本作は、監督・脚本を務める加藤拓也が初めて連続ドラマで全話脚本・監督に挑み、演劇と映像を交差させた完全オリジナルのSFヒューマンドラマ。

日本に突如現れた、7つの巨大な穴。ビルより巨大な穴、雲を突き抜ける穴、都会の真ん中に現れた穴…。混乱し、対応に追われ、様々な調査が行われたが、穴の正体はわからないまま。やがて人々は、穴とともに暮らし始めた。穴に入る者も多く存在したが、しかし、帰ってきた者はまだ誰もいない。
そして、穴を神とする者が現れた。名は、小澤(堤真一)といった。小澤は説く。「穴の中には救済がある」
12月1日。リゾート施設に、8人の男女が集まっている。川端(中川大志)、菅谷(染谷将太)、松岡(上白石萌歌)、青山(森田想)、渡邊(古舘寛治)、真吾(平原テツ)、井口(中嶋朋子)、そして岡本(窪田正孝)。彼らは、小澤をリーダーとする団体の信者たち。小澤の説くルールでは、穴に入る前に、「なぜ入ろうと思ったか」を話し、記録しなければならないのだ。岡本が切り出す。「そろそろ、始めましょうか」。少しの緊張の中、一人目、川端が話を始める――。超常の中で打ち明けられる、8人の密やかな人生の一部分。打ち明けた先で、彼らがたどり着く未来とは――!

初回放送に先駆け、1・2話の先行上映・完成披露トークイベントが行われ、トークイベントには、中川大志、染谷将太、上白石萌歌、森田想、監督の加藤拓也が出席した。

本作が加藤作品に初参加となった中川は「舞台で加藤さんの作品を見させていただいたことはありましたが、脚本を読ませていただいて、現実世界に突如穴が現れて、というリアルと非現実が隣合わせにある世界観が好きで。もしかしたら自分たちの日常にも訪れるかもしれない切り口がとても好きでワクワクしましたし、演劇と映像をミックスしたような手法で撮っていくということで、現場に入るまでは想像できていない部分が多かったので楽しみでした」と期待を膨らませていた様子。「演劇的な作り方をしているシーンもありましたし、一発に投げる集中力というか、同じ時間軸で集中してやるテイクがこのドラマにたくさんあるので、それは痺れました」と撮影を振り返った。

“思い出す”菅谷という意味深なキャッチコピーをつけられた役柄の染谷は「本読みの時にずるい男だけどもある種一番普通な人間ですと監督はおっしゃられていて、でもそれが自分の中ではしっくりきて。めちゃくちゃ喋るし、演劇の経験が薄いというのもあって不安でした」と心境を吐露し、「他の役者さんに今何やってるの?と聞かれた時に加藤組というと『すごい喋るでしょ』って。(喋りの量に)痺れましたね」と加藤作品ならではの特徴を語る。

念願の加藤組初参加となった上白石は「ずっと加藤さんの舞台を拝見していまして、加藤さん語というのがあって、演劇作品でも映像作品でも、例えば普通に喋ってる時って『えっと、なんだっけ?』とか言うじゃ無いですか。そういう日常的な会話のセンスを盛り込んでいて、普通に喋っていて噛むようなニュアンスも加藤さんは脚本に起こしかねないので、人間的に喋っている言葉をセリフにしていらっしゃるので、その加藤さん語を早く話してみたいなと言う気落ちでいっぱいでした。いつもよりもセリフを入れるのに時間がかかって。でもセリフにするとものすごく登場人物の血の通った言葉になっていくので、これが加藤さんの世界の言葉なんだなっていう感じです」と熱弁。実際に完成した作品を見て、「画面の中で場面転換とかをするんですよ。着替えたり同じ人が急に別の役に変わったり。ドラマは普通カットして進んでいくと思うんですけど、ワンカットでその中で人の力で動いて場面を変えていくと言うことをしているので、見ていて一秒も飽きなくて、まだまだこの世界にいたいなという気持ちになりました」と感想を述べた。

帰国生役で初めてバレエに挑戦した森田は「作品のために習い事をして入ると言うのはすごく楽しい過程だと思っているので、バレエをやっているという背景をいただいて作品に臨ませていただいて。私はあまり喋らない役なのですが、喋らない間の演出とかもしてくださるので、そこの濃度の違いというか、喋る人へのライトの当て方と喋らない人に向けての演出までいつもこだわってやってくださるので、その現場を今回も楽しみに見ていました」と語る。

今だから加藤に聞いてみたいことについて聞かれ、まず中川から「ご一緒させていただくのは初めてだったので現場での加藤さんしか知らないんですけど、いつも淡々というか飄々といらっしゃる印象なんですけど、ものすごい『フー!』ってなる、テンションが上がるみたいなことはあるんですか?」と素朴な疑問があがると「昨日、この劇盤でスタジオに出ているUNCHAINさんのライブを見に行って、その時声を出したいなっていう気持ちにはなってた。出したりはしなかった」と変わらず飄々と答える加藤。

染谷からは「脚本を書くのが早いと聞いたけど早いんですか?」と問いかけがあり、「早くは無いと思うんですね。時間がかかるんですよ、僕。ただ、動き出しのタイミングは早いのかもしれない。例えば演劇は1年とかかかってしまうので。タイピングは早いのでそれは誉められます」とタイピングの速さに自信を覗かせた。

「加藤さんの作品って全部に通ずることだと思うんですけど、現実と非現実の間を行き来する、寝てる時に見る夢に近いなと思っていて、加藤さんが見る夢はどういう夢なのか?」と作品の特性にも触れる上白石からの質問に加藤は、「もう全然見ない。すごくよく寝る。めちゃくちゃ寝るのが早くてベッド入ってすぐ寝ちゃうので見てないかな。眠りが深いんです」と回答。「もし夢見たら教えてほしいです」と話す上白石に、加藤が「ツイートします」と返す一幕があった。

そして「先に1話を見させていただいたんですけど、1・2話は場面転換が多いイメージで、撮影自体も後半に撮られていたと聞いていたけどその発想は現場で決めたんですか?」という森田の質問には「美術打ち合わせの段階で決めていたから、今回あれだけのセットがあるから演劇みたいに模型を作っていて、実際に模型を動かしながら話をしました」と制作の過程を明かした。

今回、正体不明の穴が出現するわけだが、撮影では穴が見えていない状態で芝居をしていたとのことで、どんな穴を想像していたのかそれぞれフリップに記入。

加藤は“象の鼻をイメージしていた”と話す。

染谷は黒く塗りつぶした穴をイメージしていたようだが、塗りつぶし方を見て周りからは「ワッフル?」という声が上がっていた。

上白石はドーナツ型の穴。「浮き輪ですか?」「でもドーナツって書いてある?」と周りから言われると「ちょっと時間がなくて……ドーナツ好きなんですよ。自分の中で身近なもので穴といえばドーナツで」と可愛らしい回答が。

森田は「私は入る方法を考えていました。天国への階段ぐらいに思いました」とまた違った捉え方をしていたとのこと。

中川は「僕は穴ってパッと思い浮かべたら地面に穴、穴は落ちるものというイメージがあったんですよ。だから穴が立っているっていうのはイメージになかったので、街中の交差点にドカンと地面に穴が開いて、ロープを垂らして降りていくみたいなイメージ。だから穴が立っているのは発想になかったです」と本作の予告でも流れていた縦型の穴は想定していなかったようだった。

最後に順番にメッセージ。
中川は「すごい面白いです。皆さん芝居が上手い人しかいないので、現場ではドキドキしちゃって。刺激的な現場でした。加藤監督の紡ぐ言葉や世界観をちょっとでも自分で解釈して落とし込んで、表現したいなという思いでやらせていただいて。未知なるエンターテイメントのものづくりをしている感じがして、本当に刺激的な時間で。すごい面白いです。なので楽しみに見ていただければなと思います」と呼びかけた。

染谷は「虚構と現実の微妙な距離感を見事に加藤監督が表現されていて、虚構性がしっかりあるからこそ何かが現実的に迫ってくるという不思議な作品だなと思いました。なかなか感じたことのない体験をできると思います。たくさんの方々に見ていただけたら幸せです」とコメント

上白石は「夢の加藤組に参加できたことを嬉しく思いますし、何よりまだまだたくさん魅力的なキャストの方々がいらっしゃって、その皆さんと一つのものを作っていけたのは幸せな経験になりました」と嬉しそうに話し、「4月は皆さんにとって新しい生活や新しい出会いがある中で心が揺れたりする瞬間が多い季節だと思うんですけど、深夜という誰にも邪魔されない時間に加藤さんの現実と非現実を行ったり来たりする、とても心地がいい、でもなんか危ういみたいな時間にぜひ身を委ねてほしいなと思います」と語った。

森田は「私自身、こんなに素敵な素晴らしい、大きな背中ばっかりのキャストの皆さんの中に入ってこうした作品に参加できたことも嬉しかったですし、構図やカメラワーク、音楽、全てがすごく新鮮で、精鋭的で尖った、でもどこか心の中に着地するような物語になっていて必ず楽しんでいただけると思うので、仕事終わりの深夜、1日終わりにこうしたエンタメで楽しんでいただけたらと思っております」と笑顔を見せた。

加藤は「穴ばかり注目されてしまいますが、そんなに実は派手な物語でもなく。出てくる登場人物一人一人の人生のある一部分にフォーカスを当てた物語なのですごく地味なお話なんですけど、それが深夜にちょうどぴったりかなと思うので、ぜひ色んなお話を最後まで8話通して見ていただけたらなと思っています」と言葉を送った。

映像&舞台&SF&アニメを縦横無尽に横断しながら、豪華俳優陣がそれぞれの密やかな人生を明かしていく、前代未聞の“穴”ドラマが始まる。