本作は、キリスト教に支配されていた中世ヨーロッパで、当時の最高権力者のローマ教皇から最大の罪である「破門」を三度言い渡されながら、たった一人で時代の門を破り、次の時代をこじ開けた皇帝フェデリコの物語。実の息子をも敵に回し、敵である異教の君主と友情を育むなど誰も思いもよらない方法で前人未到の道に進もうとした男の真実を描き出す。

主演を務めるのは、情熱溢れる演技で多くの人を魅了し、ドラマ・映画・舞台と数多くの作品で活躍し続ける、日本演劇界には欠かせない存在の佐々木蔵之介。既存の権威は全て無視、己の眼で見た事しか信じず未来への重き扉を1人で無理やりこじ開けた、破門皇帝・フェデリコを演じる。
そして、フェデリコと対峙する息子ハインリヒを演じるのは、アーティストとしてはもちろん、俳優としてもドラマ・映画・舞台と幅広く活躍する上田竜也。初共演の佐々木と父子の確執を描き出す。
共演は、確かな演技力とおかしみで独特の存在感を放つ六角精児、「第29回 読売演劇大賞杉村春子賞受賞」の那須凜、劇団四季退団後舞台のみならず数々の映像作品でも活躍する栗原英雄、「劇団柿喰う客」の田中穂先、「演劇集団 円」の石原由宇と、様々なジャンルで活躍する豪華実力派キャストが集結した。
2021年8月に佐々木主演で上演された「君子無朋(くんしにともなし)」以来3年ぶりに、佐々木×作・阿部修英×演出・東憲司のコラボレーションで、全てにおいて規格外の“神聖ローマ帝国皇帝フェデリコ”の実像に迫る。

初日前会見にはキャストの佐々木蔵之介、上田竜也、那須凜、栗原英雄、六角精児、作・阿部修英、演出・東憲司が出席した。

明日の公演初日を前に、佐々木は「7月1日から稽古を皆と共にして参りました。暑い夏、熱い稽古をして参りました。いよいよ明日というのがドキドキもしますし嬉しくもあるし、今、舞台に立てるというちょっとホッとする安心感もあります。まだホッとしちゃいけないんですけど。ぜひ多くの皆さんに見ていただければと思います」と意気込む。

「とにかく早く明日にならないかなとワクワクしています」と期待を寄せる上田は、「7月から1ヶ月みっちり稽古して、とにかくお客さんの前で感情を爆発させて素晴らしいものを届けたいなと思います」と語った。

那須は「本当に怒涛の、ものすごいスピードで稽古が進みまして、明日いよいよ本番ということが信じられないんですけれども、マンパワーで頑張っていきたいと思います。明日、楽しみです」と力強くコメント。

栗原は「いよいよ(幕が)開くのかなという気持ちです。この時代にこの作品がどう受け止めていただけるのか楽しみにしております」と反応が気になる様子。

六角は「明日から9月の終わりまで公演があるわけですけど、皆さんで仲良くやっていきたいなと思います」と述べた。

佐々木と上田は今回が初共演となるが、お互いの印象について聞かれると、まずは佐々木が「ちょっとやんちゃなイメージがあったんですけど、稽古場ですごく真面目に人の言うことを聞くんですよね。当たり前なんですけど(笑)。もうちょっと聞かん坊なのかと思ったら、全部その通りにやるし、セリフもその通りにやるから真面目にやるなっていうのがすごい印象があります」と稽古場での上田の姿を明かしながら、「劇場に入ってから、多くのお客さんの前で立っていた人間なので、爆発のさせ方とかそういう楽しみ方とかすごい分かってくれているので、付いて行きます」と話す。

対して上田も「まず最初にびっくりしたのが圧倒的な芝居力で、自分が稽古に入る前、自分の場をやる前に観させていただいたんですけど、すごく迫力もありますし、すごいなって改めて蔵之介さんの存在感に圧倒されました」と熱く語り、「何より気遣いがすごい方というか、シーンごとに良かったシーンは『このシーンすごく良いよ』って言ってくれますし、『もっとこういう気持ちでやっても良いんじゃない?』っていうところもちゃんと遠慮なく言ってくださるので、そこはもう信頼して付いて行っています」と信頼を寄せている。

役柄としては確執のある親子役ということで、稽古中にあまり口を利かないようにしたり、仲良くしないようにするなどの役作りがあったのかという質問に、上田は「自分は最初そうなるかなって思っていたんですけど、蔵之介さんが差し入れをいっぱいくれるので、餌付けされました(笑)」と笑みを見せる。
佐々木も「僕は役をあまり引っ張らない方なので。確かに差し入れは大事やなっていつも思っています。だから毎日どういう差し入れ、賄賂をどうしたらいいかっていうことに頭を悩ませました」と続けた。

六角からも「差し入れが多いから仲良くなるんですよ。皆で食べてますからね。佐々木さんがくれるものを食べて、私たちは7月暮らしていました」と冗談交じりに明かされる。
本番が始まってからの差し入れが期待されると、佐々木は「じゃあ現場に酒持ってきますか!」と自身の実家の家業にも触れながら答えていた。

最後に、お客様へのメッセージとして、上田は「皆さんがどういう感情になってくださるのかとかも楽しみながら、この劇場を出た時に何か一つ、どんなものを持ち帰ってくれるのかとかを期待しながら、僕たちは全力で頑張るので、皆さんぜひ楽しみにしていてください」、佐々木は「マンパワーというのはその通りで、800年前の中世ヨーロッパを渋谷に再現します。人海戦術で届けます。その時代に生きた、命を落として使命を果たそうとした人、正義を貫こうとした人、そして夢を実現させようとした人、その人の感情が渦巻いています。最後は大きな白い希望の翼に乗って、この劇場を後に、ご自宅に帰っていただけるよう素敵な芝居をお送りいたします。ぜひお越しください」と呼びかけ、会見を締めくくった。

PARCO PRODUCE 2024『破門フェデリコ~くたばれ!十字軍~』は、2024年8月6日(火)から9月1日(日)まで東京・PARCO 劇場にて、その後は愛知、大阪、福岡でも上演される。

<あらすじ>
13世紀、中世ヨーロッパ。
神聖ローマ皇帝となったのがフェデリコ2世(1194~1250)。
100年やっても決着しない戦争の無駄に気付き、得意のアラビア語を駆使し敵の長と「文通」。
十字軍を停戦し奇跡の平和を築く。だが神の意に沿わぬ和平は教皇の怒りを生み、中世最大の罰「破門」(戸籍抹消。社会的な死刑)を受ける事に。
“神の代理人”教皇との罵詈雑言の応酬や、父が天才すぎて理解できぬ息子の悲哀と確執
その父子の対決と理解の長い旅路は、世界に何をもたらすのか…
『破門フェデリコ』の壮大な物語が始まります。