©「SHUT UP」製作委員会

――この作品の企画を聞いた時の心境を教えてください
仁村紗和(以下、仁村):クライムサスペンスと聞いて面白そうだなと思いました。だけどそれだけではなくて、友情物語というか、経済的に苦しんでいる女の子や学生のことや性的同意のこと、色んなものがドラマの中に入っている感じの企画書で、すごくやりがいがありそうだなと思いました。

莉子:今まで皆思っていた部分ではあるけど、あまり映像で世の中に出てこなかったような題材だなと思って。私たち4人が苦学生という同じ状況下で、皆で生活しているんですけど、その4人だからこそ伝えられるような内容になっていると思います。女性という括りだけでなかなか言えないこと、言われることは世の中まだまだあると思いますが、そういうところを映像にすることによって伝えられることがあるドラマになっているので、不安もあったんですけど素敵な共演者の皆さんに囲まれて今は楽しく、放送が待ち遠しく撮影しています。

片山友希(以下、片山):私はあんまり女子たちの友情っていうものをやったことがないので、すごく演じてみたいなと思ったのが一つと、あとは個人的な話になるんですけど、私が上京して一番初めにオーディションで受かったレギュラーのドラマのお仕事がテレ東の『セトウツミ』なんですよ。なので、すごくテレ東には感謝していて……本当に感謝してて!だからぜひテレ東が作るドラマにはこれからもずっと関わっていきたいなと思っていたので、このお話をいただけてすごく嬉しかったです。

渡邉美穂(以下、渡邉):私も実はお仕事を始めてから初めて出たドラマがテレ東で……。

片山:本当に!?(笑)

渡邉:これ本当なんです!インターネットに書いてあるので!(笑)。企画をいただいた時は、すごく社会派なドラマで、でも社会派と言っても暗いイメージだけでは無くて、リアルな温度感の女子大生が出てきて、この4人の間でどういう会話が繰り広げられるのかはすごく楽しみでした。実際に撮影に入ったら、本当に皆さんお話がとても楽しくて、お芝居をやっていても個人的にテンポ感が心地よくて、こういう作品をずっとやってみたかったと思っていて、内容も実際に社会問題として取り上げられていたり、きっと同じような経験をされている方が世の中にはたくさんいるだろうなという題材だったので、社会に一石を投じると言いますか、何か影響を与えられたらいいなと、実はそんな熱い気持ちがありました。

――台本を読んでどんな感想がありましたか?
仁村:復讐劇と聞いていたんですけどそれだけではなくて色んな要素があるなと。今の若い子たちが悩んでいそうなこともありますし、自分を大事にするって言いますけど、それはどういうことなんだろう?みたいなことが要所要所に散りばめられている気がして、誰もが経験したことがあるかもしれない、NOと言えなかったこととか、共感してもらえる部分があるんじゃないかなと思いました。

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莉子:すごくリアルだし現実的ではあるんですけど、100万円強奪するとかドラマ的な要素もあって、そこはすごい面白いなと。でも一言じゃ言い表せない、ジャンルレスのまた新しいドラマが始まるなという感じがしたのと、女の子4人がメインで動いていく物語は私の記憶上あまりないので、新しいなと思いました。

片山:友だちがいることの大切さっていうのはすごく感じますね。今、こうやって喋っていて楽しかったり、やっぱり友だちって素敵なんだなというのは台本を読んで思いました。

渡邉:私も最初に台本を読んで、4人の会話のシーンが純粋に楽しみだなと思いました。どういった雰囲気になるのか想像して楽しみでした。

――それぞれ演じるキャラクターの印象や演じる時に意識していることは?
仁村:由希ちゃんはすごく正義感が強くて芯があって仲間思いです。だけど4人でいる時は、実際に私の年齢が上だからということもあるかもしれませんが、ちょっと精神年齢が高そうだなと感じる部分があります。監督と最初にお話しした時に「あんまり分かりやすくしたくない」とおっしゃっていて、でも見てくださる方には私がする表情や行動の意味を理解してもらわないといけないので、その辺の難しさというか、どう見えるんだろうなというのを監督と話しながら、自分でも考えながら演じています。

莉子:恵はこの4人の中だと女の子らしいというか可愛らしさがあって、何事もハキハキ言うより自分の意見を言う前に心の中で「これ言っていいかな」とか一回留めるような子なんですけど、ドラマの後半にかけて自分の意見や思っていることを言えるように成長していく子でもあるので、そこのバランスはすごく難しくて。あと私は普段は何でもハキハキ言って、女子校出身だったというのもあって少し雑な部分もあり、素が出ると「ちょっと抑えて」と監督にも言われるので、そこを保つように頑張っています。

片山:皆それぞれ優しい部分があるなって思うんですけど、しおりは特にすごく恵に寄り添っているイメージが強くて。しっかりしてるし、節々にしおりの優しさが台本を読んでいても演じていても感じるなと思います。あとは、普通に友だちと喋っているのに「いや、そうなんですけどね」って敬語になるので、その話し方とかがすごく面白いなと思って、お気に入りのポイントです。

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渡邉:紗奈は素直で一生懸命な子で、感情がすごく表に出やすいタイプなんですけど、その一生懸命さが裏目に出てたまに暴走してしまうこともあって。この4人の中で一番ムードメーカーではあるので、彼女の明るさによってどよんとした暗い空気がパッと明るくなったり、気持ちの切り替えのきっかけにもなるような言葉を発する子です。あとはすごく仲間思いだと思うので、その優しい部分をしっかり忘れないように演じたいなと思っています。

――役を演じる際に監督やスタッフの方から言われて印象に残っている言葉や出来事はありましたか
仁村:本読みの時に役の擦り合わせをするんですけど、「等身大でいてほしい」とお話いただいたので、だから自分の感覚みたいなのは大事にさせていただいています。

莉子:ちょうど昨日の撮影で4人の日常会話のシーンがあって、最初に監督から「この辺に座ってみてください」みたいな感じでやったんですけど、そうしたら監督の中でもちょっと違ったようで「1回皆が座りたいところに座って、自由にやってもらっていいよ」と言ってくださって、そうしたら2回目にやった方が、仲の良さが伝わると採用されたりして。紗和ちゃんの膝の上に友希ちゃんが座っているとか、本当に自然と出てくる行動がそのままドラマで映し出されている感じになっているのではないかということが結構あります。

片山:結構女子同士が集まるとボディタッチとかが多いなって思ったんですよ。現場の女性スタッフの方をチラッと見てもボディタッチをしていて、私もしてるなと思ったりとかして、それをお芝居でも自然にできたらいいなと思ってたので、一緒だってなりました(笑)

渡邉:この役のために髪を染めたりもしたんですけど、企画書には最初私の役が“マイルドヤンキー”って書いてあったんですよ。これまで不良とかヤンキーの役をやることが多くて、その時は誇張したお芝居を求められることが多かったんですけど、でもリアルな大学生は少しギャルっぽいというか、そんなに行き過ぎてないよな?と思うところがありました。私は普段の喋り方が丁寧な書き言葉というよりラフな喋り方なので、それをそのまま反映したら若者言葉っぽくやんちゃに聞こえるのかなと思いながらセリフも変えさせてもらっていたら、プロデューサーさんから「フィクションとノンフィクションの狭間っぽいお芝居でいいです」とお褒めの言葉をいただけたことがあって。それが個人的には嬉しくて、マイルドヤンキーって難しいなと思いながら、でも現実とかけ離れないように抑えながらお芝居を出来たらと今も思っています。

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――役を演じていて難しいと思う点や改めて気づいたことはありましたか?
莉子:普段、原作ものや学園ものとか、セリフっぽいセリフでお芝居をする機会が多くて。でも今回はこのメンバーとご一緒させていただくとなった時に、新しいお芝居のやり方にチャレンジできそうだなって思ったんですよ。3人はお芝居だけどお芝居っぽくない作品に出ているイメージを持っていたので、すごく勉強になるだろうなと思ってこの現場に入りました。セリフの言い回しというか、一つのセリフでも速さとか間の取り方で聞いた側の印象が変わってくるんだなとか、ドラマだと色んな角度から何回も撮るので、形は固定されがちなんですけど、毎回どれだけ自然体で新鮮な気持ちでできるかがお芝居をしている中で課題で、監督にも「新鮮味が無くなってきたよ」って言われることが多いので、今回はより身に染みて難しいな、もっと頑張らないとなと思っています。

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仁村:寮に住んでいる4人という生活感とか、初めて触れる家具たちばかりで肌に馴染むまで時間がかかるし、この4人の空気感も作らないといけないという難しさを感じていたんですけど、あまりにも3人が接しやすい人たちだったので、寮の中でもありのままで居られたなっていう気持ちはあって、そこはありがたかったなって思っています。

片山:気をつけていることは、女4人というのが結構大きいなと思って、そこに男性がいるとちょっと改まるというか意識したりすると思うんですけど、女4人なのでその意識というものが無いだろうなと思って。だから座り方やご飯の食べ方が、男の人の目線を気にしないリアルな女性になるだろうなと思って、そういうのは気にしながらお芝居をしています。

渡邉:本当に皆さん、お芝居が勉強になるんですね。私は1年前までアイドルをやっていたのでまだまだ経験値も足りないというところで、色んな女優さんとご一緒させていただいてすごく勉強になるなというのを常々思っているんですけど。返事一つにしてもそれぞれのキャラクターをちゃんと出してくるというところは、「はい」でも「うん」でも、人によって、そして誰が相手かによってやり方は変わってくるよなというのは、皆さんを見ていて感じたので……。本当ですよ!普段は恥ずかしくて言えないんですけど、だから皆さんのお芝居を、自分側にカメラが向いていない時に実は横目で見て、こういう表情してるんだ、なるほど、ってこっそりやっていて。皆さんのお芝居を見て、新たに色んなことに気づきました。

――かなり4人が仲の良い感じが伝わっていますが、現場の雰囲気は?
仁村:言えないぐらいの会話をしているんですけど、だから監督とかに「ちょっと皆落ち着こうか」って言われるぐらいわーっと喋ってしまう瞬間があります。

莉子:「役に戻してください!」って(笑)

仁村:あとはスタッフさんも監督もお若いので、現場の雰囲気は明るいです。

――最初からその空気感だったんですか?
片山:撮影初日の前に本読みがあったので、それがあったからこそ……。

仁村:(片山さんへ)でも猫被ってたけどな、本読みの時(笑)

片山:そらそうです。

仁村:スケジュール的にも寮のシーンから始まったので、そこでぎゅっと1日目から仲良くなりました。

――特にこの話題で盛り上がったとかありますか?
莉子:本当に“女子”なんです、私たち!だから薄いよね。会話の内容も。だからこうやって聞いていただいてパッと出てこなくて。さっきも控室で何をしていたかというと、クリスマスソングを流しながら踊ってました(笑)

仁村:好きなクリスマスソングは何?っていう話になって、それを流したり。結構色々話したりしてるんですけど……。

片山:でも何にも覚えてない(笑)

仁村:3人兄弟の末っ子が3人(仁村さん、片山さん、渡邉さん)と一人っ子(莉子さん)で、自分が強いメンバーが集まっていて、なぜか皆協調性はあるという不思議な化学反応が起こっています。

片山:4人で楽しく喋ってて、紗和ちゃんがフワーって突然どっか行っても何も気にしないよね。