――芸能界に入ったきっかけを教えてください。
事務所のスタッフさんに声をかけてもらい、受けたオーディションに合格して所属することになりました。その後、舞台に出演させて頂いたことがきっかけとなり、本格的に芸能活動を始めようという気持ちになりました。
――3月にはミュージカル「『薄桜鬼』沖田総司 篇」に主演されますが、簡単にストーリーを教えてください。
原作が女性向けゲームなんですけれども、幕末の新選組が舞台になっています。一人の女の子が新選組のメンバーと出会い、見てはいけないものを見てしまったために、新選組に捕らわれる身となります。そうして新選組の屯所で過ごす中で、生まれてくる恋愛模様だったり、人間関係が描かれています。
――第一弾出演に続き、第二弾の今回は主役ですね。出演が決まったときのお気持ちはいかがでしたか?
初主演なんですけれども、全然そんな感じがしないんです。キャストも斎藤一 篇とほとんど一緒なんですよ。前回もそうだったんですけど、主演が主演っぽく振る舞わない座組でした。
凌(第一弾主役・松田凌さん)の場合は、凌がただ「斎藤一」として舞台に立って稽古場で生きてきた人だったから、その姿を見て僕らは刺激を受けて、そんな座長の背中を追ってきたんです。だから凌自身は「自分は引っ張っていった記憶はなくて、みんなに支えてもらった。」と言っているんですけど、俺らは凌の姿を見て引っ張られたって言った方がいいのかな。だから僕自身も今回の座長ってことを重荷として捉えずに、またみんなで良い作品を作ることができたらいいなって思っています。

――廣瀬さんが演じられる沖田総司はどんなキャラクターですか?
沖田総司って皆さんのイメージでは、どちらかというと儚げな美少年で華奢なイメージだと思いますが、『薄桜鬼』の沖田さんはドSでたくましくて、結構元気なんですよ(笑)。確かに、武士の時代は結構な重さの刀を振るうので、そうなると多少はガタイが良かったんだろうなっていうのは思います。でもやっぱりイケメンな部分は変わらなかったり(笑)。
それに近藤さんをひたすらに尊敬していて、「自分の命よりも近藤さんの命」っていう忠誠心もすごくあるんです。沖田さんには人間としてすごく魅力的な部分がたくさんありますね。
――沖田総司に対して、どんな印象を持っていますか?
沖田さんって新選組以外の居場所を考えたことがなくて、前回の舞台でも「命が短くても長くても、僕にできることは新選組のために人を斬ることだけです。」というニュアンスの台詞があるんです。労咳(ろうがい)っていう命を削ってしまうような病気を患っているにも関わらず、わざわざ命を短くするような薬を飲んだり、「戦うな」と言われても「戦いたい」って反抗する一面があったりします。人一倍負けず嫌いというか、責任感もあると思います。
一般的に沖田さんは、ただ人を殺したいだけ、みたいな残虐なイメージを持たれていますが、きっとそれにはちゃんと理由があって、沖田さんなりの信念があるものだと思っています。
――演じていて共感する部分はありますか?
前回、一度体調を崩して声が出なくなってしまって、稽古に参加できない時期があったんです。でも、それでも俺はやりたかったんです。だからその時は悔し涙まで出てきちゃって。やりたいって言っているのにやることができない悔しさを感じて、「ああ、沖田さんもこんな気持ちだったのかなあ。」って思いました。やりたいと言っているのに、舞台中で沖田は「ここに残れ」、と…稽古中に俺は「家に帰れ」と言われまして(笑)。そういうストイックな部分に共感しましたね。

――今回は「沖田総司篇」ということで、第一弾の「斎藤一篇」とは違う沖田総司の新たな一面も見られるんでしょうか?
そうですね。前回は斎藤一が中心のお話だったので、今回は沖田さんの葛藤だったり、千鶴との恋愛模様だったり、新たな一面がきっとお客様に届けられるんじゃないかと思って、自分も期待しています!
また今回、千鶴のキャストが変わるのも未知な部分です(笑)。千鶴役の山本紗也加さんとは、一度ご挨拶だけさせてもらったんですけど、ちゃんとお話ししたことはまだないんです。稽古が始まると千鶴への印象が変わるかもしれませんが、今のところは変えようという気持ちはなく、同じ思いで臨みたいです。
――ミュージカルということで、歌の稽古にも力が入りますね。
頑張りたいですね。歌に限らず、どこにも手は抜きたくないです。芝居、殺陣、ダンス、歌、全てにおいて、主演するというからには、人一倍努力はしないといけないものだと思っています。主演じゃなくてもそうだと思うんですけど、その気持ちが誰よりも強くないといけないと思うので、そういう意志をしっかり持って稽古に取り組みたいと思います。
――殺陣やダンスなど体力が必要になる部分もあるかと思いますが、身体作りはされますか?
前回の稽古時期には、仕事や稽古の合間に走ったりしましたね。後はスクワットもします。殺陣をやっていると、低い姿勢でずっと耐えていないといけないので、結構足腰にくるんですよ。他の現場のウォーミングアップの時間にスクワットをしたり、下半身を中心に筋トレをします。
――殺陣やダンスも見どころのひとつですね。
斎藤一 篇では、池田屋のシーンがあったんです。そのシーンと鬼の末裔の歌、その後に殺陣があるんですけど、計10分くらいの間、ずっと殺陣をしながら演技しているんです。基本的に池田屋は沖田さんがメインのシーンなので、舞台に出たままなんですよ。10分くらいずっと殺陣しっ放し、歌いっ放し、ダンスしっ放しで、台詞喋って…っていうのを、最初の稽古でやった時は、息が上がって本当に労咳状態でした(笑)。みんなで「労咳の芝居の必要ないね。」って言って(笑)。
大変なシーンですが、曲に合わせて演じていると気分は乗ってきます!曲や雰囲気に乗せてもらっている部分はあると思うので、そういう流れで生まれた感情はひとつひとつ大切にしていきたいなあって思いましたね。