数多くの児童文学の賞を受賞した20世紀を代表する絵本作家アーノルド・ローベルの名作「Frog and Toad」シリーズ(邦題:がまくんとかえるくん)は、仲良しふたりのかえるが繰り広げる何気ない日常が描かれた絵本で、子どもから大人まで親しまれる作品。同シリーズを原作としたミュージカル『A Year with Frog and Toad』は、2003年にブロードウェイで上演され、トニー賞で3部門にノミネートされるなど高い評価を得た。日本では06年に初演され人気を博し、07年、09年、15年、17年と繰り返し上演されてきた本作を、8年ぶりに新たなクリエイティブチーム&キャストで上演する。

演出は、元吉庸泰。主演を務めるのは、ふぉ〜ゆ〜の越岡裕貴松崎祐介。性格が異なるがまくんとかえるくんが織りなすじれったくも仲睦まじいユーモラスな友情物語を歌と踊りとともに演じる。共演には原田優一上川一哉MARIA-E壮 一帆と、実力派たちが脇を固め、動物たちの温かい日常を描く。

2025年5月31日(土)に愛知で開幕し大阪でも好評を博した本作。東京公演初日に先駆け、取材会及び公開ゲネプロが行われた。

取材会に登壇した越岡は「いよいよ東京で皆さんに披露できるワクワク感がありますね。この作品は色んな年齢の方に楽しんでいただけると思うので、一番はお子さんに見てほしいなと。お子さんを連れてきてほしいなと思います」と挨拶。

続く松崎は「このサンシャイン劇場というのは、近くにポケモンセンターがありますね。美味しい食べ物があります。だから美味しいものを食べて、劇場に運んでいただければ……」とどんどんステージから飛び出してくる勢いで前に歩み出て話す。「この作品は教科書に載っているんですよね。僕も小さい頃に読んだことがあるんです。その時って内容はあまり把握できていないというか、小さいながら、特徴的な絵が記憶に残っているんですけど。大人になってから気づくものや、子どもの時の感情はこうだったなと、この作品を通して感じてもらえると嬉しいです。劇場でお待ちして松!」とユーモアも交えて呼びかける。

原田優一は「個人的には、サンシャイン劇場は30年ぶりに立つ劇場でありまして、その頃と変わっていなくて記憶が蘇って参ります。42歳になったのですが、こんなキラキラな衣装を着せてもらっているよとその頃の原田に言いたいです」と思い入れを明かす。

上川一哉は「各公演地でいただいた拍手をパワーに変えてやっていました。さらにブラッシュアップして、そしていらない部分を削ぎ落としながら、作品の魅力をどんどん届けて、お客様と一緒に作品を最後まで育てていけたらと思います」と意気込んだ。

MARIA-Eは「皆さんめちゃくちゃ盛り上がってくださって、色んなところから笑い声が、サクラかな?ってくらいたくさん笑い声が聞こえてきて。東京でどんな反応になるのかが本当に楽しみです」と愛知、大阪公演を終え手応えを感じているよう。

壮一帆も「地方公演で確かな手応えを感じてきましたので、自信を持って東京公演をお送りしたいと思います」と意気込み、「私個人の悩みとしては、地方ならではのアドリブを、東京公演でどうやっていくのか。いわば本公演なので、初心に帰って新鮮な気持ちでお届けしたいと思います」と気合を入れた。

稽古場でのエピソードを聞かれると、「僕、言って良いですか?」と挙手した松崎が「これ、初めて言うんですけど……演出の元吉さんの私服が、今日何着てくるんだろう?って」と話すと共感したキャストからは笑い声が。「毎日かわいい服装で、個人的に見るのが楽しみでした。本邦初公開!」と告白した。

本作ではかえる役を演じた越岡と松崎。かえるの印象を聞かれると「正直両生類は苦手な部分があったんですけど、かえる役をやってから画像を見たらちょっとかわいい、飼ってみようかな、と。ちょっと苦手だったけどいけるかなってところまできました」と、愛着が湧き印象が変わったとのこと。

一方、松崎は「僕は自由研究とかでかえるの飼育とかやっていたんですけど、小さい頃って興味を持って色々研究するじゃないですか?昔は触れたんですけど、今はだめで……でも、かえる場所はここにある、って」と松崎ワールドを展開するも、共演者から「よっ!」と合いの手が入り、話がまとまった。

最後に一人ずつ挨拶。
MARIA-Eは「本当に愛で溢れた作品なので、皆様が帰り道に大切な人に『いつもありがとう』『大好きだよ』『愛してるよ』と言いたくなるような気持ちにさせられるように、想いをしっかり込めて届けます。そして、皆さんには思いっきり笑ってほしいです。声を出して笑ってください。私たちも笑わせられるように頑張ります!」と意気込む。上川は「動物たちの1年をミュージカルとして、カンパニー一丸となって作ってきています。この作品の魅力を届けながら、動物の1年をお客様と一緒に旅していけたらなと思っております」とコメント。

原田は「良い大人たちが一生懸命汗水垂らしながら、お客様に1つでも何かメッセージを持って帰っていただこうと、一生懸命演じているのに、共演しながらも感動しています。ミュージカルや劇場に通い慣れている方から初めてご覧にいなる方まで、年齢問わず楽しんでいただける作品になっているんじゃないかなと思っております。お芝居はアナログな感じで、それが良さでもあるんですけど、良い具合にデジタルが融合しているので、それを楽しんでいただければなと思います」と話し、壮は「子どもが読む絵本から作られたミュージカルで、シンプルなストーリーだからこそ、大人が見てもその奥深さに気づく内容になっているかと思います。子ども心を思い出しながら、歩んできた人生と照らし合わせながら見るのも1つの楽しみかなと思います。もう一つ見どころは、私たち出演者以外にも、裏方さん、スウィングの方、バンドの方々、何かしらの形でお芝居に参加しています。その辺りの融合も見ていただければ楽しみが倍増するんじゃないかなと思います」と見どころを伝える。

そして、一歩前に出る松崎は「この作品は絵本、教科書にも載っている作品で、それぞれの動物たちがまるで絵本から飛び出してきたような作品が!今、ここサンシャイン劇場で!」とどんどん前に歩み寄り、ステージから落ちそうになるという場面もありながら、「何が言いたいかというと、本当に幸せな時間、素晴らしい音楽、衣装、そしてこの公演時間を、集中力!」と再び松崎ワールドが広がる。「この劇場で皆さん楽しみに、そして温かい拍手と笑顔と、それぞれの気持ちを“ふぉ〜ゆ〜”していきたいと思いますので、劇場でお待ちしております」と、グループ名に絡めながらまとめた。

最後に越岡が、「楽観的なかえるくんとちょっと悲観的ながまくんのユーモラスな会話やちょっと感動できるところ、小さな幸せを忘れない感じや人を思いやる気持ちの大切さが詰まっていて、とはいえほのぼのしている作品なので、色んな方に楽しんでいただけて、より大人の方が見た方が、ちょっと心が洗われるんじゃないかなと思います。歌もあるし、衣装も素敵だし、キャストもスタッフも素晴らしいので、このサンシャイン劇場が、梅雨を…晴らします…」と最後は自信がなさそうに尻すぼみになってしまったが「サンシャイン劇場が一番晴れている場所なので!」と続けると、松崎から「サンシャインだけにね!」と盛り上げ、「ぜひこの劇場で待っているので遊びにきてください」と締めくくった。