
昨年2024年9月より放送が開始され、回を重ねるごとに注目を集めていき、<今期一番の青春ドラマ>として呼び声が高い、MBSドラマフィル『スメルズ ライク グリーン スピリット』。放送終了後、SNS上では「#スメルズロス」と、最終回を惜しむ声も挙がった話題作が、ドラマを再編集し、更に原作、ドラマにもないオリジナルエピソードを加えた『劇場版 スメルズ ライク グリーン スピリット』が完成し、2025年6月27日(金)に全国公開される。
そして、劇場版の全国公開に先駆け、完成披露上映会イベントを実施。
クラスで浮いていて “髪が長い”という理由で、同級生からいじめられるが抵抗せず、唯一の心のよりどころが、隠れて母親の口紅を塗ったり、服を着たりすることが日課となっている主人公・三島フトシ役の荒木飛羽、「本当の自分」を押し殺し、クラスで浮いていて “髪が長い”という理由で、主人公・三島フトシをイジメるグループのリーダーで、ある日、三島が落とした口紅を自らの唇に塗ろうとする桐野マコト役の曽野舜太、三島に対し強く当たってしまう、バスケ部に所属するクラスのムードメーカー・夢野太郎役の藤本洸大、どこか訳アリな様子もうかがえる都会から閉鎖的なド田舎に転任してきた社会科教師・柳田役の阿部顕嵐が登壇。そして音楽を担当した中村 中と、澤田育子監督もイベントに駆け付けた。
映画化されると聞いた時の心境を荒木は「本当に嬉しくて!でも追撮が無くて、現場行きたかった〜と思いましたけど、嬉しかったです」と追撮がなかったことを残念がりながらも喜び。
曽野は、「僕は追撮があったので、また現場で皆さんに会えるというのがすごく嬉しかったですし、あの夏がまたやってきて、もっとでかいスクリーンで見られるんだということが本当に嬉しいなと、皆さんに観てもらえる日を待ってました!」と笑顔。
荒木と同じく追撮がなかった藤本は「まじすか!って本当に驚きました。僕にとっても慎重に役と向き合い続けた大切な日々が刻み込まれた作品なので、映画化されると聞いた時は心から嬉しかったです」とコメント。
そして阿部は、「もちろん嬉しかったですし、僕は映画がすごい好きで、何時間という時間をその作品のために使うわけじゃないですか。作品の世界に没入できて観ていただけるのは幸せだなと思います」と想いを語る。
撮影が行われたのは7月末から8月中旬、猛暑の中での撮影となったが、曽野は「めちゃくちゃ暑かったです!たまたまその現場にエアコンが無かったので。皆で汗を拭きながら、僕も差し入れでアイスを買って行ったんですけど、溶けちゃって。でもなんとか乗り越えました」と当時を振り返り、「初日1発目がオープニングの追いかけるシーンだったんですけど、10本ぐらい走ったよね?あれがクランクインだったんですけど、あ、この現場やべえ!って」と覚悟した様子。
藤本も「でもあれで相当仲深まった感じじゃない?」と続き、阿部も「あれ大変だったもんね」とこぼすと、「あれ?居ましたっけ?」と疑問の声が上がり、会場からも笑い声が。実は先生役の阿部は走るシーンには参加しておらず、「校舎から見てた(笑)」と訂正した。
藤本も「マフラーの中に実は保冷剤をいっぱい入れていて、よくわからない感じでした。温かくしているのに、冷たいやつを入れているのは、初めての経験でした」と語る。
阿部は「僕は結構室内のシーンが多かったので、苦労はしていないです!涼しい感じで」と話すも、荒木と演じた“お尻ペンペンシーン”の撮影で監督から「あの部屋は密室で狭くてエアコンもないからとんでもない暑さで狂った植物園みたいな。私は外のモニターで見ててディレクションしようと思ってその部屋に行ったら熱風みたいになっていて、ちょっと1回休憩しましょう!っていうぐらい。でも2人とも文句も言わず、止めなければずっとやり続けていて、素晴らしいなって思いました」と称賛。しかもあのシーンで荒木と阿部は初対面だったそうで「初対面で人のお尻叩くってないですよね。でも全力でやらせていただいて」と振り返る阿部に、「結構痛かったです(笑)」と笑顔の荒木だった。
劇場版制作にあたって行われた追加撮影について監督は「柳田先生をどうして海にぶち込みたい」という意図があったそう。「柳田先生が三島くんにしたことは決して賛同できないですけれども、柳田先生の中の葛藤や抑えたいのに抑えきれない衝動があって、そのもがきをドラマ版では道路で車に轢かれそうになるというところで表現しているんですけど、でももっとすごいんじゃないかということを思っていて。あの山に囲まれた町から飛び出して欲しかったんですよね。なので海に行って欲しかったし、海でもがくことによって、生きてていいのかなという思いから、どうやって生きていけるんだろうと細やかな希望と言ったら大きすぎるんですけど、柳田先生になりに何かを掴んでほしいなという思いで、まずは海にぶち込みたいなと思いました」と語る。
そのシーンの撮影について阿部は「シーン的には結構シリアスじゃないですか。でも撮影自体はすごい楽しくて!撮影部や照明部の方と皆で一緒に海に入って、泳ぎながら撮る、みたいな。楽しかったです」と答えた。さらに、「海沿いで皆でご飯を食べたり…」と撮影時の思い出を明かすと、「呼んでくださいよ!ご飯の時だけ!」(曽野)、「行きたかったです」(荒木)と残念がっていた。
さらに、作品にちなみどんな学生時代を送っていたのか?という話題に。
現在19歳で、一番学生時代が近い荒木は「中学校の時は毎日放課後やお昼休みにずっとサッカーをやっていました。ずっとサッカーしてた記憶しかないです。すごく楽しかったです」と回答。
曽野は「高校までは地元の三重の方にいて、週末に東京に通うという生活だったんですけど、新幹線にずっと乗っていた高校生活でしたね。どれぐらい移動したのか後から計算してみたら、地球を3周半ぐらいしていました」、藤本は「兵庫出身なんですけど、兵庫の高校に通って、ものすごい青春をさせていただきました。ベタに海に行ったり、サッカー部の合宿とか、ちょっと廃墟のところに肝試しに行ったり、でも結局怖くて行けないとか。あとは監督に隠れてホラー映画見て、叫んで怒られるとか、そんな感じです」とそれぞれ語る。
阿部は「僕は言えないことばっかですけど…」と冗談を織り交ぜながら「中学1年生から仕事を始めていたので、そこからはずっと仕事の記憶で。青春は捨ててきました(笑)。でも、この作品で青春を味わいました」とコメントした。
最後に一人ずつ挨拶。
澤田監督は「6月27日から全国の映画館で公開となりますので、なども観ていただきたいというのと、ドラマ版と違った点もかなりありますので、(映画とドラマと)両方から多角的に攻め込んでいただけたらと思っております」とアピール。
中村は「自分の10代の頃がすごく詰まっているなと思うシーンもありました。私は生まれた時は男児として生まれました。今は女性として生ていますけれども、こういうセクシュアリティを扱う作品というのが存在することで、観た人がその帰り道に、自分はどう思ったかとか語り合ってくれるのかなと思うんです。語り合っていただく場があるということが、当事者としてはすごくありがたいんですよね」とし、「描かれているのは、令和の今から比べると苦しい描写もあったりしますけれど、でもこれはある意味、数十年前のリアルな形でもあると思うんです。そういう時代もあったんだということを通して、今どう考えるか、この映画を楽しんでいただけたらすごく豊かなものになるかなと思いますし、個人的にすごくありがたいです」と語りかけた。
阿部は「映画館でこの作品に時間を使っていただけたら嬉しいなと思いますし、ドラマとは全く別物だと思うので、何回でも観て、この作品を愛していただけたら嬉しいです」、藤本は「とある田舎町で、それぞれが自身のアイデンティティと向き合い続けた、そんな汗と涙がぎゅっと詰まった作品だと思います。皆さんの心に、この作品、この夏が残り続けていただければとても嬉しく思います」、曽野は「僕ら含めスタッフの皆さんも全力で駆け抜けた夏が劇場版となります。セクシャルの問題や田舎の狭い地域だからこそ起こる問題、家族との関係だったり、観る時に構えるというか、ちょっと気持ちを入れなきゃ観られなかったりする部分もあるんですけど、観た後には自分の中に何かが生まれて勉強になったり、またちょっと考えが変わったりすると思うので、ぜひ1回劇場で観てもらえたら嬉しいなと思います」とそれぞれメッセージを送る。
最後に荒木は「皆さんにたくさん観ていただいて、たくさん愛していただいたので、自分が今ここに立てているんだなと思います。本当に感謝しています。大きい画面で自分たちのひと夏を観られるのが自分も嬉しいですし、皆さんにも伝えられたらなと思います」と、イベントを締めくくった。