
本作は、長編初監督作品『PLAN 75』(22)が第75回カンヌ国際映画祭でカメラドール特別賞に輝き、同年のアカデミー賞®日本代表として選出、更に世界各国の映画祭で監督賞にノミネートされるなど、恐るべき評価を集めた早川千絵監督待望の最新作。
80年代後半の夏、闘病中の父と、仕事に追われる母と暮らす11歳の少女・フキの物語。
主人公・フキを演じるのは多数の候補者の中からオーディションで抜擢された、驚異の新人・鈴木唯。役柄と同様11歳だった彼女の、真っ直ぐに大人を見つめる視線、この年齢ならではの自然な躍動感、時折見せる寂しげな表情など、スクリーン一杯に広がる瑞々しい演技に誰もが心奪われる。フキの母・詩子役に石田ひかり、父・圭司役にリリー・フランキーと、数々の映画賞を受賞してきた名優に加え、フキが出会う大人たちには、中島歩、『PLAN 75』に続き河合優実、そして坂東龍汰ら大ブレイク中の若手実力派俳優陣が出演する。
この度、公開を記念し舞台挨拶を実施。鈴木は「こうして全国の皆さんに見てもらえるのはとても嬉しいし、『ルノワール』をこんなにたくさんの人が見てくれるのは嬉しいです」と挨拶。
また、撮影で苦労したシーンを「雨のシーンはすごく大変で、実際に雨に打たれながら撮影をしたんですけど、撮影が早朝の5時くらいで、夏なんですけど早朝5時の寒い中、ゲリラ並みの雨が降っていて、ノースリーブみたいな服だったから映像では震えていないんですけど、終わった後はすごい寒くて。多分人生で一番寒かったと思います」と話すと、リリーが「そのシーン俺も出てる。あれ本当の雨なんです。寒かったな」と共感。
さらにリリーから「でも朝5時に起きてあんな大雨のシーンが撮れたから、その後にフキの足を吹くシーンに繋がるから。良い映画ってお天気も恵まれるから、映画の神様が応援してくれたんじゃないですか?」と優しく声をかけつつ、「それを嫌だって……」と続けると、鈴木は「嫌だったわけじゃないけど大変でした!」と慌てて弁明。
さらに監督からも「脚本では雨とは書いていなくて、その日にしか撮影ができなかったので仕方なく撮ったのですが、撮っていても興奮してしまうぐらい、感動しながら撮っていました」と裏話が明かされた。
舞台挨拶では、サプライズで主演の鈴木唯から、監督・他の登壇者へ向けて手紙が読み上げられた。「監督から言われた、『唯ちゃんはそのまんまの唯ちゃんの演技をしてほしい』という言葉に力づけられて、心から感謝しています」「石田ひかりさんは、撮影中ずっと優しく接してもらって、一緒にいるとホッとしました。大先輩の俳優さんの演技をする姿がとても素敵で、見習いたいと思いました」「リリー・フランキーさん、初めてお名前を聞いた時は海外の方かと思いました。会ったら優しい日本のおじさまでした。取材で私がうまく話せない時は、サポートしてもらいました」「河合さん、本番前に2人で演技のやり方を話し合いました。こんなに年下の私に本気で接してもらって感謝しています」とそれぞれに対して感謝を伝える。
手紙の最後には「『ルノワール』という映画は私の人生を変えようとしています。映画に関わった全ての方に感謝しています。最後に映画の中のフキの台詞を真似して一言。『本当に夢じゃなくて良かったなと思った』。終わり」と締めくくり会場からは拍手が巻き起こった。
粋な締め方に石田は「最後が鳥肌が立ちました!ありがとう唯ちゃん」と言葉をかけていた。
さらにその後、鈴木へのサプライズで監督から花束が贈呈されると、「私がサプライズを考えていたのに、逆サプライズになって驚いています。こんなに素敵な花をもらって嬉しいです。フキちゃんは黄色のイメージがあるので、これを見るとフキちゃんを思い出しました」と微笑んだ。