――デビューのきっかけは?
両親の影響で、小さな頃から映画やドラマを観るのが大好きだったんです。多分、小学2年生くらいだったと思うんですけど、「ドラマに出たい!」と言い出したらしいんですよ(笑)。それで「じゃぁ、探してみようか」と。
――芸能界に憧れがあったということですか?
ドラマを観て、やってみたいと思ったようなんですが、自分ではあまり憶えていないんです(笑)。ただ、何かになりきるのは凄く好きだったのは憶えていて、セーラームーンごっことか、そういった遊びをよくしていました。
――学校に行きながらもお仕事もされていたんですよね。“大変だから辞めたいなぁ”と思ったことはなかったですか?
あまり、学校と仕事の境目というのがなくて。全部ひっくるめて“生活”だったので、「辞めたいなぁ」と思ったことはないです。学校に行けないときは、ドリルを買って勉強したりとか。でも、本当に大変だと思い始めたのは、小学校を卒業してからですね。テストがあったり・・・。でも、高校には同じ仕事をしているコが多かったので、お互いにそういう過酷な状況でも楽しめました。「今日、3時間しか寝てないよぉ。」とか(笑)。

――今まで、沢山のお仕事をされてきましたが、一番“辛いなぁ”と思ったことは?
多々あるんですけど、あまり自分の中に残っていないんですよ。思い出としては記憶しているんですけど、“大変だったような気がするなぁ。”って(笑)。だから、一番辛かったことも薄らいでいて・・・、嬉しかったこととか楽しかったことはよく憶えているんですけどね。
――では、やっていて良かったことは?
出逢いが凄く多いんです。こういったお仕事をしていると、先輩にあたる素敵な方たちとお会いできる機会があって、運が良ければ、その尊敬している方と一緒にお芝居ができる。これは凄くやりがいがあります。それと、映画や舞台を観る機会も多いので、素晴らしい作品に沢山出会えることも、この仕事を続けてきて良かったなぁと思う中の一つです。

――既に公開されている北野武監督の話題映画『監督・ばんざい!』にご出演されていますが、北野監督とご一緒していかがでしたか?
メロメロになっちゃいました(笑)。あまりにも、かっこよくて!今までも凄い方だということは知っていたのですが、実際のところはよく分からなかったというか(笑)。でも、ご一緒させて頂いて、北野監督の間近で、そのオーラや佇まい、出来上がった作品を観て、『本当に素敵な方だ!』と思いました。雑誌に“北野武監督”とか“北野武”という文字が書いてあると立ち読みしてしまって。好きな俳優さんが雑誌に出ているとすぐ目について、立ち読みしてしまうことありませんか? 北野監督には、引き込まれました。
――その『監督・ばんざい!』では、詐欺師の娘役という役柄でしたが、現在公開されている映画『吉祥天女』では180度違う役柄ですよね。
吉田秋生先生の作品は、『BANANA FISH』や『ラヴァーズ・キス』を読んでいたんですけど、『吉祥天女』は読んだことがなくて。私の中では、『BANANA FISH』の印象が凄く強くて、その作品にはあまり女のコが出てこないんですよ。だから、吉田先生の描く女のコというのがどういうコなのかが想像できなかったんです。でも、「今までに演じたことのないような役だから面白いと思うよ!」、と事務所の方に言われました。

――鈴木さんの演じる叶小夜子は難しい役柄だったと思うのですが。
自分とは全く違うキャラクターですし、今までの“明るくて元気”な役というのは自分の中にもある要素だったんですけど・・・。漫画を読んで、ますます『なんで私だったんだろう?』って驚きました(笑)。最初は、ちゃんと演じられるか不安でしたね。“妖艶さ”は、作り込んで演じると不自然になってしまうと思ったんです。私が作り込んで演じて、違和感が生じたらイヤだなと思って。だから、いつも“大丈夫かなぁ?”と思いながら演じていました。つい最近です、出来上がりを観てだいぶ不安感を手放せたのは(笑)。こうやって取材を重ねていくうちに、だんだんと消化できて来ました。
――鈴木さんなりの小夜子を探りながら演じたという感じですね。
そうですね、あとは現場に行って、演じているうちに小夜子ちゃんの人間性が分かってきたのも大きかったです。こんなこと思っているんじゃないのかなぁとか。でもこの前、『吉祥天女』のノベライズ本が出たんですよ。それが小夜子の視点で書かれていて、私からしてみたらテキストみたいな本なんです。これが最初にあったらどんなに楽だったかと(笑)。
――(笑)!欲しい答えがココに!という感じですね。
自分が思って演じた部分とシンクロするところもあったんですけど・・・、これがあったら楽だったのになぁって(笑)。