2019年12月に中国の湖北省武漢市で初めて発生が確認され、2020年に入ってから世界的流行（パンデミック）を引き起こした新型コロナウイルス。過去に未知のウイルスの脅威や感染拡大を描いたパニック映画やサスペンス映画は国内外にいくつか存在したが、本作は世界規模で人類が経験した新型コロナウイルスを事実に基づく物語としてオリジナル脚本で映画化した日本で初めての作品である。

この度、開催された映画『フロントライン』ジャパンプレミアでは、“全員が主役”の本作において、撮影後にメインキャストが集結するのは、今回が初となる。

船内で乗客たちの不安を取り除こうと奔走するクルー・羽鳥寛子を演じる森は、役作りにおいて自身の役のモデルとなった方に話を聞いた際、「私の役の仕事は、お客様に下船する時にいつも通りの笑顔で帰ってもらうことだとおっしゃっていて。いつも通りの笑顔って大事で、こういうピンチの時にこそ考え直さなきゃいけないことだなと思いました」と改めて思い直し、意識していたことについては「船に乗っていらした全ての方々へ、常にリスペクトを忘れないことです」と話す。
さらに、「英語を喋る役だったので、技術的にちゃんと練習しないといけないところだったのは、少し自分にとってチャレンジでした」と振り返る。

出来あがった映画を見た感想については、「初めにこの船を見た時に、楽しむために作られた、旅をするための船だったから、すごく豪華で、どこを漂っていても美しい船なんですよね。だけど、その中で起こるはずのなかったことが起こっていて、それは見た目だけでは全く分からなくて。自分が見ただけでは何も分かり得ない非力さや無力さがこの映画を通して分かったような気がします」と語り、「それを通じて自分の中でどういうものを拾って生きていくかがすごく大事になってくるんだと感じたので、たくさんの見方ができる素晴らしい作品になっていると思います」と笑顔を見せた。