劇団☆新感線の最新作いのうえ歌舞伎『バサラオ』は、「ヒノモト」と呼ばれる国で幕府と帝が相争う時代を舞台に、自分自身の美しさを武器に天下取りを目指す男、そんな男の参謀としてバディとなる元・幕府の密偵の男、そしていきすぎた自分の信念のために裏切り裏切られる人々の物語。
コロナ禍以降、意識的に明るい作品を上演してきた新感線が、久しぶりに楽しいばかりではない、今までとはひと味違ったダークなトーンの作品を上演。とはいえど、そこは新感線。物語はキッチリ展開しつつ、ショーの要素もふんだんに、歌って・踊ってガッツリショーアップしたエンターテインメントとなっている。

主演の生田斗真が自分自身の美しさを武器に天下取りを目指す男・ヒュウガを、そして共演の中村倫也がヒュウガの参謀としてバディとなる元・幕府の密偵の男・カイリを演じる。
更に、アクション満載の演技で新たな一面を披露するであろう西野七瀬、生田と同じく『偽義経冥界歌』で悔しい想いを共有したりょうと、新感線への出演経験多数のもはや準劇団員が集結。
そして、生田・中村と対峙するゴノミカドを新感線の看板俳優・古田新太が演じ、粟根まことを始めとする平均年齢50代の劇団員も豪華ゲストを迎え撃つ。

製作発表には、生田斗真、中村倫也、西野七瀬、粟根まこと、りょう、古田新太、作・中島かずき、演出・いのうえひでのりが出席。

出演が決まった際を振り返り、「生誕39周年を記念した公演というものを、17歳の頃からずっと憧れ続けた劇団☆新感線の皆様と共にできること本当に嬉しく思っております」と、喜びを語る生田は「自分で言うのも烏滸がましいんですけれども美しさを武器に世界征服を狙うというとんでもない役です。劇団☆新感線の悪役は以前からいつかしてみたいと思っていた役どころですので精一杯頑張りたいと思います」と気合を見せる。

中村は「斗真でやるよ、古田さんも出るよ、みたいな状態で多分聞いたと思うんですけど、じゃあ混ぜてよ、ってことで混ぜてもらいました」とお茶目に話しながら「劇団員じゃない人の生誕何周年公演ってあるんですか?今まで。無いですよね?なんですか?それ。もっと劇団員の生誕を祝った方がいいと思うんですけど!」と笑いを誘いながら、「結果的に39公演ということで一緒にできることを嬉しく思います。個人的な話になりますけど僕が舞台で主演じゃなく出演するのは久しぶりなんです。主演の横にいる人間としてどういう関わり方ができるかなというのを楽しみにしていたんですけど、昨日本読みをしましたら主演より出番が多いんですね。話が違うなと。やることも結構多いのでこれは気を引き締めて挑まなきゃならないなと思いました」と語った。

2021年の『月影花之丞大逆転』以来の劇団☆新感線参加となる西野は「一緒にまた舞台ができると知った時点ですごく嬉しくて。前回のがダメじゃなかったんだというか、また一緒に何かできるというのが初めてやった時よりも嬉しさが大きくて」と喜びを見せながら「前回はコロナ禍というのもあって10人ぐらいのキャストの皆さんとやったので、その楽しかった思い出を持って昨日本読みに行ったらめちゃくちゃ人がいっぱいいて、すごい緊張しちゃって、もう汗ダラダラだったんですけど。前回より規模感も公演数もとんでもないので、最後まで立っていられるか心配ではあるんですけど、皆さんと一緒に作っていくんだなと、改めて気が引き締まりました。本当に体に気をつけて、まずは明日の稽古から頑張りたいなと思います」と意気込む。

劇団員である粟根は「今回は幕府の執権ということで、時の政治の最高権力者ということになりますから、他の出演者たちによって見事に滅ぼされていければいいなと。できる限り見事に滅ぼされようと思っています」と宣言。

りょうは「私も新感線の39公演(2020年劇団☆新感線39(サンキュー)興行・春公演 いのうえ歌舞伎『偽義経冥界歌』)で斗真くんとご一緒していたので、今回呼んでいただけて嬉しいなと思っています。斗真くんありがとうございます。頑張ります」と笑顔。

そして古田は「実はうちの劇団でりょうちゃんとなぁちゃん(西野)は共演しているんですけど、何回かお誘いしている斗真と倫也は一緒にやるのが初めてで。僕的には斗真とりょうちゃん、なぁちゃんがいるわけだから下ネタミュージカルがやりたかったんですけど。昨日本読みをしたらインチキくさい関西弁で喋るという最も私が苦手とするお芝居だったので非常に楽しみにしております」とコメント。

生田と中村は幾度となく劇団☆新感線の作品に出演しているが、古田との共演は今作が初めてとなる。
生田は「17歳、高校2年生の時から今回で5度目の出演なんですけど、本当に古田さんとご一緒する機会がなかったので、ようやく念願叶ったなという感じです。数々の俳優さんが古田さんとお芝居をするのが楽しいとずっと伺ってたので、ようやく一緒にできるのがとても嬉しく思いました」と話し、俳優・古田新太の魅力について「古田新太という一人の男が舞台に立っているだけで何かが起きるんじゃないかってワクワクさせてもらえるのが魅力の一つかなと思います」と語った。

中村は「ロッキンホラーショーという舞台でご一緒させていただいて、それも80何公演あった記憶があるんですけど、全国色んなところで、毎日飲みにも連れてっていただいて、芝居のことも飲み屋でさりげなくアドバイスいただいたりしてて。それから10何年か経って、当時の古田さんの年齢に今近づいてきているので、そういう意味も込めて一緒に時を経た今やれることが嬉しく思います。古田さんの魅力はこういう派手なファッションでバスに乗っていることです」と続けた。

そんな二人に対して古田は「二人とも他のお仕事では一緒にやっているんですけど、めちゃくちゃ長いです。結構長い付き合いなんですけど、うちの劇団に客演してもらってる割には一度も一緒にやっていないので、さっきも言いましたけどできれば下ネタミュージカルをやりたかったです。でもそれはまた次の機会に」と含みを持たせる。本読みの感想は「倫也が忙しいですよ。でも斗真のセリフも馬鹿馬鹿しくてお前何様のつもりだよっていうのがガンガン出てきて、斗真のファンも斗真のファンじゃない人も、アンチ斗真の人も楽しめるものになっています」とアピールした。

一方の粟根は、生田が出演している劇団☆新感線作品ではほとんど共演しているとのことで、「劇団員の中でも古株が生田斗真のお守り役としてついているので。今回は敵対する役でお守りはできないので、39歳、頑張っていただければと思います」とエールを送った。

今作はアクションも見どころとなっており、西野、りょうもアクションに挑戦することとなる。
何か準備をしているかと聞かれた西野は「準備はこれから……」と苦笑いし、「本読みの時もト書きというセリフ以外の短いところは飛ばしてどんどん呼んでいくスタイルだったので、実際ここですごい大変なアクションがあるんだろうなというのは想像するしかできなかったので、不安な気持ちの方が大きいです。皆さんの協力を得ながら乗り越えたいです」と気合いをいれる。
経験者であるりょうは、西野に「たった1行のト書きが数分のアクションになったりしますからね。本当に気をつけないと」とアドバイスを送りながら「新感線の作品は本当にアクションがかっこよくて。軽々しくアクションしたい!って言ってしまったんです。で、ちょっと今回多めになっていまして。やりたい、って言ってもやめとけって言われることが多いんですけど、チャレンジできる環境にいることが本当にありがたいなと思っておりますので、とにかくできるだけやります」と力強く語った。
古田は言うと、「結構皆戦うんですが、私は今回若干アクションが少なくなっててホッとしています。なんとか稽古が始まったら、今若干あるアクションを全部無くしていこうと」と画策しているようだった。

演出面について、いのうえから「前回のTHEATER MILANO-Za(2023年劇団☆新感線43周年興行・秋公演いのうえ歌舞伎『天號星』)で客席をバンバン使ったらすごく楽しかったので、このお芝居でも客席をバンバン使おうかと」という構想が明かされると、「え〜」「広いよ」と古田からブーイングが上がり、「いのうえさんね、客席使うの好きなのは良いんだけどてめえが走ってねぇから。やめてほしいなぁ」とぼやきが続いた。

また、公開されたメインビジュアル撮影の話になり、生田は「かなり時間をかけて、スタッフの皆さんもこだわって撮影しました。半日がかりで。本番の時も割とこれに近いようなビジュアルになるのかなと思います」と話すと、中村から「これりょうさんじゃないの?」と声が上がり、「斗真くんなんだよね」と答える生田。

するとりょうからも「マンションの管理人さんに間違えられたみたいで、『バサラオのポスターの前にぐっと出てくるの、かっこよかったね!』って言われました」と間違えられたエピソードが明かされた。

「私は結構自分で気に入っています」と話す西野は「かなり中性的な感じに撮っていただいて、眉毛とかも1回全部消して書き直して。『鋭い眼光でお願いします』って、楽しかったです」と、ビジュアル撮影を振り返る。

さらに、キャストにむけ「それぞれ俳優としての武器は?」という質問が。
りょうは「私は丸腰ですね。自分では難しいですね」と悩みながら答える一幕が。

西野は「自分で思うことはそんなにないですが、人から言っていただいたものだと、『西野の部分をだいぶ消してやってるよね』みたいな風に言っていただけたのは、そう言ってもらえてるのなら嬉しいなと思います」と微笑む。

粟根は「私は目つきの悪さです。言われ続けていますけど、もはや武器になってきました」と自信たっぷり。

「私は“便利”です」と答えた古田は「色んな演出家さん、監督さんに『古田さんは便利だな』『NGがない』って。全てYESなので、『この時はそういう気持ちにならないと思います』っていうことを絶対に言わない俳優なので。ましてやそういうことを言う俳優のことが大嫌いです」と古田節が炸裂。

生田は「本当に僕も武器というものはないんですけど、強いて言うなら……美しさ、色気、くらいでしょうか」と、自信が演じる役をなぞり笑いを誘った。

そして中村は、「色々考えていたんですけど、早く帰るに越したことがないと思っている。その分真面目にセリフを覚えて真面目に準備するのがあるかもしれません」と答えた。

最後に一人ずつ意気込みを語り、中島は「昨日本読みをやったんですけど、非常に手応えを感じて、本当に期待できるなと思っています。派手な舞台になると思いますので、ぜひ皆さん劇場の方にお越しください」、いのうえは「コロナ明けというの守るのですが、うちの劇団としてもこの規模で歌や踊りも入り、チャンバラも見せ場もいっぱいあるいのうえ歌舞伎ができる機会ってこれからあと何回あるんだろうということを考えると、非常に貴重な1回だと思って、ぜひ見逃さないで楽しんでいただきたいと思います」とそれぞれ語る。

中村は「あまりこういうことを言わないんですけど、ちょっと面白いものになると思っております。単純に、圧倒的に美しいものって見たくないですか?人生でこれまで皆さんが見た圧倒的に美しいものってポンって浮かびますか?それになります。頑張ります、僕も」と生田へプレッシャーをかけながらコメント。

西野は「見ていただいた方はもちろん面白かったと思ってもらえるように、やっているこちら側も皆で楽しんでできるように頑張ります。夏とか暑いと思うので、ぜひ劇場の中で涼みながら(笑)、でもステージからは熱い熱気を浴びれると思うのでそこを楽しんでもらいたいと思います」と呼びかける。

粟根は「昨日本読みをして改めて、この作品には自分勝手な人しか出てこないなと思いまして。それぞれ好き勝手にやるんですよ。ですので相当派手な舞台になるかと思いますので、その派手な舞台を楽しみに来ていただければと思います」、りょうは「本当に自由奔放な人たちばかりで、それがすごく人間ぽく生き生きと描かれていると思いますので、ご期待いただきたいと思っています」とメッセージ。

「登壇してる人間だけじゃなくてその他のメンツもそうなんですけど、非常に賑やかな作品になると思います。すごく楽しい現場になりそうです。なんとかして二つくらいは下ネタを入れたいなと思います」と意気込む古田。

そして最後に生田が「博多座から始まり、東京は明治座、大阪はフェスティバルホールと大変長い公演で、動員数も本当に多くて約15万人で、東京ドームでやると3回公演に匹敵するとんでもない規模なのですが、皆で力を合わせて乗り切りたいと思います」と宣言し、会見を締め括った。

2024年劇団☆新感線44周年興行・夏秋公演 いのうえ歌舞伎『バサラオ』は、7月7日(日)から8月2日(金)まで福岡・博多座、8月12日(月祝)から9月26日(木)まで東京・明治座、10月5日(土)から10月17日(木)まで大阪・フェスティバルホールにて上演される。