原作は、熱狂的ファンも多いコント師ジャルジャルの福徳秀介が2020年に小説家デビューを果たした同名作。監督を務めるのは映画『勝手にふるえてろ』(17)、『私をくいとめて』(20)、「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」(NHK/23)など、数々の話題作を手がける大九明子。主人公の冴えない大学生・小西徹を萩原利久、小西が恋に落ちるヒロイン・桜田花を河合優実が演じている。

全身ブラックの装いで登場した萩原は「こういった場で皆様に見ていただけるということが本当に嬉しいです」と挨拶。続けて「でも正直、どんな感想が出てくるのか、どんなふうに届くのか、そわそわしている部分と楽しみな部分がどっちもいる状態かなと思います」と心境を明かした。
河合は「東京国際映画祭のコンペティション部門というすごく光栄な場所に出品されるということはすごく喜ばしいなと思ってます。なかなかない機会ですので、今日このような場で見に来てくださった皆様と顔を合わせることができたことをすごく嬉しく思っています」と喜びを口にした。

本作で萩原が演じるのは冴えない大学生・小西徹。役柄について聞かれた萩原は「冴えない大学生とか、日傘をさしているとか要素はあるんですけど、キャラクター的な部分から入るのは危険なのではないかなと1番最初に思った」と話し、「共感できる部分と共感が難しい部分が、結構ばっくりありまして。僕は撮影が始まる前に決めていくタイプなんですけど、今回なかなかそれが難しかった」と役作りの難しさを吐露。
自分の中では正解を決めず、その代わりにいつも現場に入る前に考える選択肢の可能性をいつもの何倍も何倍も考えて、現場で皆さんとお芝居をしたり、現場のものに触れたり、いろんな要素から段取りをしていく中で見つかっていくものを信じてやろうかなっていうのが今回僕の1番のアプローチの仕方」と振り返っていた。

そんな小西が恋に落ちるヒロイン・桜田花を演じる河合は、ポスターでも見ることができるトレードマークのお団子頭について聞かれ「お団子頭っていうこともそうですし、彼女の姿勢だったり、衣装だったりメイクだったり、脚本を読んだりしたら、小西の目線で桜田が語られるので、最初は小西から見た桜田、もしくは観客から見た桜田とか自分の外から見た人のイメージをヒントにして作ったのでお団子頭は最初の自分の取っかかりにはなってると思います」と役作りの経緯を話した。
最後に大九監督は「本日はフレッシュな才能溢れる俳優と共に参りましたが、映画の中には私よりも先輩に当たるような年齢の方から様々な年齢のお方に出ていただいています。すごく私にとっても特別な映画ですし、本日皆様にご覧いただけるっていうことをとても光栄に思っております」とコメントして、舞台挨拶は幕を閉じた。