――デビューのきっかけは?
友達が芸能の学校を受けて、「一緒にやってみないか?」と誘いを受けたのがきっかけです。最終的にその学校に通おうと決めたのは、親の「チャンスがあるならやってみなさい。」というプッシュでした。当時は芸能界にはあまり興味がなかったんですけど、学校生活の中で負けず嫌いが出て「もっとこうしたい、ああしたい。」っていう気持ちが強くなって、現在まで良いステップを踏んで来れました。
――小さいころから「テレビに出たい!」などの願望などはなかったんですか?
そうですね。でも人前に出てイタズラしたり、学級委員やったり、目立ちたがりの恥ずかしがり屋でしたね。
――このお仕事をしていて良かったと思う事はなんですか?
結構人見知りな部分があるんですけど、お芝居を通じて沢山の人と話せたりとか、友達がどんどん増えていくことですかね。今度24歳になるんですけど、自分の周りの友達とは深い話はほとんどしないんですが、この仕事をしていると深い所を追求することができるのは良かったなって思います。

――これまでのお仕事で一番印象深いものはなんですか?
一番印象に残っているのは、初めて出たドラマの『赤い糸』です。事務所に入ったばかりの時に決まったお仕事で、今の自分につながっている作品で、とても大きな仕事だったなって思って。そこから舞台だったり色んな所に広がっていったなって思えますし、調子に乗ってしまった自分を今も振り返られる、原点のような作品です。
――このお仕事の醍醐味はどんなものだと思いますか?
みてくださる方があってのお仕事だと思っていて、常にその目線を考えてどういう風に芝居をしようかっていうのを考えますし、舞台だったら舞台なりのお客さんの目線を考えた魅せ方や動きを考えるんです。そういう細かい部分をしっかり創り上げていくっていうのが醍醐味というか、大事なことなんじゃないかと思います。

――ミュージカル『眠れぬ雪獅子』のメインキャストに大抜擢されましたが、出演が決まった時のお気持ちはいかがでしたか?
「あ、本当に?!」「本当に僕で良いんですか?!」って感じでしたね(笑)。ミュージカルの経験もないし、歌も自信がなかったので「僕で良いのかな」っていうのと、オーディションに備えて準備していたものが報われた気分でした。「やったー!」っていう気持ちと同時に「大丈夫か」という不安な気持ちが入り混じった複雑な初めての感覚でした。
――ご出演が決まってから本番までの準備期間は長かったんですか?
そうですね。結構考えることがあって、元々この作品が東南アジアのお話っていうのは聞いていたので、図書館でその地域の事を調べたり、写真を見たり、そういう勉強は結構長い期間しましたね。仏教の話が入ってくるんですけど、それを自分の中で理解して落とさない限り演じられない役なので、準備期間が長くて良かったなと思いました。
――山田さん演じるキャラクターについて教えてください。
幼い頃に親も身寄りも全て流行り病で無くし、ブッダの教えに救われた兄弟で、兄上思いで心の強い弟のペマ役を演じます。ラン・ダルマ王という王の仏教弾圧があって、仏教を守ろうと兄弟で経典を持ち出すんです。そして、さらに兄は仏教を守るため、王の暗殺へと進む。そんな中、兄の取った行動は正義だったと、人々の心や歴史に残すため言葉を書き残す弟が僕の役。でも、権力の前では、言葉には何も力もなく、今度生まれ変わってくるときには、兄のように行動で正義を示す人間になる!と決意します。そんな思いを抱えて輪廻転生していく魂が1940年の伊礼彼方さん演じるドルジェになるんですよ。
――演じる前と後では何か印象は変わりましたか?
はじめに台本を読んだ時は、弱い男の子なのかなって感じたので、弱い部分をいっぱい出して演じようと思いました。僕はラテンの血が入っているので顔に喜怒哀楽が出やすくてそれも芝居によく活かしていたんですけど、今回はそうではない、心に持っている熱いものをいかに顔に出さずに演じるか、っていう所に変わっていっていますね。
――そういった内面の部分を追求していく上で、役作りは何かしていますか?
家に帰って、座禅というか瞑想をやるようにしています。僧侶の方々ってもう年単位でやるんですけど、実際に僕は30分持たないです(笑)。やっぱり30分やっていると、外の音とかでパッと途切れちゃうんですよね。そこをどうやったら何日も瞑想できるようになるのかなって、まだ掴めていないので本番までにできるようになれば良いなと思います。
――歌やダンスのレッスンは大変でしたか?
ダンスは振りを体に入れて鏡の前でやっていけば、徐々に魅せ方とかが見えてくると思うんですけど、歌に関しては何回やっても上達している実感が自分で持てないというか、録音したのを自分で聞いても「これで良いのかな」って不安にしかなっていかなくて。勿論ちょっとずつは上達しているはずなんですけど、それが自分でわかるまでに時間がかかったので、不安ばっかりがこの1年間あったなって。どんどん日にちは近付いてくるんだけど、全く上手くなっている気がしない自分と毎日戦うのはキツかったですね。
――上達するために工夫したことや、心掛けたことがあれば教えてください。
まずは小さいピアノを借りて毎日ドレミファソラシドをやって、声をなるべく出すために公園に行って本番さながらの大きな声で歌うとか、歩いている最中は常に歌っていたので道ですれ違う人に振り向かれたりとかしました(笑)。あとは、自分が歌うキーとかの音は常に聴いていましたね。本当に皆さんが想像している以上に歌えない人だったので(笑)。
――その努力の積み重ねの集大成が舞台で見られる訳ですね。
そうですね。僕、努力が下手くそな人なので「やるしかない!」って、毎日「やる、やる、やる」って感じで。もっと要領がよければそんなにやらなくても良かったのかもしれないですけど(笑)。