
本作は、不思議な物語が交錯するファンタジーの手法で平和というテーマへアプローチした意欲的な作品となっており、監督・脚本は、国際映画祭で数々の賞を受賞し、『彼女は夢で踊る』『鯉のはなシアター』『シネマの天使』『ラジオの恋』などの実績のある時川英之。
本作で初めての映画主演を務めるのは、若手実力派俳優として数々のドラマで存在感を発揮している曽田陵介。映画、ドラマ、舞台と順調な活躍をみせる秋田汐梨がヒロインを演じる。
そして、ロサンゼルスを拠点に俳優、作家、音楽プロデューサーとして活躍するチェイス・ジーグラーを迎え、場を暖める明るいキャラクターが多い印象だったが、「容疑者 室井慎次」での悪役ともいえる灰島弁護士役で高い評価を得て幅広い演技に定評のある八嶋智人が脇を固める。
また、美術には広島出身の部谷京子(日本アカデミー賞 優秀美術賞12回受賞、うち2回最優秀美術賞受賞「Shall we ダンス?」「それでもボクはやってない」 、紫綬褒章/2016年秋、第77回 中国文化賞受賞/2020年)、撮影は、映画、ドキュメンタリー、ミュージックビデオなどジャンルと国境を越えて活躍するアイバン・コバックを起用。編集スーパバイザーとして『罪の声』 で第44回日本アカデミー賞 優秀編集賞を受賞し、『ちはやふる〜結び〜』『ビリギャル』『花束みたいな恋をした』と実績を積む、穂垣順之助が担当している。
本作を世界へ発信すべく、その第一歩として、11月末に開催される広島国際映画祭での上映が決定した。
<コメント>
■時川英之/監督・脚本・プロデューサー
広島には世界の誰もが知っている壮絶な歴史があります。だからこそ、この土地には沢山の愛があると思います。
それは、過去を忘れないようにしようとするこの街の人々の気持ちや、静かな平和への祈りが、平和公園はもちろん、街のいたるところに、一見気づかないところや、人々の生活の中にあります。今では多くの外国人旅行者が広島を訪れ、大きな賑わいのあるこの街を見て何かを感じてくれています。広島平和記念資料館に多くの旅行者が列をなすのは、この街が今起きている戦争と無関係ではないからだと思います。戦後80年という大きな節目に今の広島の平和について映画で描いてみたいと思いました。
しかし、平和をテーマにした映画というのは、どうしても教育的になったり、説教臭くなることがあります。
それでは作品は見てもらえないので、もっと多くの人々に伝わるように、映画ならではの<物語>という手法で、ファンタジーの要素を組み込んで作りたいと思いました。今の広島の街を反映した不思議な話が交錯する平和の物語です。
映画だからこそ、現在と過去、夢と幻が融合し、忘れていた感情が溢れ出し、宇宙からこの街を見つめることができます。
戦争を体験した人たちの、その後を継ぐ世代として、新しい時代に広島だからこそできる物語を世界へ発していきたいと思います。
■横山雄二/プロデューサー
広島の尾道を舞台に「時をかける少女」や「転校生」といった 数々の名作を作り上げた故・大林宣彦監督の言葉が好きだ。映画とは『嘘から出た実(まこと)』 そんな作品を、今の広島で作りたいと思った。「青春映画」だけど「ファンタジー」そして「SF映画」の要素まで散りばめた「幸せ」にまつわる幕の内弁当のような作品。映画という作り話が、いつの間にか現実になり、時をかけて未来へバトンを渡す。そんな映画を広島に住む自分自身が観たいと思った。笑って、泣いて、劇場を出るとき、ちょっとだけ背筋が伸びている。『惑星ラブソング』は、これまでにない間違いなく新しい映画です。
■曽田陵介/モッチ役(主人公)
僕が演じるモッチという役は、まだ自分の殻を破れず、将来に焦りを感じている中、様々な出会いがあり成長していきます。
大学生役ということもあり、僕自身広島で学生時代を過ごしたのでどこか懐かしさを感じながら撮影期間を過ごしていました。
そして今回は平和がテーマということでモッチを通して皆様に何か少しでも伝わるものがあれば嬉しいです。
お楽しみに。
■秋田汐梨/アヤカ役
私が演じたアヤカは、怖いもの知らずでやりたいと思ったことにはとことん突き進む元気な女の子です!
私自身初めての英語・広島弁のセリフにも挑戦しました。歴史の授業などでしか学んでこなかった原爆について撮影を通して深く知り、平和について考えるきっかけになったとても貴重な撮影期間でした。
■八嶋智人/UFO博士役
この映画はファンタジーです。平和を願い、模索するファンタジーです。
でもそこには、広島という土地の記憶が事実として含まれています。
だから語り継ぐ神話だと思って劇場から自分の世界に持ち帰って下さい。
劇場で待っています。
■チェイス・ジーグラー/ジョン役
この映画に出演するチャンスをいただけたことへの感謝の気持ちは本当に言葉では言い表せません。最初にジョン役の概要を読み、アメリカからズームでオーディションを受けた時、この役は自分がやるべきだと感じました。今回、初めて日本を訪れ、広島で長い時間を過ごせたことは、私の心の中で特別なものになりました。広島で歴史の中を歩き、永遠の平和への祈りと精神を感じることができました。
■日本原水爆被害者団体協議会 代表委員 箕牧智之氏
今、世界で戦争していることが本当に痛ましい。それはかつての広島の痛みと同じである。核戦争の危機は迫っている。
この星の運命はこの星に住む人たちが握っている。本当にそう思います。世界は平和でなければいけない。
そのために自分たちに何ができるのか?もっと多くの若者に感じてもらいたい。世界の平和について考えさせるこの映画を私たちはあたたかく見守りたいと思います。
■広島県原爆被害者団体協議会 理事長 佐久間邦彦氏
映画の物語がどう展開するのかを興味を持って観させていただきました。
我々が今までやってきた平和活動はストレートな方法で、被爆被害の現実を訴えて平和が大事だと伝えてきた。
でも、この映画は全く新しい方法で平和を訴えている。もっと広く市民社会の中で平和を訴えるために、今後新しい世代にどう伝えていくか?ということを考える時に、こういう映画は非常に大事だと思いました。この物語はいろんな意味で考えてもらえるところがある。大きな視点で地球全体のことも考えられる。若者たちがこの物語を観てどう受け取るのかを聞いてみたい。
なんとかしなくちゃいけない、これからは自分たちがやるんだということを感じてほしい。平和に向けて粘り強く進んでほしい。