
原作は、ミステリ・サスペンスジャンルと恋愛ジャンルを縦横無尽に横断する俊英作家・斜線堂有紀による小説『恋に至る病』(メディアワークス文庫/KADOKAWA刊)。2020年3月末に発売するや否や、TikTokの書籍系アカウントによる紹介動画の再生回数が200万回を超える大反響を記録し30回を超える重版を繰り返している話題作を実写映画化。興行収入13億円の大ヒット作『月の満ち欠け』で第46回日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞した廣木隆一監督がメガホンをとる。
内気な男子高校生・宮嶺望を演じるのは、長尾謙杜。宮嶺が出会い、初恋に落ち、彼の人生を大きく変えることになる寄河景を演じるのは、山田杏奈。そんなふたりによる映画『恋に至る病』は不器用で一途な初恋を軸に、同級生の不審死や恋人への恐ろしい疑惑が入り混じる“この秋、最もピュアで刺激的なラブストーリー”。
今回、解禁されたのは、宮嶺望(長尾謙杜)の等身大の表情が切り取られた場面写真3点。
自宅で大好きな蝶を育てている宮嶺の、小さな水槽をじっと見つめるその表情は、柔らかで、どこか無防備。普段から他人と深い関係を築かないように生きてきた宮嶺が、家ではふっと力を抜いている様子が感じられる、素顔を映し出したカット。
教室でのカットは、クラスで一人お弁当を食べている時、景(山田杏奈)の声が聞こえてきて思わず振り返る様子を切り取ったもの。内気な性格の宮嶺も、好きな人が話している内容はしっかり聞いている姿が微笑ましく、一瞬の反応からも、少し不器用な性格が伝わってくる。
景と向き合うカットは、「君は、僕のために人を殺したの?」という疑念と、「僕は君が好きだ。たとえ殺人犯だとしても。」という恋心が揺れ動く、複雑な感情が一瞬にして宿る、息を呑むような目力が印象的なカットとなっている。どこまでも純粋な宮嶺の性格を象徴するような瞬間が多く切り取られ、視線だけで感情が伝わる長尾の繊細な演技に注目。
宮嶺を演じる長尾謙杜は、昨年、初のアジアツアーを大成功させ、初のドームライブ開催が発表されたばかりの人気グループ「なにわ男子」の最年少メンバーとして人気を集める一方、俳優としても表現の幅を広げている。今年だけでも『室町無頼』への出演や『おいしくて泣くとき』での劇場用映画初主演、9月公開『俺ではない炎上』など話題作への出演が続き、年間を通してスクリーンで大躍進している最も旬な俳優の一人だ。本作のW主演の一人、山田杏奈とも共演した映画『HOMESTAY』(2021年)では、初主演で難役に挑み、瑞々しい透明感のある演技で高く評価された。2度目の共演となる本作でも宮嶺と景という正反対なキャラクターだが、長尾と山田が演じることによって息の合った引き込まれる演技を披露している。
そんな二人に対して本作のプロデューサー陣は「長尾さんの持つ“翳り”にはリアリティがある。本作は良い意味で“痛みを伴う物語”になったらいいなと思っていたので、その表現に説得力があるふたりだった」とキャスティングを振り返っている。本作の監督を務めた廣木は「ふたりは良いバランスだった」と振り返り、長尾については「自転車乗っている時の彼の漕ぎ方が一生懸命で、その一生懸命さが純愛映画としては必要だった」とピュアなラブストーリーに抜群の演技を披露した長尾を絶賛。セリフではなく“沈黙”や“視線”で感情を表現するという、これまで以上に映画的な表現力を求められる役に挑戦した長尾の演技は観る者の心に残るはずだ。“信じることの怖さ”と“好きという心の痛み”を、眼差し一つで観客に伝えていく役者として確かな進化を遂げた演技に期待したい。