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バカリズム脚本の真骨頂!解像度の高い表現とセリフで描かれる重要シーンを解禁!
エリートとして将来を嘱望された大学生だったシンドラー。しかし、当時の学生運動に傾倒しすぎて逮捕されてしまい、ヴァイオリニストとして生計を立てる毎日を過ごしていた。そんなある日、出席したとあるパーティーで、少年時代から憧れていたベートーヴェンを見つける。「彼の作品をすべて聴き、自分でも演奏した」というほどのベートーヴェンファンであるシンドラーの胸は高鳴るが、実際のベートーヴェンは重厚感のある楽曲とは真逆の人物。長身でダンディーな姿を想像していたシンドラーの目線の先にいるのは、「ちっちゃくて小汚い中年男性」(byシンドラー)。一瞬、露骨にがっかりした表情を浮かべるものの、逆に「あんなに小汚いおじさんが、あの素晴らしい名曲の数々を生み出したなんて!」と、褒めているのか貶しているのか分からない感動を抱き、満面の笑みでベートーヴェンに近づく。挨拶をするため背後から声をかけるも、ベートーヴェンは無視。「俺みたいな見ず知らずの若造なんて、目も合わせてもらえないんだ…なんだよこいつ、大物ぶりやがって!」「お前の噂、言いふらしてやっからな!」と心の中で悪態をつくシンドラー。もし、彼の手元にスマホがあったなら、即座にSNSで悪口を投稿していたであろう。しかし、肩を落として立ち去ろうとしたシンドラーを劇場スタッフが呼び止めたことでベートーヴェンがシンドラーに気づくと、「これに書いてもらえる?」と気さくな笑顔で手にしていた会話帳を差し出してきた。そこで、ベートーヴェンが耳を患っていたことを思い出したシンドラーは、「学生の頃からあなたの大ファンです」と会話帳に記し、熱い想いを伝える。そんなシンドラーに対し、嬉しそうに「へえ〜、ありがとう!」と握手を求めるベートーヴェン。憧れの人の神対応に感激し、手を握るシンドラー。「少しニュルッとしていたけど…嬉しかった!!」という正直すぎる感想と共に、「魔法にかかったかのように、彼の虜になった」というモノローグにあるように、シンドラーのベートーヴェン愛が決定的なものとなった瞬間だ。

さらにベートーヴェンはなんと、シンドラーを秘書に勧誘する。ただ“ファン“というだけで秘書に誘うという、距離感ゼロのベートーヴェン。そして、それを冗談や社交辞令と疑うことも一切なく、真に受けて「ぜひ!」と即答するシンドラー。ベートーヴェンを見かけてから情緒の乱高下がヤバく、無邪気に憧れの人への感動を露わにする様子がかわいくもあるシンドラーと、世界的な音楽家でありながら気さくな天才・ベートーヴェン。やがて現代まで続く音楽史上最大の捏造(スキャンダル)へとつながる、まさに“運命”の出会いのシーンが、バカリズムならではの解像度の高い表現と、クスッと笑えるセリフで描かれている。