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1945年8月15日正午の玉音放送。実は、終戦を知らせるこの玉音放送の後に、爆弾を積んだ飛行機で敵に体当たりする「特攻」に向かった若者たちがいる。「最後の特攻隊」。戦争が終わったのに、なぜ君は特攻に出たのか…。俳優・奈緒が、最後の特攻隊員となった一人の若者の足跡をたどっていく。

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特攻出撃の直前に撮られた、その若者の写真がある。若者は笑っていた。「どんなことを考えていたのだろう」奈緒はその疑問に迫ろうと、若者の遺族や、少年航空兵を養成する機関「予科練」で隣のベッドだったという99歳の親友に話を聞いていく。親友は言う。「一人で引っ込んでいることができますか?できない。逃げるわけにはいかない」。一人の純粋な若者を、戦争が終わってもなお特攻に駆り立てたものの正体とは何だったのか。国策、教育、周囲の期待、そして同調圧力…若者を取り巻くさまざまな“空気”が作用したことが見えてくる。そして、こうした“空気”が、今の時代にも漂っているのではないかと気付かされる。
若者には地元に残してきた大切な恋人がいた。その恋人に、若者はたった一通だけ、“本当の気持ち”を書いた手紙を送っていた。その中身を知った奈緒は、涙を止めることができなかった。番組では本格ドラマも交え、若者とその恋人の心の動きを追っていく。

<奈緒 コメント>
今回、1枚の写真をきっかけに、一人の若者が「最後の特攻」に出た理由を見つけようと、様々な方の話をお聞きしました。でも、そんなに簡単に答えは見つからないと思いました。早く答えを求めることよりも、考え続けることの大切さを学びました。また、自分を大事にして、自分を大事にするように隣にいる人のことも大事にしないといけないということも、今回改めて感じたことです。歴史として今まで学んできたことを、自分たちの過去として受け入れるために、より多くのことを知りたいと思います。
奈緒

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番組では今回、ある情報を元に鹿児島県内で聞き込み調査を行い、鹿児島湾の海底に、「特攻」について深く考えるきっかけになるだろう旧日本軍の飛行機が沈んでいることを突き止めた。そして、海洋調査会社「ウインディーネットワーク」の協力で、水深70メートルに沈む機体を発見、詳細に撮影することに成功した。私たちは、さらに最新の技術「フォトグラメトリ」で機体を3D画像化。

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小関裕太は今回、この飛行機の謎に迫るため鹿児島へ向かった。すると、この飛行機に乗っていて戦死したとみられる若者に辿り着く。若者の甥に、海に沈む飛行機の映像を見せるとこうつぶやいた。「今も機体が残っている。ここで戦争があったことは誰にも隠せないことだよね。叔父さん、帰ってきてほしいな」。若者には、海軍で手柄を立て、故郷の小さな島で“英雄”として扱われた過去があった。小関は、そんな“英雄”が、結局、ある“無謀な作戦”の過程で命を落としたことを知り、甥に疑問を投げかけた。「英雄とはなんだったのでしょうか?」
さらに小関は、この飛行機のための“秘密基地”があったことを知る95歳の女性を取材。女性もまた“悲劇の特攻機”の証人だった。

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<小関裕太 コメント>
この番組に関わらせていただくお話を聞いた時、私は昭和前期を描いたドラマの中で帝国海軍中尉役として出演しており、演じる役と向かい合う中で自然と「自分ごと」として戦争を考える時期でした。
そこから更にこの番組に向けてより深く知っていき、戦争体験者の方やその親族の方に体験や心情を伝えていただく中で「痛み」を知っていきました。
この番組から歴史の勉強ではなく、「自分ごと」として当時の「痛み」を教えてもらいました。
なぜ現代を生きる私たちが当時の出来事を深く知るべきなのか、そしてそれを伝えるべきなのか。
戦後80年目を迎える今年。少しでも早く知らなければならないことがそこにありました。
小関裕太

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TBS/JNNでは今年1年を通して「戦後80年プロジェクト つなぐ、つながる」を展開中。『JNNニュース(昼)』『Nスタ』『news23』『報道特集』『サンデーモーニング』といった各報道番組で、戦争を防ぐための教訓を未来につなぐ100本以上の企画を放送予定。また、インターネット上ではYahoo!ニュース、noteと共に、一般の方が戦争の記憶を共有する取り組み「#きおくをつなごう」を行い、戦争のない世界を目指していく。戦後80年特別番組『なぜ君は戦争に? 綾瀬はるか×news23』はこのプロジェクトの集大成でもある。