
『君の名は。』(2016年)、『天気の子』(2019年)、『すずめの戸締まり』(2022年)など、記録的な大ヒット作を生み出してきた新海誠の劇場アニメーション『秒速5センチメートル』(2007年)。映像美、音楽、特徴的なセリフで編まれた詩的な世界観は、センチメンタリズムが凝縮された新海ワールドの原点との呼び声も高く、公開から18年たった今もなお、日本のみならず世界中で愛されている。主人公・遠野貴樹の18年間にわたる人生の旅を描いた本作が、松村北斗主演で実写映画が公開されることが発表されると、大きな話題に。幼少期を、本作がデビュー作となる上田悠斗、小学生の頃に出会うヒロイン・篠原明里の幼少期を「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリを受賞した白山乃愛が演じる。自然豊かな種子島で過ごした高校時代の貴樹を青木柚、貴樹に想いを寄せる高校の同級生・澄田花苗を森七菜、花苗の姉で、遠野貴樹が通う高校の教員を務める輿水美鳥を宮﨑あおいが演じるほか、漠然とした不安と焦燥感を抱えた社会人時代、貴樹の同僚・水野理紗役には木竜麻生、科学館の館長・小川龍一役に吉岡秀隆といった豪華キャスト陣の出演が発表されると、より一層期待の声が寄せられた。
このたび、ヒロイン・篠原明里を演じるのが高畑充希に決定した。
主人公・遠野貴樹が、小学生のころに出会い、ともに過ごすうちに心を通わせていく本作のヒロイン・篠原明里。「来年も、一緒に桜見れるといいね」と、この先もずっと一緒に過ごしていけると信じていた幼い二人は、親の転勤を機に離れ離れになってしまう。中学生での再会時に交わした約束を最後に、それぞれの道を歩み続け、やがて大人へと成長した明里(高畑充希)は、新宿で書店員として働く静かな日常を過ごしていた。原作ファンからも注目されるヒロイン役に、高畑は「新海さんのアニメの中に居る明里さんは、動く度花びらが舞うような、『素敵な女性、という概念』みたいな存在だった」「本当に?!私ですか???と、不安だらけ」だったと、原作の明里に対する印象と、演じることへの不安を語り、ただ「いただいた台本を開くと、そこには『概念』じゃなくて『人間』が居て、私が見させてもらっていた明里さんは、貴樹の目を通した明里さんだったのかなぁ、と。少しだけ明里さんを身近に感じることが出来ました。」と同級生でもある奥山監督率いる実写チームが再構築した、実写版『秒速5センチメートル』に期待のコメントを寄せた。

さらに、高畑演じる明里の姿を映したティザービジュアル第4弾も解禁!曇る窓ガラスを背景に、バスの座席に座る明里の横顔。目線の先には手に持つ一枚のチラシ。「好きな景色、好きな言葉。あの時、そういうもの全部に出会った。」大人になった明里の想いが垣間見える、ある雪の日のシーンを切り取ったビジュアルになっている。
先日、ついに完成した本作。映画化発表時には、「奥山監督をはじめとした若く熱心なチームがふたたび『秒速5センチメートル』に向き合ってくれていることに、私はとても興奮しています。」「誰よりも完成を心待ちに、応援しています。」とコメントを寄せていた新海。情報解禁の度に自身のSNSでも期待を寄せるポストをしていた新海が、先日、本作の初号試写を鑑賞。「自分でも驚いたことに、泣きながら観ていました。原作由来の要素に自分で泣いているのか、奥山組に泣かされているのか、あるいは失われた2000年代に泣いているのか自分でもよく分からないまま、でもとにかく、強く感動させられました。」と完成したばかりの本作に対する感想を述べ、「今回の実写映画では当時のその不器用な種が、青さも含んだままに見事な結実となっていました。『秒速5センチメートル』を作っておいて良かったと、(ほとんど初めて)心から思えました。」と20年前に作られたアニメーション映画を新たに実写版として完成させた奥山組への感謝の言葉で締めくくった。
<高畑充希/篠原明里(シノ)役 コメント>
正直、お話をいただいた時は、本当に?!私ですか???と、不安だらけでした。
なぜなら、新海さんのアニメの中に居る明里さんは、動く度花びらが舞うような、「素敵な女性、という概念」みたいな存在だったので。私にとって。
ですが、いただいた台本を開くと、そこには「概念」じゃなくて「人間」が居て、私が見させてもらっていた明里さんは、貴樹の目を通した明里さんだったのかなぁ、と。少しだけ明里さんを身近に感じることが出来ました。
今回あの新海さんの世界観を実写に落とし込んだスタッフさん達が、本当に凄くって!
何より、10年以上前から写真で一緒にお仕事してきた同級生の奥山監督の、1本目の商業長編作品に参加出来て、幸せな気持ちです。
<原作・・・新海誠 コメント>
映画を観始めて、最初はなんだか居心地が悪かったのです。
不完全で未熟なバトンを若い作り手たちに渡してしまったような気持ちでした。
しかし途中から映像に呑まれ始め、最後には自分でも驚いたことに、泣きながら観ていました。
原作由来の要素に自分で泣いているのか、奥山組に泣かされているのか、あるいは失われた2000年代に泣いているのか自分でもよく分からないまま、でもとにかく、強く感動させられました。
あらためて、『秒速5センチメートル』は奇妙な物語です。たいしたドラマツルギーもなく、胸のすく活劇もなく、ヒーローも悪役もいない。皆が理由もなく傷つき、傷つけられ、いつもなにかが満たされずにいる。
でも20年前は、その「なにもなさ」が私たち自身の姿であり生活であり、それを掬いあげるようなアニメーション映画を作ろうと思っていたのです。
アニメーション版がその目標に届いていたかは心許ないのですが、今回の実写映画では当時のその不器用な種が、青さも含んだままに見事な結実となっていました。
『秒速5センチメートル』を作っておいて良かったと、(ほとんど初めて)心から思えました。
奥山組の皆さん、本当にありがとうございました。