18世紀初頭の清国を治めた雍正帝。皇帝としての稀有な思想や哲学、皇帝という地位にありながら過労死したとも言われるほどの激務をこなした人物の生涯を、佐々木蔵之介を筆頭に中村 蒼、奥田達士、石原由宇、河内大和と、次代を担う新たなクリエイターたちで描き出す。

少人数キャストで、かつ客席との距離感を大事にすることを旨として上演してきたTeam申。
コロナ渦の演劇は様々な制約を受けると共に、その醍醐味さえも削らざるを得なかった中、「演劇空間」とはどんなものか、「観劇」の楽しみとは何かを改めて提示できればという試みで臨む。

7月17日より東京芸術劇場 シアターウエストで開幕となり、その後、仙台、石川、広島、福岡、長野、新潟、京都と、各地で上演される。

<あらすじ>
18世紀の中国。主人公は歴代約200人の皇帝の中で最も勤勉、4時起床、24時まで1日20時間働き続け、「過労死」したと言われる清の雍正帝(1678-1735、在位1723-1735)。その駆け抜けた13年の治世、紫禁城に暮らした皇帝で 唯一玉座に座ろうとせず、執務室に籠って、中央のエリート役人を無視して、地方の末端役人223人と2万通におよぶ手紙をやり取りし続けた。手紙にあふれる、およそ皇帝には相応しく無い罵詈雑言と叱咤激励の嵐。パワハラなどという概念を吹き飛ばすユーモア。
彼ほど生々しく国を導いた皇帝はいない。彼と役人とのスリリングでスピード感あるやりとりを再現し、さらになぜ雍正帝は過労死するほど働いたのか、人生の鎖となった「謎」も解き明かしていく。

【作・阿部修英 コメント】
近年の目まぐるしい変化で「中国」に戸惑う人も多い日本。 しかし「中華」はいつもそばにある。たとえば漢字。「君子無朋」と4文字書くだけでドラマが立ち上がるのは、深い縁の証だ。
「君子無朋」は雍正帝が即位初年度に掲げた強烈な宣言。億の民と広大な地を背負い、失敗すれば革命で首が飛ぶ。究極のタイトロープに立ちながら「ともなどいらない」と宣言した彼。
それは昨今のポピュリズムへの問いとしても響く。そう、雍正帝は極めて現代的な人物だ。
舞台は270年前、徳川吉宗の時代。暴れん坊将軍も真っ青の「暴君」を演じる佐々木さん。旅をご一緒し雍正帝と「重なる」姿を見た。そう、ただの暴君では終わらない。
現代性そして中華との深い縁を感じながらぜひご覧下さい。