原作は、1932年にチャールズ・ブルース・ミルホランドが書き下ろした戯曲で、1934年にはアメリカで映画化。さらに原作と映画をもとに1978年にはベティ・カムデン、アドルフ・グリーンによる脚本、サイ・コールマンによる音楽で、ブロードウェイでミュージカル化し、トニー賞5部門を制覇しました。その後、初演以来40年ぶりに2015年にリバイバル上演され、トニー賞のリバイバル作品賞にノミネートされるなど、ブロードウェイ・ミュージカルの金字塔ともいえる名作。日本では1990年に初演、この度5年ぶりの日本での上演となる。

演出を務めるのは、ダンサーとしてキャリアをスタートさせ、現在は振付家・演出家として舞台・TV・ファッション・映画の各分野で活躍するクリス・ベイリー。
主演を務めるのは、NEWSとしての音楽活動をはじめ、舞台・ドラマ・バラエティ番組への出演と幅広く活躍する増田貴久。さらに、珠城りょう、小野田龍之介、上川一哉、渡辺大輔そして戸田恵子と、手練れの実力派たちが集結した。

明日の公演初日を前に行われた取材会には増田貴久、珠城りょう、小野田龍之介、上川一哉、渡辺大輔、戸田恵子、演出のクリス・ベイリーが出席。

まず、一人ずつ意気込みを聞かれ、主役の舞台演出家兼プロデューサーのオスカー・ジャフィを演じる増田は「『20世紀号に乗って』という素晴らしい作品を皆さんにお届けできるのはすごく嬉しいなと思います。コメディの作品なのでたくさん笑ってもらって、見てもらってる時間が特別な時間になるように全力で演じたいです」と力強くコメント。

オスカーの元恋人であり現在はハリウッドの大女優であるリリー・ガーランド役の珠城は「劇場入りして、いよいよ本当に明日開幕するんだなと思っています。個人として、今回のリリー・ガーランドはすごく挑戦で、稽古中から色んなことを考えながらやってきたんですけど、クリスさんと素晴らしいキャストの方々と一緒に楽しく色んなことを考えながら作ってきたので、それをお客様に届けて参りたいなと思っております」と話す。

製薬会社の会長であるレティシア・プリムローズを演じる戸田は「ミュージカルの金字塔と言われている古き良き時代の本当に素晴らしいミュージカルなんですね。1930年代のお話です。誰も生まれてませんね。私も生まれていません(笑)」と笑いを誘いつつ、「グランドミュージカルなので、オーケストラも入ってますし、豪華な衣装と盛りだくさんな要素で、かなりスペクタクルな感じで裏の方は動いてるんですけれども、きっと皆さんに楽しんでいただけると思います。ご期待ください!」と見所をアピール。

オスカーのマネージャーを務めるオリバー・ウェッブ役の小野田は「まず主演の増田さんと演出のクリスさんは『ハウ・トゥ・サクシード』からここに至るまで、演劇の1つの新たなコンテンツになったかのようなできあがったチームがあるんですね、このカンパニーって。今回は『20世紀号に乗って』という名作に新たに挑まれるということで、その一部になれてとても嬉しいです」と嬉しそうに話す。宣伝担当のオーエン・オマリー役の上川は「個性豊かな人たちしかいないこのカンパニーに参加できて本当に嬉しいです。このメンバーで作り上げるこの作品がお客様にどのように届くのか、今からすごくワクワクしています」と笑顔。

リリーの新しい恋人で若き映画俳優のブルース・グラニットを演じる渡辺も「本当に素晴らしい役者がもっとたくさん出てきます。そこにも注目していただきたいということと、物語がスピーディーに展開していくので、皆さんそれを見て楽しんでいただければと思います」と呼びかけた。

演出を務めるクリスと増田は2年半ぶりのタッグとなり、前回、増田について“一生懸命で真面目”と話していたクリスは今回の増田についてどのように映っているかと聞かれると「本当に本当に一生懸命な頑張り屋さんです」と称賛。「座長としてもパッションやエネルギーが溢れる座長」と太鼓判を押す。

そんなクリスの演出で印象に残っていることを増田は「クリスに『このシーンで僕はこういうふうに思っているんだけど、どうしたら良いかな?』って相談をさせてもらうと、1か2くらいを聞いたつもりだったのに、20も30もヒントや答えをくれて。『僕が生きてきた人生ではこういう経験の時はこういうふうに思った感情なんだけど』と、例え話も含めて、今回は1930年代の話のあので、今の感覚ではそうかもしれないけど当時だったらこういうふうになってて、と僕たちに足りなかった部分というか知らなかった時代背景や気持ちを細かく丁寧に教えてくださるのが、全部の状況でそれが起こって。ものすごい知識量で情報データベースみたいだなと思うし、すごく優しく導いてくれる感じは、前回もそうでしたけど今回もクリスが思うドンピシャなところに自然と立たせてもらっているようです」と信頼関係を築けている様子。

そして珠城は本作で初のヒロイン役を演じるのだが「“ヒロイン”というのは正直慣れないの違和感があるんですけど、でも今回はリリー・ガーランドという大女優でもあるので、実際衣装を着てメイクをしてとなると普段と全然変わるので、リリー・ガーランドというキャラクターからたくさんのイメージをもらいながらステージに立てたら良いなと思います」と役に助けられている部分もあると話し、「作品の中でも増田さん演じられるオスカーとは対等にエネルギーをぶつけ合ってほしいとクリスさんから言われているので、負けないように」と気合を見せた。

また、座長・増田の姿について聞かれた戸田は「まっすーとの出会いはもう20年ぐらい前でして、ちょいちょい会ったり、芝居を見に行った帰りにご飯食べたりはあったんですね。お仕事をするのはそれ以来で、20年ぶりにお仕事を一緒にして、大きくなったな、大人になったなっていう感じがしています。ましてや座長として皆を引っ張っていく姿勢を見せてくれて、たくさんの人に声をかけながら現場を進めていたので、本当に大人になったんだなぁと」と感慨深げ。

戸田は毎日のようにたくさんの差し入れをしているようで、何か印象に残っているものは?という質問に、増田が「多分皆さんはもらってないと思うんですけど、直々に戸田さんお手製のお弁当をいただきまして」と告白。「“戸田さんにもらったお弁当”ってインスタにアップして、その次にも戸田さんが差し入れしてくれたパンをアップしたら、うちの母親が『戸田さんに可愛がってもらっててお母さん嬉しい』みたいなことを言ってたんですけど、だんだん母親が戸田さんにヤキモチを焼き始めまして、だから母親に気を遣って戸田さんにもらったお弁当1つインスタにあげてないです(笑)」とエピソードを明かす。
「愛情は1ミリも無いですから!」と声を張る戸田に会場が笑いに包まれる一幕もあり、戸田のお手製弁当の味について増田は「最高でした!」と笑顔で答えた。

また、珠城からは「本当に個性的な素敵な方々ばかりで、稽古中に増田さんがよくボケられたりなさるんですけど、恵子さんや龍ちゃんはすごく反射神経が良くて、素晴らしいツッコミをなさって全部増田さんのボケを回収されているんですけど、私は増田さんがボケたことに気づかないでスルーしてしまい、その後にボケを説明させるという良くないことをさせてしまったので、大阪が終わるまでにはボケを回収できるように頑張りたいです」と芝居とはまた違う目標があることを語った。

稽古場での増田の姿を「ずっとふざけてます。うちのオスカーは。マネージャー役なので色々コントロールしていきたいなと思うんですけど」と話す小野田に、増田から反撃が。「この男は本当に酷くて。僕がお稽古の時にスウェットのセットアップをよく着ていて、龍ちゃんが『まっすーってセットアップ好きだよね。僕も好きなんだよね。要らないのあったらちょうだい?』って言われて、家で(スウェットを)整理しながら『これ喜んでくれるかもしれない』と思って次の日に持って行ったんだよね。(小野田が)『ありがとう!』って着て、第一声が『汚ね……』って」と、予想外のリアクションを暴露。小野田は「まっすーはすごいオシャレさんだから何か1個恵んでもらおうと思ったんですけど、それにしては穴が空いてるし、袖もなんか黒いし……『汚ね……』って」と苦笑いすると、「全然着てないし洗ってから渡したのに!」とショックを受ける増田の姿があった。

最後に、キャストを代表して増田が「約2ヶ月間、皆でクリスが演出してくれる『20世紀号に乗って』を一生懸命作ってきて、本当に音楽も素晴らしいですし、話も面白いですし、素敵な作品を皆さんに届けられるのが楽しみです。ぜひ皆さん劇場でたくさん笑ってください!」とファンへ呼びかけた。

ミュージカル『20 世紀号に乗って』は、3月12日(火)から31日(日)まで東京・東急シアターオーブ、4月5日(金)から10日(水)まで大阪・オリックス劇場にて上演される。