
2017年に「蜜蜂と遠雷」で第156回直木賞、第14回本屋大賞をダブル受賞した恩田陸が、2005年に発表し第59回日本推理作家協会賞に輝いた傑作ミステリー『ユージニア』。2020年に「ニューヨーク・タイムズ今年の100冊」に選出、2022年には「ドイツ犯罪小説賞・国際部門」で1位を獲得するなど、海外でも高く評価された。恩田は本作を「読むと不安になって、読み進めるとさらに不安が深くなる、デヴィッド・リンチ監督の『ツイン・ピークス』みたいなお話」と形容した。
この「伝説の本」が、約20年の時を経て、全6話のWOWOWオリジナルドラマとして映像化し、11月8日(日)より放送&配信スタートする。
今回、本作で国指定重要文化財の兼六園・成巽閣の「群青の間」で撮影を実施した。群青の間でドラマ作品の撮影を実施したのは、本作が史上初となる。
成巽閣(せいそんかく)・群青の間とは、1863年に加賀藩13代藩主・前田斉泰(なりやす)が母・眞龍院の隠居所として建てた奥方御殿・成巽閣。建築当時は巽(たつみ)御殿と呼ばれていたが、のちに成巽閣と改められた。大名御殿に相応しい風格と女性らしい優雅さを備えた造りが特色。江戸時代末期の大名屋敷の代表的建築として、国の重要文化財に指定されている。群青の間は階上にあり、意匠を凝らした数奇屋風書院の造りとなっている。天井は折上天井とし、素材の杉柾を目違いに張り、蛇腹(折上天井の境界部分)および目地にはウルトラマリンブルーという西欧より輸入された顔料を使用した群青が特異な意匠となっている。天井の群青から壁に朱を用いた色鮮やかな部屋となっている。北陸新幹線「かがやき」のグリーン車に使われている色のモチーフとなった。
本作での撮影に関して、成巽閣の館長の吉竹泰雄氏からのコメントも到着した。「最初にお話がありましたのは3年前の事です。本格的ドラマ作品はこれまで無く正直、実現するとは思いませんでした。ただ原作を拝見し、制作の皆さんの熱意から『群青の間』を欠くことはできないという思いに至り今回の撮影となりました。」と、吉竹氏のコメントから、本作を制作するうえで、「群青の間」は必要不可欠であることが窺える。
本作では、40代の友子(木竜麻生)が32年前の毒殺事件に関して満喜子(岸井ゆきの)に取材をする場所として使用される。実行犯以外に野放しになっている犯人がいることを満喜子著の小説で示唆していると友子が指摘。いくら事実に則していても人間が書く以上、ノンフィクションというものは存在しないと満喜子は指摘し、不気味な笑みを浮かべる。
そして今回、本作の場面写真が解禁となった。
本作の中心人物である3人の女性の20代と40代の対比では、取材時は事件に真相が存在するように思えていた満喜子(岸井ゆきの)、美しく感情を露にしないミステリアスな緋紗子(成海璃子)、そして大学在学時にあることがきっかけに事件を知ることになる友子(木竜麻生)。20代の3人はまるで未来が開かれているように活力がある。一方で40代の3人は事件の記憶に人生が侵食されているかのごとく悲壮感を感じさせる。



満喜子の兄で、満喜子と同じく事件の第一発見者となった誠一(丸山隆平)もまた、惨劇を目の当たりにした人物。事件関係者への取材を行う友子は、誠一とも会うのだった。
4人をはじめ、本作の登場人物は欲望や嘘、人間関係の歪みさえも感じており、事件そのものの記憶や影を人格化していた。

地元医師会の代表を務めた青澤医院の邸宅で起こった17名の毒殺事件。
その日は青澤家当主の還暦と、その母親と息子、三世代の誕生日を祝うため、大人数が訪れていた。幼少期に盲目となった緋紗子(倉持春希)を救いたい、正しい道へ導きたいという思いがある母(真木よう子)。緋紗子を深く愛し、聖なる存在として扱い、理想像を彼女に投影した。
そして、緋紗子の成長を、20年近く家に仕えたキミさん(かたせ梨乃)は間近で見てきた。母とも違う立場から緋紗子を支えてきた人物であり、青澤家で17人が死亡する中、生き残ったのは緋紗子とキミさん。二人は同じ事件の記憶と重荷を背負い続ける。彼女もまた、事件の核心に近い存在である。

事件が起こり、現場に駆け付けたのは、刑事課の栗城(片岡愛之助)。栗城は一目見てわかった。事件現場で感じた、あの異様な悪意。それを事件現場にいた13歳の青澤緋紗子の中に見た。刑事の勘をそもそも信じていなかったが、初めてそれを感じた栗城は、事件後、「彼女が犯人であることを証明するために」毎日駆けずり回ったのだった。

そして、今までの情報解禁であまり触れることのなかった、毒殺事件の実行犯・ユージン(倉須洸)。事件当時に何を考えていたのかもわからず、本名も明らかになることなく、掴みどころのない人物として描かれる青年。両親が早くに他界し、結婚を誓った妹とその恋人が殺されたユージンは、海辺の町の寺で、阿弥陀如来を見つめ、仏には憤怒を表す第三の目『三眼』を持つものもいる、ということを知る。まったく違う次元から、世の中が見える第三の目。耐えられないような苦しみから解放されて、違う次元から、自分やこの世界を眺められるようになりたい、と思ったこの瞬間が、彼の人生を狂わせるきっかけ=彼が覚醒した時だった。

さらに、予告編も解禁となった。意味ありげに笑う満喜子、真相を追う友子、何かを知っている緋紗子。不穏なシーンの連続で、毒殺事件の記憶に登場人物の人生が侵食されていく様子を見て取れる。




















