
⼥優としてドラマや映画をはじめ、バラエティ番組など様々なジャンルで活躍中の森川葵が、初めての著書『じんせいに諦めがつかない』を自身の誕⽣⽇である6⽉17⽇に講談社より刊⾏。
本書は、小説誌『小説現代に2年間連載していたエッセイをまとめたもの。連載が決まった時の心境を聞かれ「嬉しかったです。言葉を書く事が昔からすごく好きで、ブログをよく更新していたんですよ。でもなかなかブログは私のことを好きな人だけが見に来る場所だったので、自分の言葉が広がることって無いなと思っていたので、こうして『小説現代』さんで連載をさせてもらえると決まった時は、自分の言葉が自分のことを知らない人の目にも付くことになるのかなという嬉しい気持ちと、でも変に伝わっちゃわないと良いなというちょっと不安な気持ちと、色んな気持ちが入り交ざっていました」と振り返る。連載中の段階で書籍化の話もあったとし、「連載を始めて24回ぐらいやって、そこでもう書籍化したいと考えているんですと担当の方におっしゃっていただいていて、だから自分のゴールは書籍化するところで、何事もなく上手くいって書籍化したら良いなと思いながら毎回書いてきたので、本当に良かったなっていう安心の気持ちでした」と安堵した様子。
⽂章を書くことについて、⼥優としての思い、愛猫のことなど、何事も器⽤にこなす異才・森川の⽇々の諦めきれなかったエピソードが綴られている。
多忙の合間を縫って毎月執筆を行っていたが、連載時の苦労について「毎月となると、自分って何が言いたいんだ?何が書きたいんだろう?ってなることがだんだん増えてきて。すごく書きたいことがある時はどんどん手が進むんですけど、でも毎月となると、どうしよう、先月こんな感じのこと書いたしな…今月も同じようなことしか思い浮かばないな…とか、何について取り上げよう?っていうことが増えてきて、そういう時に絞り出すのが大変でした」と明かす。
執筆作業はどのような形で行って来たのかという質問には「初めのうちは、2000字で多かったので、家で『よし、集中して書くぞ』と思ってパソコンを開いて書いていたんですよ。でもだんだん書き方のリズムが出来てからは、公園を散歩している時にふとひらめくことがあるんですよ、このことについて書きたいとか、何かを見ていた時にこのことについて書きたい、この話とこの話がリンクしたっていう時とかに、パッて書き出したい時が増えて、途中ぐらいからは携帯で書いています」とスタイルが変化したことを語り、「自分で気付いていなかったんですけど、始まりはなんてことない文で始まってオチをつけるじゃないですけど、オチの時に本当に言いたかった言葉がようやく出てくるという文章構成がだんだんできていった時に、自分ってこういう文章の書き方をするんだって自分で気づかされた感じでした」とコメント。
執筆の際、「自分が書ける最大限をきちんと上手く伝えられるように、どんな方が読んでもちゃんと伝わるようにと思いながら書いていました。なので、そのままの自分でありながら、少しでも自分の考えを理解していただけるというか、知っていただけたら良いなと」と心がけていたとのこと。
また、執筆活動を通して感じた変化に「自分のことに自分で少し気づけたこと」と答え、「自分が好きなようにブログで文を書いていた時は、自分がどういう人間か分からず、ただ思ったことを人に伝わらなくてもいいやと思って書いていたので、今、自分で見ても何が言いたいんだろうってなるんですよ。でも『じんせいに諦めがつかない』は、人に伝えたい、口にすることはできないけど本当は心の中でこう思っているよということをなるべく書こうと思って書いていたので、人に知ってもらいたいと思いながら書いていたはずだったんですけど、自分ってこういうことを考えているんだと気づいたことが変化です」と自分を見つめる機会にもなったようだった。そんな森川にとって、文章を書くことは「私、話すのが上手くないんですよ。友だちと話していても、主語が抜けちゃったりするから何の話をしたかったのか分からないと言われることが時々あるんですよ。そういうときに自分の気持ちを文章にするとちゃんと伝えられるということがあるので、ちゃんと自分の気持ちを伝える手段ですかね」と笑顔を見せた。
本書の読みどころは「コバエをも受け入れる寛大な心」の回を挙げ、「その時書いた季節感も感じるし、それでいてタイトルの伏線回収も上手くいっているし、というので自分的にすごく上手く書けているな」と絶賛。「私の文章って始まりは何の話をしているんだろうっていう流れなんですけど、大体最後の3行ぐらいで、結局こういうことが言いたかったんだなということで締めているんですよ。自分なりの文章構図があって。だから文章を読むのが苦手な人は、最後の3行とか5行ぐらいを読んでもらえれば多分私の言いたいことが伝わると思うので、そこだけでも読んでくださったら嬉しいなと思います」と控えめにアピールした。
目標の部数を聞かれると「分からないです……何部売れればいいんですか?」と困惑し、黒柳徹子の『窓ぎわのトットちゃん』が585万部の最大のベストセラーを記録していると聞くと「黒柳さんに勝つことは不可能なので……どうですかね?小さい数字過ぎても面白くないですもんね?1万部ぐらい?」と強気な姿勢を伺わすも、「無理です!答えられません!」と明言を避けた。
装画を担当したのは、King Gnuのアートワークを⼿掛けるクリエイティブチーム「PERIMETRON」の荒居誠⽒。メインビジュアルには森川の飼い猫、⿊猫の吉と⽩猫のヤンが描かれ、躍動感あるイラストとなっている。「本当に可愛く描いていただいて」と嬉しそうに話す森川は「どういう絵が良い?って相談されたんですけど、その時にこういうものがいいっていう明確なものは自分の中に何もなくて。じゃあ、まず何色が良い?と言われて、ショッキングピンクは嫌かな、というのだけ伝えて。そしたら初めは赤だったのが青になり、自分も青が好きなのですごくしっくりして。そこから猫を描き始めて、目の前で描いてくださったんですけどすごく早くて。色々細かくうちの猫に寄せて描いてくれて、お願いして良かったなと」と語り、「自分の本棚に表紙が見えるように飾りたくなる表紙に完成して、本当に良かったなって。まこっちゃんだったからこそ、思い出に残る記念すべき初めての著書の表紙を描いていただけたなと思っています」と満足気だった。
そして、会見当日が誕生日の森川に、サプライズでバースデーケーキが登場。「可愛い!嬉しい!」「やったー!」と喜び、29歳の抱負を聞かれると「最近現場や仕事場で会う方が、共演者もスタッフさんも含め年下の方が多くなってきたので、そろそろちゃんと大人としての自覚を持って、人と向き合っていくべきだなと思っているので、もっと精神的に大人になるという目標を持って、29歳頑張りたいと思います」と答えた。
この後の予定を聞かれると「友だちが誘ってくれていて、毎年お祝いしてくれている友だちがいるんですよ。だからその子たちと一緒に」と笑顔。
さらに、これまでで印象的な誕生日については「去年、友だちが誕生日をお祝いしてくれるとなって予定だけ組まれていたんですよ。そこに行ったら、浜辺美波を呼んでくれていて。去年とか本当に多忙だったと思うんですよ。友だちも前からみーたんのスケジュールを押さえてくれていたらしくて、みーたんも誕生日をお祝いしたいと駆けつけてくれて、幸せな嬉しい誕生日でした」と嬉しそうに明かした。