本作の舞台は、古川が映画祭のために訪れたドイツ・フランクフルト。本人の「主人公はすごくわかったような気がするが結局何もわからない人というイメージにしたい」という希望を基に制作。5日間もの間、朝から晩まで、スケジュールの合間や映画祭の裏側までもカメラが彼女を追うという、「ドキュメント」に近い手法でシャッターを重ね、衣装は並べられた大量の服の中からその時々の気分に応じて古川が「今はこれが着たい」と思ったものを着て。撮影は盟友ともいうべき写真家、松岡一哲。彼女がまだデビューしたばかりの頃に制作され、カルト的人気を誇る写真集『pegasus01 古川琴音 × 松岡一哲』から7年を経て再タッグとなった。俳優としても、一人の女性としても、まだまだ未完成であるがゆえに大きな可能性を秘めた古川琴音の現在地をたっぷり詰め込んだ、まさに映画を見ているような一冊が完成した。

7年ぶり2作目となる写真集がついに発売を迎えたことに古川は「やっとやっとこの日が来たなという感じ。一哲さんにまた一緒に写真集をやりましょうってお話いただいてから2年近く経ってる。その構想も、撮影も、出版に至るまでの過程も、1つ1つ丁寧に作った大切な写真集ですので早く皆さんに見ていただきたい」と心境を吐露。『CHIPIE』というタイトルに込められた意味については「フランスでは猫につけられる名前で多いらしいんですけれど、最初一哲さんと写真集について話し合っていた時に、スナップ写真のようなどこの国でどう過ごしてきた女の子なのかわからないような写真集にしたいっていう話をしていて、それで私じゃない女の子の名前をつけたいなってのが最初に浮かんだんですけれど、その中で色々探していくうちに、この『CHIPIE』って響きだったり、私が猫好きなのでその猫の名前がとても気持ちにフィットしてこの名前にしました」と明かした。

本作でこだわった点を聞かれた古川は「私の写真集でありつつも、その見ている人の心の風景と合う写真集になればいいなと思っていて、この写真集の中に1枚でもお客さんと繋がりあえる写真があればいいなという思いで撮っていました」としみじみ、お気に入りカットについては「フランクフルトで行われた映画祭に松岡一哲さんが同行する形で撮られた写真」とセレクト、「映画祭と撮影を交互に繰り返すハードなスケジュールの中で、私の気持ちとしてはすごく混沌として、ちょっと思い詰める瞬間もあったんですよね。それで、当時の自分としては、さなぎの中でぐちゃぐちゃこもっているような感じでほんとに人に見せられるような綺麗な気持ちではなかったんです。けど、この写真を撮った時ってその疲れがピークに達していた時でこの写真を撮られた瞬間のことは何も覚えていなかったんですよね。この写真を初めて見た時に自分の混沌とした気持ちと同時に自分では見るのも怖いと思ってた自分のこの表情がこんなに綺麗に映ってるっていうことに感動した1枚でもあって、当時は孤独だと思っていたけれど、周りに一哲さんをはじめスタッフの皆さんが温かい眼差しで私のことを見ていくださってたのがわかる1枚で好きな写真」と想いを明かし笑顔をみせる。

最後に今後の目標を聞かれた古川は「英語をもっと頑張りたい」と話し、フランクフルトの映画祭でそれを実感したそうで「お客さんとコミュニケーション取る時間がとても多くて、その中でもっともっと自由に話したいし、もっともっと自由に表現したいっていうもどかしさも感じた。フランクフルトの映画祭に参加したことが海外の扉になったかなと思ってます。なので、英語をもっと頑張って仕事にもプライベートにも繋げていきたいなと思います」と意欲をみせていた。