
『焼肉ドラゴン』や韓国映画『パラサイト 半地下の家族』の日本版舞台化での台本・演出など、数々の話題作を手掛け、幅広く活躍する劇作家・演出家の鄭 義信が、2020年に書き下ろした『泣くロミオと怒るジュリエット』。
シェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』を、物語の舞台を鄭自身のルーツである関西の戦後の港町に、セリフを全編関西弁に大胆に翻案し、キャストは全員男性(オールメール)と異彩を放つ設定で構築。お客様の熱い想いを受け、この度2025年版として復活いたします!
本作のタイトルロールであるロミオとジュリエットを演じるのは、初演から続投となる桐山照史と柄本時生。桐山が屋台で働く真面目な青年ロミオを、柄本が心根が真っ直ぐで優しいジュリエットを演じます。
共演は、浅香航大、泉澤祐希、和田正人、中山祐一朗、朴 勝哲、高橋 努、市川しんぺー、八嶋智人、渡辺いっけいと、個性と実力を兼ね備えた新たな布陣で届ける。
初日に先駆けて行われた囲み取材には、桐山照史、柄本時生、八嶋智人、渡辺いっけい、作・演出の鄭 義信が登壇。
初日を目前に、桐山は「稽古は十二分にやったので、あとは1秒でも早くお客様の前で、この新しくなった『泣くロミオと怒るジュリエット2025』をお届けしたいなと思うのと、以前コロナで止まってしまったので、最後までカンパニー一同怪我なく幕を下ろせたらなという想いで挑んでいます」と心境を明かす。
コロナ禍を経て5年ぶりの再演となるが「コロナで止まったしまったものを5年ぶりにもう一度やらせていただけるとオファーをいただけて嬉しかったんですけど、すぐ時生に連絡して。5年前でも体力的にも精神的にも本当に大変な舞台で、5年経った僕ら、今年36の年で、できるのかな?って」と、不安も感じていたよう。また、「八嶋さんとはたまたまご飯屋さんでお会いして。『お願いやから絶対出てください!』と言った時に『分かった、絶対出るから』とおっしゃったので、もう一回皆で走り切れるのは嬉しいんですけど、日々、疲れが取れないです」と悩みを吐露すると、八嶋が「今のは使わないでくださいよ!」と制する一幕があった。
桐山から連絡をもらった柄本は「演出もそうですし、意図からずれないように綱渡りをするように精神を擦り減らす芝居だったので、結構大変だったのを覚えていて。だから怖かったですね。桐くんに連絡をいただいた段階で嬉しかったのと同時に、やろう!という気にはなったので良かったです」と語る。
初演に続いての出演となる八嶋は「初めてご覧になる方は、我々ゲテモノみたいに思っていらっしゃるかもしれないですけど、とにかくロミオとジュリエットの二人が素敵で、見終わった後にこの二人のことを本当に好きになるんじゃないかなと」と魅力を語る。
「この二人でないとできない世界観というのもありますので。あとは再演というのは僕はあまり慣れていないんですけど、前回は途中でコロナ禍になって中止になっているんですが、大阪弁の話なんですが大阪公演を1ステージもやっていないんですね。なのでぜひ関西でお披露目したい」と大阪公演に期待を寄せつつ、「時生くんの役が男性に翻弄されながら全国を行脚したような感じで、関西弁にはなっていないです」と話すと、桐山から「ほな稽古十二分にできてないですよね!?」とツッコミが。続けて八嶋は「時生弁という形で逆に確立して、オリジナルです。時生弁を関西に持って行った時に、関西のお客さんがどういう反応をするのか、僕は楽しみです。厳しいですから、関西弁に対して大阪の方は」と笑顔を見せた。
そして、渡辺は「僕はこのメンバーの中で唯一再演から参加している初陣なんですよ。歳は取っていますけどさすがに初日は緊張しますね。こんなに泥臭くて熱いものを令和の時代にお届けして、皆さんがどんなふうに受け取るか非常に楽しみです」と、緊張している様子。
キャストがオールメールの現場について聞かれると「女優さんがいないのがね…」と嘆き、八嶋から「いるだろ!ここに二人もいるだろ!」と鋭いツッコミが。「板の上では女なので、役者として女の人を相手にしている感じがして、それは見る方は面白いと思います」と、女性役を演じている柄本と八嶋を絶賛した。
最後に、お客様へ向けメッセージ。
八嶋は「我々が作ってきたお芝居を劇場という場所で上演するんですが、演劇というのはお客さんが入って初めて完成するものなので、そしてその1回は1回しか巻き起こらない物語なので、ぜひ劇場へお越しください」と呼びかける。渡辺も「劇場に来て生の演劇を体験することをしていらっしゃらない方も全国にたくさんいると思うんですけど、騙されたと思って1回見ていただけたら。特に今回のお芝居は密かに、非常に自信を持っておりますので、見に来てほしいです。体験してほしいです」と自信を伺わせる。
柄本は「初演から考えて、またもう一度ジュリエットをやらせていただけるなんてなかなかないので一生懸命演じて、来ていただけるお客様に楽しんでいただけたらなと思います」とコメント。
そして桐山は「今回、キャストが新たに加わって下さった皆さんもいますし、スタッフさんもそうですけども、パワーアップした『泣くロミオと怒るジュリエット2025』を一人でも多くの方に届けたいなと。前回やらせてもらった時は止まってしまったという経験もありますから、最後まで全員で走り抜きたいなと思います」と述べ、「多分、世界で一番泥臭くて人間臭いロミジュリなので、その辺も楽しみにしていてください!」とアピールした。