本作は、ヨーロッパを中心に広く知られる「ドン・ジュアン伝説」を、フェリックス・グレイの作曲による情熱溢れる名曲でミュージカル化した作品。2004年にカナダで初演され、2016年に宝塚歌劇で日本初上演された際も大きな話題を呼んだ。

2年ぶりの上演となる今作では、貴族の生まれでありながら、快楽を求め続けて悪徳の限りを尽くしていた主人公、ドン・ジュアンが、「真実の愛」によっていかに変貌していったのか、その変わりゆくさまを軸に描かれる。
前回、類まれな官能的な世界観を見事に体現してみせた藤ヶ谷は、この度の再演では、作品の中で人物の変化を愛に溺れてゆく様をみせていくという新たな挑戦となる。

ヒロインのマリアを演じるのは、元宝塚歌劇団トップ娘役で、2021年4月に歌劇団を退団後、本作が初の舞台出演となる真彩希帆。そして、潤色・演出は、前回に引き続き生田大和が務める。

2021年10月7日より大阪・梅田芸術劇場メインホール、2021年10月21日より東京・TBS赤坂ACTシアターにて上演される。

<あらすじ>
スペイン・アンダルシア地方。赤い砂塵の舞う街セビリア。
そこにあらゆる女を魅了して、悪徳と放蕩の限りを尽くす男がいた。
男の名はドン・ジュアン。彼は今宵も欲望の赴くまま、騎士団長の娘を毒牙にかける。
娘を穢されたと知った騎士団長は激怒し、決闘を挑むが、
彼は騎士団長をせせら笑うかのようにその剣をかわし、相手の命を奪う。
それが愛という名の呪いを招くとも知らず……。

【藤ヶ谷太輔 コメント】
2年ぶりの再演が決まって、ものすごく嬉しかったです。前回は、演出の生田さんからいただいた「無謀かもしれないけれど、僕と冒険に出てみませんか」という言葉に惹かれて、お答えしたところから始まりました。
僕はこの「ドン・ジュアン」が初めてのミュージカルだったので、最初は楽譜もほとんど読めず、歌稽古では楽譜の読み方から始まりましたし、フラメンコもフェンシングも初めての経験でした。今思うとよくキャスティングしてくださったな、と思うのですが(笑)。ミュージカルで、自分の心がこんなにも動くとは思ってもみませんでした。自然に涙が出てきたり、怒ったり……二十数曲、ライブよりも多いような曲数に苦戦もしましたが、その苦しみがドン・ジュアンの苦しみにも通じるところがあったのかも、とも思います。僕はこの「ドン・ジュアン」で、生田さんはじめ、スタッフの皆さんやカンパニーの皆さんからミュージカルの楽しさや難しさというものを教えていただきました。今またこの作品に再会して、また新たな冒険に出られるのかと思うとワクワクします。
カンパニーみんなで愛をもって良い作品を創って届けたいと思っています。是非楽しみにしていてください。

【真彩希帆 コメント】
「ドン・ジュアン」は、観客として拝見していて、まさか演者として関わらせていただけるとは思ってもいなかったので、お話をいただいてびっくりしましたが、とても嬉しく光栄です。マリアは彫刻家という仕事に対して誇りを持ち、猪突猛進なところがあると感じますが、私も芸事に対してそういう部分があるので、お稽古で私とマリアの繋がるところを見つけていくのも楽しみです。マリアとして息づくことができればいいなと思っています。
宝塚を卒業して初めての舞台になりますが、新たな世界に出ても、皆さんと話し合ってひとつの作品を創っていく、というワクワク感が一番の楽しみだということは、これまでと変わりません。藤ヶ谷さんとは初めてご一緒させていただきますが、直接お会いして物事に真摯に向き合われる方だと感じました。役としてどんなお話ができるか、そして男性とのデュエットも初めてなので、それもすごく楽しみにしています。
年齢や性別も関係なしに魂でぶつかり合えるのがミュージカルだと思っています。お客様に楽しんでいただけるよう、ひとつひとつ丁寧に、創っていきたいと思っています。

【潤色・演出 生田大和 コメント】
あの男が帰ってくる。
藤ヶ谷太輔の演じるドン・ジュアンともう一度巡り会える。その報せがどれだけの喜びだった事か! 
2年の時を経て、再び相見えるドン・ジュアン、そして彼を取り巻くセビリアの人々。新たなキャストたちと共に、更なる進化を求めて稽古に取り組む日を、今からとても心待ちにしております。
何かが、変わり始めている——
スペイン・セビリア。赤い大地の上に立ち、そして生きている人々の、愛と呪いの狭間で繰り広げられる情熱の物語が、皆様の心にいつまでも残る舞台となるようキャストの皆様、そしてスタッフ一同と共に歩んでまいります。
どうぞご期待ください。