Bunkamuraが日本と海外のクリエイターの共同作業のもと、優れた海外戯曲を今日的な視点で上演する企画に取り組んできたDISCOVER WORLD THEATREシリーズ。本シリーズの第15弾として、シアターコクーン前芸術監督・蜷川幸雄の生誕90年を迎えることを記念し、“NINAGAWA MEMORIAL”と題し、『ハムレット』『マクベス』『オセロー』と並ぶシェイクスピア四大悲劇のひとつである『リア王』を上演する。
上演台本・演出は、人間を深く見つめ物語を繊細に紡ぎ出す斬新な演出手法が高く評価されているフィリップ・ブリーンが務め、これまで日本で上演されてきた戯曲を一新させ、現代的で新鮮な再翻訳版として上演。

タイトルロールのリア王を演じるのは、大竹しのぶ。ブリーンが満を持して挑むことができる最高の作品であると、絶大な信頼を寄せる大竹にこの役を託し、男性の王・リアという難役を務めます。共演には、大竹と同じくブリーン演出経験のある宮沢りえ、さらに成田 凌生田絵梨花鈴鹿央士横田栄司安藤玉恵勝村政信山崎 一と、これ以上ない大胆かつ豪華なキャストが結集。

そしてこの度、物語の世界観が表現されたビジュアルが完成。荒野を彷徨って失墜していく大竹演じるリア王の姿と、その行く末を見つめるリアの家族や家臣たちの姿を描いており、破滅を予感させる不穏で張り詰めた雰囲気を感じさせる。
家族は断絶、信頼も崩壊、権威や誇りも音を立てて崩れていく……。老いた王がすべてを失い、狂気の淵を彷徨いながら人間の「光」と「闇」を見出す究極の人間ドラマに期待したい。
(大竹は1979年、2017年上演の『にんじん』で少年役を演じている。成人男性役を演じるのは初となる。)

【ストーリー】
ブリテンの王であるリアは、高齢のため退位するにあたり、国を3人の娘に分割し与えることにした。長女ゴネリルと次女リーガンは巧みに甘言を弄し父王を喜ばせるが、末娘コーディリアは実直な物言いしかできず、立腹したリアに勘当され、それをかばったケント伯も追放される。コーディリアは勘当された身でフランス王妃となり、ケントは風貌を変えて素性を隠し、リアに再び仕える。
リアは先の約束通り、2人の娘ゴネリルとリーガンを頼るが、裏切られて荒野をさまようことになり、次第に狂気に取りつかれていく。リアを助けるため、コーディリアはフランス軍とともにドーバーに上陸、父との再会を果たす。だがフランス軍はブリテン軍に敗れ、リアとコーディリアは捕虜となる。ケントらの尽力でリアは助け出されるが、コーディリアは獄中で殺されており、娘の遺体を抱いて現れたリアは悲しみに絶叫し……。