原作は、熱狂的ファンも多いコント職人ジャルジャルの福徳秀介が2020年に小説家デビューを果たした同名作。個性的かつリアリティあふれる女性主人公を描くことの多い大九明子が監督を務め、恋愛作品としては初の男性主人公の物語に挑戦。主人公の冴えない毎日を送る大学生・小西徹を萩原利久、⼩⻄が恋に落ちるヒロイン・桜⽥花を河合優実が演じている。

劇中で重要なシーンとして描かれる、小西と桜田が急速に仲を深める夜の水族館のシーンについて聞かれた萩原は「1ヶ月ぐらいの撮影の中で水族館のシーンは撮影時期も前半で撮ってたんですけど、その前半の中で1つ、僕の中でポイントなシーンだった」と回顧。「それまで割と桜田さんと小西にとってすごくハッピーな1日のシーンを撮ってく中で、ちょっと色の違うシーンだった。全体通して1番最後のシーンに向かっていく中でも、僕の中で1つ、小西という人物を演じるにおいて、すごくほんとポイントにしてるシーンだった。撮影始まって数日間、その水族館のシーンに向かっていく感覚がすごくありましたし、そこで一気に、僕の中では小西という人物がもう1色纏えたような感覚があった。あのシーン前後で僕の中で小西のちょっと自由度が1ランク上がったような感覚で、いろんなものを見ながら、感じながら、自分の定位置というかここだっていうのを探してく中で、水族館のシーンでその調整がバチっとハマったような感覚があった」と振り返り、続けて「あのシーンはすごくお芝居をする上でも、現場の皆さんが僕らのお芝居をしやすい環境をすごく丁寧に作ってくださってたので、もう後はそこでやるだけだみたいな状態で臨ませてもらったのはすごく嬉しかったですし、そういう意味ですごく吹っ切れたというか、全身でそのシーンに臨んでいく感覚みたいなのがすごくあったシーンかなと思います」と感謝を述べた。
水族館のシーンは原作者の福徳もお気に入りなようで「小西がぶわっと喋りだして、桜田さんがもう嘘みたいに小西をガン見するんすよね。あれはやっぱきついじゃないですか、男からしたら『どこ見たらいいんやろ』『この子めっちゃ見てくるやん』みたいな。でも、その逃げ場として魚があって、小西は魚見てるフリしながら、でもこの眼圧に耐えれるためにこの魚があるみたいなあのシーンすごい好きでしたね」と力説。それを聞いていたMCのチャド・マレーンが「普段水族館のシーンを見ると尿意が出てくるんですけど、今回はでませんでした」とまとめると、萩原は「新しい視点」と驚きの表情を浮かべた。

本作の内容にちなみ“大切にしている言葉”を聞かれた萩原は「マンバメンタリティ」と回答。バスケットボール選手として活躍しているコービー・ブライアントの言葉のようで「仕事の向き合い方みたいなメンタリティーを言語化した言葉」と説明し、「すごくかみ砕くと明日が今日より良い状態になるように準備しようみたいな、向上心持とうよみたいな言葉で、どんな仕事でも変換できるなと思って、大事にしてる言葉ではある」と明かしていた。
この日のイベントには萩原のほか、監督の大九明子、原作者のジャルジャル・福徳秀介が登壇した。