物語の主人公はプラスチックでできた寄り添っている2匹の鹿の置物。
人々や世界の話を長い間聞いていたので、発声はできないけど、言葉を話すことができる。
ある時代には、「ご自由にどうぞ」と道に置かれたり、同棲していたカップルの部屋に4年間置かれたり、別れと同時にリサイクルショップに出され、ある大学の映画部の部室に移動したり、またリサイクルショップに戻ったり。
何年、何十年もいろいろな人の元に渡った鹿の置物から見た様々な場所や人の物語。
人々の生活や、喜怒哀楽のいろいろな感情に寄り添う、優しい人間ドラマとなっている。

今作は、2023年公開映画「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」で第15回TAMA映画賞・最優秀新進監督賞を受賞した金子由里奈が書き下ろしたイヤードラマ。

主人公・鹿の置物を演じるのは2018年より女優活動をスタートし、主演映画「のぼる小寺さん」、ドラマ「ロマンス暴風域」での好演が話題となった工藤遥。
ほか、主演映画「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」がスマッシュヒットとなり、ドラマ、映画で活躍する円井わん。映画「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」にも出演した新谷ゆづみ。そのほか、実力派俳優の岩瀬亮、岡部ひろきを迎え、金子由里奈と共同で「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」の脚本を手掛け、演劇ユニット「コンプソンズ」を主宰する金子鈴幸も出演。
今作は、1話ごとに鹿の置物の所有者と時代が変わっていき、それぞれの俳優が複数の役を演じていきます。
金子由里奈が手掛ける、時代を超えながらも普遍的な人々の営み。心優しい物語を是非ゆっくり堪能ください。

<金子由里奈 コメント>
部屋を見渡してみたら何か物と目が合いませんか?
棚に置かれた本、時計、ぬいぐるみ。ありとあらゆる物たち。そこに宿る記憶を紐解く手がかりにこの物語がなったらいいなと思います。

<工藤遥 コメント>
幾度となく読み返したくなる台本で、人でもなく、動物でもなく、"鹿の置物"という無機質な存在を演じるのは、未知の体験でした。家にある、一つ一つの"モノ"への見方が変わるような気がしています。何気ない瞬間のお供になればと、思っています。