――本作のオファーを受けた時の心境を教えてください
いけるかな?と思いました。漫画が原作ということもあり、美術的に世界がすごく綺麗だから、これ大丈夫かな?俺いけるかな?と思いながらやっています。
――戸塚さんご自身としては、ドラマの主演は約4年ぶりとなりますね
個人的に思うこともいっぱいありますが、世間の皆様が、ファンの方々が“戸塚 is back”と言ってくれているので……嘘ですけど。そんな声は聞いたことないんですけど(笑)。4年ぶりなんですね。4年前にも漫画原作の作品をやらせてもらっていたんですよ。4年という歳月はすごいですね。その時はあまりそういうことを思っていなかったんですよ。でも今回は、1回経験したというのもあってか、またあの次元に行けるのか、とすごく思いました。
――原作を読まれた感想はどうでしたか?
読んでいてどんどん次が気になる感じがありました。読めるところまではその日のうちに、全部読みましたね。語りすぎていないというか、シーンがどんどん展開していくのが良いなと思いました。今は倍速で見たりなどありますが、そういうことをしなくても、この作品は物語の展開が速いので、ストレスなく楽しんでもらえるのかなと思いました。
――戸塚さん演じる小田切蓮は、表向きでは会社員ですが、極道の若頭という裏の顔を持っています。役についてどのようなキャラクターだと思いましたか?
子どもの頃からずっとお世話になっているオジキや一緒に育ってきた木場(柾木玲弥さん)に対して筋を通すという、義理をすごく大切にする人なんだなと思います。そこで真琴さん(紺野彩夏さん)と出会ってしまって、どうしたものかと。どちらも自分にとっては大事なんですが、どちらかを選んだらどちらかを、みたいな天秤にかけられるようになってくるのかなと思うと、難しいですよね。
――そのはざまで揺れ動く感じがきっと視聴者の方も楽しみにしている部分かと思います
動揺はするし、常に心がふらふらと定まらない状況だと思います。それでもバレてはいけないですし、秘密を抱えている人間ということで、キリッと気持ちや表情が緩まないように意識してやらせてもらっています。なので、割と息を止めてやっています。
――そういう役を演じるのは楽しいですか?
緊張しますね。本当は動きたいんですけど、意味を持ってしまうのであまり動かない方が良いかなとか色々考えていて、しっとり動いたりして。それで息を止めているので、すごく筋肉が疲れるんですよ。初日の帰りに、1日終わったら結構緊張していたんだなと思いました。でもこの感じか、みたいに懐かしさもありました。
――小田切について共感できる部分はありますか?
僕もできる限り義理みたいなことは大事にしていきたいというか、任侠のしきたりや縦社会みたいなことが好きですから、共感できる部分はあります。
――ご自身の中でどんな場面で義理を大切にしていると感じますか?
家族や友だち、メンバー、お世話になっている方々、自分と繋がりのある方々との義理は、向こうの負担にならない程度にちゃんと持っていたいなと思います。
Ⓒ「 極道上司に愛されたら 」製作委員会・ MBS
――作品の中で小田切は“理想の男性像”として描かれ、視聴者の方はキュンキュンするシーンへ期待を寄せられているかと思います。演じる上でプレッシャーや意識していることはありますか?
そこに関して、自分はある種放棄していて。僕が何かするというより、台本に書いてあるので、この通りにやればそうなるので絶対に大丈夫なんです。原作の作者の方へのリスペクトで、作品を作り出してくださって、たまたま形として自分が表現させてもらっているだけなので、僕は着せ替え人形という感じですかね。
――監督からどのように演じてほしい、と言われたことはありますか?
僕が撮影の合間とかで、恥ずかしいのですぐ笑ってしまったり変なことを言ったり、鼻歌を歌ったりしてしまうんですけど、「その笑顔は家に置いてきてください」と言われました。でも、どうしても持ってきてしまうんですけどね。癖ですね。
――胸キュンシーンでも笑顔がこぼれてしまうんでしょうか?
合間ですね。カメラが回ってる時は多分大丈夫だと思います。回っている時は自分のことをアル・パチーノだと思い込ませてやっているので……(笑)。自分の台本(の表紙)には、アル・パチーノじゃないんですけど、ライアン・ゴズリングって書いていて(笑)。『ドライヴ』とか、ダークサイドの役をやっていた頃のライアン・ゴズリングは一切笑わないので、自分を思い込ませてそのようにしようと思っています。
――極道の威圧感やすごみを体から出さないといけないわけですが何か心がけていることはありますか?
恥ずかしながら、それもないです。照明さんや衣装さん、カメラアングルと、皆さんの芸術でそうしてもらえている感じです。
――笑わないという部分以外で気をつけている部分はありますか?
自分ができることはやらせてもらっています。キービジュアルを撮った時には、初めて水抜きをしました。そうしたら、目元が自分でも初めて見る目になっていて、これは使えるかもな、と思いました。極道のシーンがある時はなるべく水を飲まずに自分のことを砂漠みたいにして、そうしたら五感が研ぎ澄まされるので。普段はバイオレンスのバの字も無いんですけど、そこまで追い込めばいけるかなという気はしています。
――水抜きをやろうと思ったきっかけはあるんですか?
それこそ4年前のドラマの時に、体をすごく枯渇させていたのを思い出して、当時と比べるとそこまで持っていけていないなと思って。なので、水抜きをして、66キロぐらいあったんですけど、60キロになりました。
――そんなに一気に落ちるんですね
落ちましたね。前日の夕方ぐらいから水を飲んでいなかったんですよ。それでずっとサウナに入っていました。くらくらしたとか倒れそうになったりすることも無くて、こんなに体重落ちてるけど大丈夫か!?って自分でもびっくりしましたね。