなされ、前代未聞の全く新しい「シラノ・ド・ベルジュラック」が誕生。
ローレンス・オリヴィエ賞でリバイバル賞を受賞し、世界中から絶賛された、このマーティン・クリンプ脚色版の傑作を谷賢一演出により日本初上演となる。

主演であり美しい心を持つ英傑なシラノを演じる古川雄大のほか、才色兼備のロクサーヌを演じる馬場ふみか、美しいが口下手なクリスチャンを演じる浜中文一、シラノの宿敵であるド・ギーシュ役の堀部圭亮、ロクサーヌを支えるマダム・ラグノ役の銀粉蝶ら、華と実力を兼ね備えるキャストが集結。

開幕目前となる2月6日(日)には、公開ゲネプロと取材会が行われ、取材会にはキャストの古川、馬場、浜中、演出の谷が出席した。

ゲネプロを終え、古川は「谷さん演出の元、ここでしか見れないものが出来上がったんじゃないかなと思っております。たくさんの方に見ていただきたいなという気持ちです」とコメント。

馬場は「本当にこれだけ大変な状況の中、こうして明日開幕を迎えられるということ、そしてお客様に見ていただけることが本当に嬉しいなと思っています。稽古で頑張っていたので、それを皆さんに見ていただきたいなと思います」、浜中は「見に来てくださる方が楽しく、こういう状況ですけど忘れていっぱい楽しんでもらえるように一生懸命やろうと思います」と続けてコメント。


演出を務める谷は、「今来てくださるお客様は演劇が自分にとって必要だと思っていてくれている方だと思うので、ここでそういう方たちと一堂に会することが嬉しいですし、そういった声に応えられるようなステージを目指して頑張って行こうと思います」と、語った。

稽古の感想を問われると、古川は「本を読んでもとても大変な稽古になるだろうなという思いで稽古に臨んで、もちろん大変なこともあったんですけど、谷さんが作り出す柔らかい空気や温かさ、時に鋭さだったりとか、その空気のお陰で前を向いて出来たかなという気持ちです。谷さんのプランを聞くのが常に楽しみで、こんなふうに表現するんだっていうどんどん新しい要素というものを探している方なので、それにしっかりついて行きたいなという思いで稽古させていただきました」と振り返る。

「今回の稽古は何回も何回も本読みをして、こんなにいっぱい本を読みをした稽古は初めてでした」と話す馬場は、「何回も何回も読んでいく中で、それぞれの人物だったり背景だったり、色んなことを読み解いていった先に通し稽古だったので、この作品自体言葉をすごく大切にしていますけど、その言葉の一つ一つ、この言葉の意味には裏ではこういうことがあるよねっていうのを皆で理解しながらの稽古で新鮮でしたし、良い時間でした」と、充実した時間になったとのこと。

浜中は、「僕はすごい最初から出来すぎちゃってて、10日間くらいお休みをいただいたんですけど。「ちょっとあいつ完璧すぎやから頭冷やしてこい」って。……それは嘘なんですけど」と、コロナウイルスに罹患し、休養していたことにも触れながら、「復帰後からも僕も変な感じになることもなく温かく迎え入れてくださってありがたかったですし、楽しい稽古場でした」と感謝を述べた。

物語の中でコンプレックス抱くシラノに関連し、キャスト陣にも自身が抱くコンプレックスはあるか?という質問には、「乾燥肌」と挙げた古川に、馬場が「(古川の)手を握る瞬間があるんですけどびっくりするぐらい乾燥していて、いつもハンドクリームを塗られているんですけどそれでも乾燥しているので心配です」と明かす。

また、馬場自身は「ロクサーヌって自分の気持ちだったりとかストレートにどんどん割といえるタイプ、私は大事なことほど言えないタイプなので、そこかな?と思います。余計なことは意外と言えるんですけど」と笑みを見せる。

浜中は「コンプレックスは考えてたんですけどないような気がしてます。パーフェクトなところがコンプレックスかもしれないですね!」と自信満々に話しながら、「……ちょっと適当に喋りすぎですね」と反省する場面も。

古川にとっては、10年ぶりのストレートプレイでの主演となるが、「日々楽しくやらせていただいています」と充実感をのぞかせながら「10年ぶりの主演ってすごく自分自身プレッシャーに感じているところもありますし、シラノを演じるってかなり大変なことだと思うし、誰もがやりたい役だと思います。その中で自分を選んでいただけたってことでプレッシャーではあるんですけど、何よりも楽しんでいることが不思議でもあり嬉しく感じてます」と語る。

馬場・浜中から見て古川はどのような座長かという質問には、馬場は「すごい大量のドーナッツを食べてました。昼から夜までの稽古で7個ドーナッツを食べてて、びっくりしたんですよ」と稽古中のエピソードを暴露。「それくらいカロリーを使いますし、いつも最後まで稽古場に残って、皆が帰った後もずっと本を読む姿を見ていました」と古川の努力も目撃していた。

浜中は「同い年なんですけど、頼れるお兄ちゃんみたいなイメージ」と頼もしさを感じている様子。「僕はそこまでお稽古の時間が得意じゃないのでなるべく早く帰りたい人なんですけど、稽古場に最後までいて向き合っている姿見て、そこは尊敬するなって思いました」と話す。

最後にお客様へ一言として、浜中は「全身でシラノ・ド・ベルジュラックを楽しみたいと思います」、馬場は「私も楽しんで頑張りますのでぜひたくさんの方に見ていただけたら嬉しいなと思っています」と語る。

古川は、「シラノ・ド・ベルジュラックの溢れる魅力を皆様に伝えるべく毎公演魂を込めて舞台に立ちたいと思っております。北京では今、熱い戦いが繰り広げられています。ここ、池袋芸術劇場でも言葉の熱い戦いを繰り広げたいと思いますので、ぜひ劇場に足を運んでいただけたらと思います」と会見を締めくくった。

『シラノ・ド・ベルジュラック』は2⽉20⽇(日)まで東京芸術劇場 プレイハウスで上演され、その後、2月25日(金)から大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TT ホールで上演される。