本作は、19世紀ウィーンで巻き起こる音楽史上最大のスキャンダルの真相に迫った、歴史ノンフィクションの傑作『ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく』(かげはら史帆著/河出文庫刊)を基に実写映画化。
偉大なる天才音楽家、ベートーヴェン。誰もが知るそのイメージは、秘書による”でっちあげ”だった。耳が聞こえないという難病に打ち克ち、歴史に刻まれる数多くの名曲を遺した聖なる孤高の天才ベートーヴェン。しかし、実際の彼は――下品で小汚いおじさんだった…!?世の中に伝わる崇高なイメージを“捏造”したのは、彼の忠実なる秘書・シンドラー。憧れのベートーヴェンを絶対に守るという使命感から、彼の死後、見事“下品で小汚いおじさん(真実)”から“聖なる天才音楽家(嘘)”に仕立て上げる。シンドラーはどうやって真実を嘘で塗り替えたのか?果たしてその嘘はバレるのかバレないのか―?

バカリズム脚本×関和亮監督の最強タッグと、ベートーヴェンへの愛が重すぎる忠実なる秘書・シンドラー役の山田裕貴、シンドラーから熱烈に敬愛されるベートーヴェン役の古田新太の豪華共演で贈る本作。

山田と古田は『ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜』(2021年)以来、2度目の共演となった。
前回は山田が聴覚障害のある役どころを演じていたが、「今回は逆というか、ベートーヴェンは耳が聞こえなくて、台詞を交わさないお芝居の方が多かったので、そこはチャレンジングな気がしました」とコメント。対する古田は「『ヒノマルソウル』の時は先天的な聴覚障害だったけど、僕は後天的な聴覚障害だから、言葉は発せられるわけですよね。だから、やーまだーが書いた字を読んで理解して怒鳴るという、それはそれで面白かったですね」と撮影を振り返った。

ベートーヴェンを演じた古田について、「唯一無二というか、ベートーヴェンの格好をしているだけで面白かったです。役作りをしていないって言っているけど、そこが古田さんの面白さなのかなと感じます。現場でも座っているだけで面白くて、その雰囲気は出そうと思って出せるものではないので、そこがすごく魅力的です」と熱弁。

対する古田は、山田のことを「何回かお仕事してるんだけど、すごく真面目なんですよ。俺は不真面目で、基本的に“早く帰りたい”でしかできてないから、監督に言われたことをすぐやれる準備だけしておくみたいな。やーまだーは、ちゃんと考えてやってくれているから、それはシンドラーとベートーヴェンの関係性としては正しかったなと」と、役の関係性にも重なる部分があったと話し、「信じる力がすごく強い俳優さんなので、そこら辺は信頼できます。だから、今回のシンドラーなんて途中から本当に気持ち悪いし、前回の『ヒノマルソウル』でも本当にこの人難聴なのかなと思わせる、そこら辺も信頼できる後輩です」と高く評価。

さらに、脚本のバカリズムからも「山田さんが演じるシンドラーは、本当にまっすぐな目をしているというか、めちゃくちゃ異常なことをやっているのに、自分が間違っていることをしていると思っていない風に見えるんですよ。本当におかしい人ってこういうことなんだろうなと。山田さん自身がシンドラーに対して疑問を感じていたりどこかで迷いがあったらこんな顔にならないぐらい、シンドラーが憑依しているというか」と語ると、古田からも「キモいんだよね」と一言。その言葉に山田は「めっちゃ嬉しいです」と笑顔を見せる。
続けてバカリズムが「ヤバいことをやっているんだけど、ヤバいと思っていない。そのヤバさを見事に表現していて、すごい方だなと思いました。すごくピュアな笑顔をするんですよ。異常なのに。そういう表情やまっすぐな目は、それが逆に怖くなる良さがありました」と大絶賛すると、山田は「こればっかりが広がってほしいです。今のは太字で全部書いてください!」と嬉しそうにしていた。

さらに、“ベートーヴェンはロックである”と語る音楽家・清塚信也が演奏したベートーヴェンのピアノ・ソナタ第23番「熱情」第3楽章が本作のメインテーマ曲に決定したことが発表となり、メインテーマを使用した本予告が解禁となった。