
――今年の3月末にSexy Zoneを卒業し、本作がソロ活動始動後初のドラマ作品となりますが心境はいかがですか
一発目に相応しい題材のドラマになったんじゃないかなと思っていて、僕自身はこの1年でアイドルとしていろんな言葉を全身で受け止めてきた上で、今このドラマをやるということは自分としてもすごく深いメッセージをこのドラマに込めることができるんじゃないかなと思っています。
――記者会見ではご自身の経験をフルに活かせるというお話もありました
今はいろんな自分の面があって、“アイドル”の中島健人もいて、“GEMN(ジェム)”の中島健人もいて、俳優の中島健人もいたりして。いろんな自分を過ごしていく中で、やっぱりアイドルという立ち位置は言葉の柔らかい部分も尖った部分も、賛否を受け止めながら人生を歩まないといけないんじゃないかなと思っています。前のグループに12年間、この業界に16年いますが、賛否が起こらなかった時はほぼ無いというか。必ず賛があって否があってと繰り返し経験していますし、個人的にはこの1年はその賛否を深く濃く経験した1年だと思っています。なので、台本を読んでいる時に「そうだよね」「やっぱりこう思ってるよね」と。でも軽はずみに発言してしまった言葉でその人たちが悲しい終わり方をしてしまうという結末がこのドラマではたくさん描かれているので、視聴者の方もぜひSNSと優しいかかわり方をしていっていただけたらなと、心から思います。
――自身が演じる保田理弁護士のどのようなところに魅力を感じていますか?
僕は物事に対してかなり入れ込みすぎるというか、注力しすぎて考えすぎちゃう癖があるんですよ。そこでちょっと空回りしてしまったり、思い悩んだりするタイプなんですけど、保田は、そんなこともあんなことも他人事じゃん?何事にも考えすぎないでフラットに接して人生を生きていく方が楽しいでしょ?という、“自分は自分”ということを教えてくれた役柄で、手のひらの中の社会に惑わされずに、自分は自分という人生をちゃんと生き抜くことが大事というのを教えてくれたというか。僕にとってはこのタイミングで弁護士という役に辿り着けたというのは俳優としても転機だと思いましたし、(保田の)ドライでポップな性格というのは、この芸能界という場所を生き抜く上で必要なメンタルなのかもしれないなと。
―― 一見、冷たく見えてしまう保田をチャーミングな印象になるようどのように演じているんでしょうか?
口調です。柔らかい口調できついことを言っています。だから視聴者の方には、こんな弁護士いるの?と不思議な弁護士に見られると思います。多分世界のどこかにはいるんじゃないかということを信じて、この保田弁護士を演じているので、個人的にはこの役はすごく気に入っています。けど、本当にセリフの量がハンパないので!多分僕のドラマ人生の中で最もセリフ量が多いドラマです。毎日それで頭がヒーヒー言っています。
――セリフはどのように覚えていますか?
1日1日がかなり膨大なセリフ量なので、帰ったらぐったりして台本を読めないんですよ。なので当日の朝覚えています。ただ、この間はかなり長い、18ページくらいのシーンがあったのでそれは前夜に、恥ずかしがらずに言いますけど7時間ぐらいかけて覚えました。それぐらい時間をかけないと覚えられない量で、保田はそれぐらい毎回喋っているので、リーガルドラマの洗礼ですね。こんなにすごいんだと(笑)。想像のはるか上を行っています。でも友だちとSNSについて会話をする時に、僕のレスが早くなりました。「それは情報開示請求の対象だね」とか、必要な知識を台本でたくさん勉強させていただいているので、今の僕はSNSに対して超強いです。いつでも開示請求します(笑)
――保田弁護士は「しょせん他人事」をモットーに案件と向き合っていますが、中島さん自身が大事にされている考え方はありますか?
「思い立ったが吉日」だと思います。“まだいいか”が5年後、10年後になることとかがあるんですよ。でも“まだいいか”が1ヶ月後になるより、1年先になるより、今日あった方がよくない?って。後悔の1ヶ月、1年を過ごすよりも、今やって失敗して成功に繋げた方が良いと思うし、今やって成功した方が良いと思うし。僕は思い立ったが吉日タイプだなと。人生1回しかないから後悔の無い日常を日々過ごしていきたいなと思っているので、だから今、すごい毎日楽しいです。ポジティブなストレスしか無いかな。ストレスと言うのか分からないけど、それがうまく自分の力になっていて、一回一回チャレンジしていくのが今の自分にとってすごく清々しい気持ちになれます。すごく充実している時間を過ごさせていただいています。
――撮影で印象に残っているシーンはありますか?
法廷闘争のシーンが1話の中であるんですよ。実際の裁判は今だと結構リモートで行われるぐらい地味な感じなんですけど、皆さんが想像するのは被告人の周りを歩いたり、派手な感じじゃないですか。そういう派手な感じをドラマの中で表現するシーンがあり、皆さんが想像する100倍派手な法廷闘争でビームを出すようなシーンなんですけど、そこはドラゴンボールを意識しています。それに僕はテレ東さんには大変お世話になっているので、悟空もそうですが、(『遊☆戯☆王』で)「滅びの爆裂疾風弾(バーストストリーム)」という青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)の技名なんですけど、僕の手からバーストストリームしているので、それを僕のテレ東1本目のドラマで味わっていただけて『遊☆戯☆王』も感じることができると思っています。
――中島さんにとって思い入れのあるシーンになっているんですね
楽しくて本気でやりすぎて声が枯れちゃって、翌日のレコーディングがダメになりました。このドラマには責任を取ってもらいます(笑)。それぐらい気合いの入った、面白いシーンです。
――SNSの誹謗中傷は他人を羨ましい、妬ましいと思ってしまう心から来ているとドラマの中で保田も言っていますが、中島さんが他者に対してそういう気持ちを抱かないために、自分の心を穏やかに保とうとやっていることはありますか?
いや、ありますよ。でも自分の中にも棘はありますし、薔薇にだって棘があるじゃないですか?棘の無い薔薇は無いし、だからそこを触らないことなんじゃないかなと。そういうものを目に入れない、見ない方が良いと思います。だからデジタルデトックスみたいな言葉も生まれるし、僕はいろんな情報を見すぎることを“スクロール病”と勝手に言っていて、焦げちゃうよ?その指先、って。この指先でいろんな嘘も撫でているんですよ。それで気づいたら焦げてるし、だったらスクロールしない方が良いなって思います。でも、僕はインスタとか大好きだからリールだけは止められないんですけどね……。でもやっぱりちょっと変なものがあるなと思ったら、読む前に見ないようにしたり、自分と同じ意見を見たり。SNSって不健康になるために見るものじゃないと思っていて、確かにワクチンのように最初にウイルスを入れてそれで体を慣らすという考え方もあるけど、精神衛生上それをやりすぎる人がこの世の中は多い気がする。だから、ネガティブなコメントは正直ワクチンにもなりもしていない気がして、今は。だからそのネガティブな言葉が本当にダメな人は見なくて良いと思うし、そういうのを見るのが好きな林修先生みたいな(笑)、林修先生はネガもポジもどっちも見ると言っているのでかっこいいなって思うんですけど、ダメな方は見ない方が良いです。僕はそういう取捨選択がもうできるようになりました。だから正直、自分にとって余計なものは見てないです。
――SNSでは様々な意見が書かれますしね
でも、良いものは生かします。もう少し歌唱を、ダンスを、演技をこうした方が良いみたいな、愛のある言葉や指摘みたいなものはあるじゃないですか。それぐらいは良いですけどね。拳に対して拳で返すという社会じゃないので、グローブすらつける気にもならないです。
――SNSとの向き合い方について、中島さんから何かアドバイスはありますか?
限界が来たらもうSNSは消してください。無理して見るものじゃないし、自分を豊かにするものだと思うから、だから優しく扱えなくなるなと思ったら一度消した方が良いと思います。見たくなる気持ちもすごく分かるし、そういうものほど奥をどんどん見たくなるんですけど、気づいたら朝を迎えていて。隣り合わせなんだけど、隣り合わせだからこそ良い付き合いをしていった方が良いと思うから、一度限界点が来たらそっとSNSは閉じた方が良いかも。中毒性があるんだったら閉じるだけじゃなく消した方が良いかもしれない。それで時間が経ったらまた戻ってくればと思います。
僕はこのドラマでそういうこともまた改めて学んだ気がするので。そういうSNS社会だから、正しい付き合い方、良い付き合い方を。自分の感情を迷惑の無い範囲で叫ぶのは全然良いと思うので、でも自分は自分、人は人、という基本的な理念みたいなものはちゃんと持っていてほしいなと思います。
――この作品で、視聴者の方に注目してほしいポイントがあれば教えてください
意図的か分からないけど、僕にとって毎話メモリアルメンツが勢揃いなんですよ。さっき新たに聞いた次のエピソードのゲストも15年前に共演している方で、もちろん(白石)聖ちゃんも7年前にしていますし、2話の野村周平くんと平祐奈ちゃんも、皆どこかで共演しているんですよ。笠原(秀幸)くんも11年ぶりで、小手伸也さんだけ2ヶ月ぶりなんですけど(笑)。志田未来ちゃんは共演したことは無かったんですけど、1話で本当に志田未来ちゃんがめちゃくちゃ良い味を出されているんですよ!僕は10代の頃から女優として尊敬していた方だったので、今回共演することがすごく嬉しかったです。僕と彼女は16年前に堀越高校の高校説明見学会で会ってるんです。お互いにどうも、って一瞥して、当時中学3年生のジュニアだった僕は「14歳の母だ……探偵学園Qの人だ……」と思うんですよ。でも向こうも僕がジュニアだと認知してくれていて、1回説明会で会っただけなんですけどお互いに知っていたので16年ぶりの再会で、その方が1話のゲストということが本当に嬉しくて、メモリアルな夏を感じています。
――中島さんとご縁がある方が次々とゲストで出演されるんですね
「久しぶり!」って毎話言っているんですよ。それで聖ちゃんが「また?」みたいな感じで(笑)。だから僕の青春を想起させてくれるような、また新たな青春がこの年齢から始まるんだなと感じさせてくれるようなキャスティングなのですごいなと思っています。そこも少しちょっと見どころで、僕の思い出のアルバムをめくっているような感覚になっていただけたら良いなと思います。
――最後に、ファンの方へ伝えたい思いはありますか?
皆さんのポジティブな言葉は僕の中ですごく栄養になっているし、自分が元気になる言葉は皆さんに日々いただいている気がするので、その恩返しができたらいいなと思います。僕自身もこの4月から新しい環境に身を置いて、正直驚いている方もいらっしゃると思いますけど、新しいことに常にチャレンジしたいし、その先に切り開かれる新境地みたいなものに、ファンの皆さんと、U:nity(ユニティー)と一緒に飛び込んでいけたらなと思っています。音楽面もいろいろ走り出しましたけど、俳優面ではこのドラマが一発目であり、痛快でポップで元気になる作品だと思うので、夏はこのドラマと走り抜けて楽しんでいこうよっていうメッセージを伝えたいです。日々本当に皆さんのSNSの元気な言葉を僕は吸収しているし、それを皆で一致団結してより大きなものにできたらいいなと思うので。良い夏にしようぜ!って思います。