
巨匠・黒澤明の助監督を務め、自身の監督デビュー作『雨あがる』(00)以来、一貫して人間の美しい在り方を描いてきた小泉堯史監督が、日本映画界のレジェンドと言っても過言ではない熟練スタッフ陣とともに、丹精込めて作り上げた本作。
二度目の小泉組に参加となる芳根。一度目は緊張から頭が真っ白になってしまい記憶がほとんどないと言い「今回は現場にいる時間も前回よりも長くさせてもらえることもあって、しっかり記憶に残すぞって意志を持って参加させてもらいました」と笑顔をみせた。
本作では良策(松坂)の妻・千穂を演じる芳根。松坂とは映画『居眠り磐音』ぶりの共演のようで「前回ご一緒させていただいた時も時代劇だったので、和装の松坂さんに見慣れてしまっている分、逆に今が不思議という現象が起きている」と会場を笑わせつつ「前作の時は結婚する約束までは言っていたんですが、結婚できずお別れをしてしまう役だったので、今作は最後まで妻として支えることができてとても幸せでした」と満面の笑顔に松阪は「こちらこそです」とにこやかに返答した。
本作の魅力について松坂が「芳根さんがもうほんとに疲労困憊の中、ものすごい集中力で成し遂げたシーンがある」と説明すると芳根は「自分の話になってしまって申し訳ないんですけれども、3ヶ月ほど練習期間をいただいて発表の場みたいな気持ちだったので、本当に私自身やっていて心が震えた瞬間があったんです」と回顧。松坂から「泣き崩れてますもんね。でもほんとに素晴らしかったです」と称賛された芳根は「初めの頃、私センスないのかもと思ってメソメソしてる時期とかもあったので、無事に本番が迎えられて、監督の笑顔を見た時に本当に心の底からホッとした覚えがあります」と振り返っていた。